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2019年9月 9日 (月)

『第三夫人と髪飾り』アッシュ・メイフェア監督来日 アーティストは時に、作品を作るのではなく、作品に突き動かされている感覚があるー。曾祖母の実体験を映像化した体験を語った。

日時 : 9月5日(木)
場所 : 日比谷図書文化館 日比谷コンベンションホール
登壇者 : アッシュ・メイフェア監督 × 文筆家・五所純子

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スパイク・リー、トラン・アン・ユンなど、世界の巨匠が才能を絶賛する新鋭アッシュ・メイフェア衝撃のデビュー作『第三夫人と髪飾り』が、10月11日(金)よりBunkamuraル・シネマ他で公開となる。9月5日(木)、アッシュ・メイフェア監督が来日することを記念し、、『スカトロジー・フルーツ』著書や『ゼロ年代の音楽ビッチフォーク編』共著で知られる文筆家の五所純子をゲストに招き、アッシュ・メイフェア監督とトーク付き特別試写会が開催された。

五所:劇中に登場する水や花、そして血など、一つ一つのアイテムが様々な意味合いを持っていて、細部まで計算し配置している印象を受けました。この絶妙な配置が素晴らしい映画詩となっていますよね?

監督: そうですね。映画は、船に乗って大河を渡って花嫁が嫁いでくるシーンから始まります。つまり水から始まり、涙や蒸気など色々な点で「水」を使っています。花も花瓶に生けた鑑 賞用の花だけでなく、毒薬の意味としても「花」を使っています。しかし、これらの「水」や 「花」は元々の脚本にはなかったんです。実際にロケーションに行ったときに、多くのインスピレーションを得ました。そこにある「水」や「花」も、まるで「自分を撮って」と言っているように、自分を差し出している気がしたんです。現場で起きるマジックというか、ある意味、ギフトを受け取ってる感覚ですね。そういう意味で、アーティストは作品を作るというのではなく、作品という乗り物に乗って撮らされているんです。計算ではなく、思わギフトからメタフォーが生まれている気がします。


五所:本作は家制度(家父長制度)を扱っていますが、ここまで家制度に食い込んだ作品は初めてですし、しかも女性監督がストレートに家制度を語っている点が非常に珍しいと思いました。また三人の夫人たちがいがみ合わない。どこか助け合っているような感じもしました。これまで、どれほど多くの映画の中で、女たちが争うのを私たちはみてたかと過去を振り返ってげんなりしてしまうほど、この映画ではそういった描写がなかったです。


監督: 私の曽祖母は14歳でお見合い結婚したそうです。曾祖父の時代は映画と同じく一夫多妻制だったので、数名の妻がいました。私も同じ女性としてそれがどういう状況か理解が出来ないところもあり、曾祖母に同じ妻のたちの中で嫉妬などなかったのか聞いたことがあるのですが、彼女は静かに「忙しすぎた」とだけ言ったのです。その時代、暮らし自体が大変で、お互いが助け合わないと生活が出来ない状況だったため、嫉妬するよりも家族として助け 合うしかなかった。共に家事をし、子供を育てたと。これは、アジアの女性の“痛みを力に変えるパワー“だと思いました。本作品は私の家族の話を描いていますが、世界各国の映画祭で上映させていただいた際に、民族や国籍に関わらず、「この映画は私の家族の話を観ているようだった」と言われたんです。この問題は世界のどこでも共感できる、女性の歴史なのだと改めて感じさせられました。


五所:本作はトラン・アン・ユン監督が美術監督で参加されていますよね。


監督:はい、本作品の撮影に入る3年前に、ベトナムでトラン・アン・ユン監督による若手監督の育成を目指したワークショップが行われ参加させていただいたのがきっかけです。 トラン・アン・ユン監督に本作の脚本の話をし、色々とアドバイスを頂きました。その中でも心に残っているのは、今後、監督として決断をする際の心得ですね。心得は2点。一つは《何が真実なのか?》 、もう一つは《何が美なのか?》。哲学的な大きな意味があり、私はまだ答えを見いだせていないのですが、今後、経験を積んで答えを見つけていきたいですね。


五所:本作は自国であるベトナムで公開後、4日で上映が中止になったそうですね。


監督: はい。ベトナムはとても保守的で映画の検閲が厳しく、独立系のフィルムメーカーでは、国外の映画祭で評価されてもベトナムでは上映をあきらめることが多いんです。トラン・アン・ユン監督の「シクロ」もベトナムでは上映が見送りになっていますしね。特に本作品で描かれるのは、女性をパワーで黙らせていたベトナムの暗黒の時代ですし、女性のセクシャリティを描いているので、保守的な方から反発があることは覚悟をしていました。しかしそんな中で敢えて上映に踏み切ったのは、主人公のモデルとなっている曾祖母に敬意を込めて、家族の話をスクリーンで見て欲しかった。そして若いアーティストたちに圧力に屈することなく、自分の撮りたい物を撮り、上映していいんだと示したかったんです。公開後、4日で上映中止になりましたが、ベトナムで多くの方に見ていただけ、物議を醸したことでベトナムの映画史に残すことができたと思います。これからのベトナム映画のためにも、有意義なことだったと考えてます。


監督:シネマは特別なメディアだと思います。文化の壁を越えて世界中の人の心にメッセージを届けることが出来るわけです。この映画が多くの人の心を豊かにしてくれること願っています。


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『第三夫人と髪飾り』

2019年10月11日よりBunkamuraル・シネマほか全国にて
配給:クレストインターナショナル
公式HP:http://crest-inter.co.jp/daisanfujin/
(C) copyright Mayfair Pictures.

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