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2019年11月25日 (月)

映画『羊とオオカミの恋と殺人』朝倉加葉子監督インタビュー

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自殺志願の男の子と、隣室に暮らす殺人鬼の美少女の恋愛を描き、人気を博した裸村(ラーソン)原作の漫画「穴殺人」。二浪して自殺を考えていたニートの黒須越郎が、アパートの部屋に空いた穴から隣に住む美少女・宮市莉央を覗くうちに彼女に恋をし、彼女が実は殺人鬼であるということを知っていくというラブストーリーだ。この作品を杉野遥亮と福原遥の主演で実写化した映画『羊とオオカミの恋と殺人』が11月29日に公開される。この作品でメガホンを取った朝倉加葉子監督に話を聞いた。


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まず、この作品を手がけることになった経緯からお聞かせください。

■朝倉加葉子監督:プロデューサーから原作を紹介され、監督を務めることになりました。すごく面白い設定と、不器用ながらも相手にまっすぐに恋をしていくという主役二人のチャーミングなキャラクターに惹かれました」


主演の二人をキャスティングした理由を教えてください。

■朝倉監督:まず杉野遥亮くんは、実際お会いしてみると存在感がホワッとしつつ透明感がすごくある方でした。キャリア的にはイケメン系のキャラクターを演じることが多い俳優さんなんですけど、いろんな役ができる人だと思い、彼にオファーしました。今回はいわゆる世界のすみっこ、穴倉に住んでいるような引きこもりのニート役をしっかりと演じていただきました。何にでも染まれるタイプの素敵な役者さんだと思います。


本当はすごく身長も高くてイケメンですよね。

■朝倉監督:ホントに、すごく身長も高くてめちゃくちゃスタイルもいいんです。でも今回はニートのキャラクターに合わせて、ダボっとした服を中心に、あまりスタイルの良さを見せないようにしてもらいました。


前半はもさっとしたイケてない感じでしたが、後半はだんだん素敵になってきましたよね。

■朝倉監督:前半はメイクさんにがんばっていただいて、かなり寝癖をつけてもらったんです。それこそ穴倉に住んでいるような感じで。でも物語が進んでいくに連れて、彼女もでき、自意識も芽生えるようになって、どんどん顔もキリッとしてくるんですよね。そういう変化を杉野くんは自然に表現してくれました。


では、福原遥さんはどういう女優さんですか?

■朝倉監督:福原さんはまた不思議な方ですよね。すごく透明感があって可愛らしいし、すごくお芝居もうまいんです。でも現実にいるとフィクションみたいで、フィクションの中にいるとすごく現実感があるっていう、境界線が見えない人なんです。こういう“隣に住んでいる殺人鬼”という不思議な役にリアリティを持たせることができたのは、福原さんだからこそなんじゃないかと思います。


杉野さんには、役作りのうえでどのような話をされたのでしょうか?

■朝倉監督:杉野さんには、最初に会った時に「世界の隅っこにいる人で、そこの小さな穴から美少女を見て初めて恋をする人です」と伝えました。イケメンキャラではなく、ニートな引きこもり役だし、受けのお芝居が中心になるんですよね。すごく異常な事態が近くて起きているのにこんなにホワッとしてていいの、って思うようなキャラクターですけど、事態に戸惑いながらも殺人鬼に恋をして彼女のそばにいるというキャラクターを自然にうまく演じてくれましたね。


福原さんはどうでしたか?

■朝倉監督:福原さんは、もともと殺人鬼の役にも興味があったそうなんです。だから、宮市さんというキャラクターにとって殺人がどういう意味があるのかとか、純粋に殺人に興味を持っていて、人体や武器に関して独学で勉強してきた殺人鬼という宮市さんのキャラクターを早い段階で理解してくれていましたね。今回は殺人のアクションもあるのですが、宮市さんの持つ哲学や歴史をアクションに込めたので、役作りの参考にしてくれたようです。


今回の殺人シーンは振り付けとしてアクションを組み立てたそうですね?

■朝倉監督:今回は振付家の方に殺人のアクションの動き依頼しました。この方はバレエと古武術を学ばれている方なので、バレエの優雅さもありつつ、リアリティがあるアクションになっています。小柄な女性が自分よりも体格な大きな男性を相手にしても無理なくできるアクションとして作っていただきました。


ポップに寄りすぎず、ファンタジックにも寄りすぎず、現実感もあるという絶妙なバランスのとれた世界観でしたが、この世界観をどのように意識されていたのでしょうか?

■朝倉監督:そこのバランスはすごく考えましたね。“殺人”が大きな一つの要素にはなっているんですが、いわゆる普遍的な、ある意味究極のラブストーリーとして描きたかったんです。核はラブストーリーなので、陰惨な印象にはしたくなかったんです。遠い場所にいる二人が、お互いの思いの強さで少しずつ近づいて寄り添って歩み寄っていく、っていう形を作ってあげたかったので、絶対的にピュアなかわいらしい世界観を用意してあげたいと意識しました。


血が飛び散る描写とかもあるんですが、リアルすぎず、でも殺人が行われていることが観ていてよくわかるように色彩設計なども意識されている感じがしました。

■朝倉監督:宮市さんの部屋の中で殺人が行われるんですが、ここは幻想的に見えるように意図しました。殺人も絡みつつも、恋愛が発展していく決定的なシーンでもあるので、ファンタジックな照明が作れるように芝居の組み立ても意識しましたね。


原作では「穴殺人」というタイトルですが『羊とオオカミの恋と殺人』というタイトルになった理由はなんでしょうか? 誰が考えたのですか?

■朝倉監督:タイトルは私が考えました。「穴殺人」というこの漫画を映画化するにあたり、やはり多くの方に見ていただきやすいタイトルにしたいという意図ですね。両極端な場所にいる二人が紡ぐ可愛い恋愛モノというイメージから、最終的にこのタイトルに決定しました。原作者の裸村さんにも快諾していただけましたね。ほぼお任せしていただけて、作品をご覧になった後にはお礼を言っていただけました。


監督ご自身で一番お気に入りのシーンはどこでしょうか?

■朝倉監督:物語中盤にある二人が屋上で対峙するシーンですね。ここで宮市さんが黒須くんにカッターを突きつけるんですが、ここは二人の最初の肉体的接触であり、最後になるかもしれないシーンだということで決定的瞬間にしたかったんです。それで、外からの光が二人の顔にあたるように芝居を組みました。二人の肌の美しさに外からの光が相まって、素敵な画になったと思います」


監督自身はなぜ映画監督になろう思われたのでしょうか。2013年のデビュー作『クソすばらしいこの世界』はアメリカで撮影されて、主演もキム・コッピさんですが、海外進出にも興味がおありなんですか?

■朝倉監督:もともと映画が好きだったので、映画美学校というところで映画を学び、自主映画などを撮り始めました。『クソすばらしいこの世界』はアメリカで撮影をして、アメリカでの撮影の楽しさを知ってしまったので、外国での撮影や共同制作などにも興味はありますね」


監督が映画を作る上でいつも一番大事にしていることはなんでしょうか?

■朝倉監督:作品に登場するキャラクターたちが自分の人生に対して、映画一生懸命ひたむきに生きてくれなくちゃいけないと思っているんです。だから、どんなストーリーでもどんなシチュエーションでも、キャラクターが一瞬でもいいいのできらめいて、その役をまっとうできるよう、私の持てる力を尽くすようにしています」


アメリカを舞台にしたスラッシャーホラー『クソすばらしいこの世界』で長編デビューした朝倉監督。その後もスラッシャーホラー作品を多く手がけている彼女だが、話の中からは画作りに対する絶対的なこだわりと、キャラクターへの深い愛が感じられた。こだわりの照明や世界観の中で、愛すべきキャラクターたちがピュアな恋愛を繰り広げる『羊とオオカミの恋と殺人』で、そのこだわりを確かめてみてほしい。


取材・文:松村知恵美


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『羊とオオカミの恋と殺人』


公開:2019年11月29日
配給:プレシディオ
劇場:TOHOシネマズ日比谷ほか全国にて
公式HP:http://hitsujitookami.com/

(C)2019『羊とオオカミの恋と殺人』製作委員会 (C)裸村/講談社


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