« 超特急が東京スカイツリー を“アベンジャーズ”色に染める!天龍源一郎が“日本のサノス”として登場!『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』東京スカイツリースペシャルライティング | メイン | 俳優D.O.(EXO)の新たなる挑戦!!究極のシチュエーション・サスペンス『7号室』日本公開&邦題決定! »

2018年4月26日 (木)

ドイツ警察戦後最大の失態!NSU 事件とは?『女は二度決断する』

0426_005


第 75 回ゴールデングローブ賞で外国語映画賞受賞、第 70 回カンヌ国際映画祭ではダイアン・クルーガーが主演女優賞を受賞した、ドイツの名匠ファティ・アキン監督最新作『女は二度決断する』が、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISUGARDEN CINEMA ほか全国にて大ヒット上映中だ。突然の悲劇により最愛の家族を奪われた女。絶望の中、彼女がくだす決断とは――。

本作は、2000年代に起きた、ドイツ警察戦後最大の失態と言われる連続テロ事件(NSU 事件)に着想を得て生まれた。移民難民を如何にして受け入れるか。肌の色、宗教、出身、言語、性などの差別はなぜ生まれるのか。政情不安や飢饉などで故国を出ざるを得ない人がいる一方で、人口が先細り、労働力を他国に求める先進国が多く存在し、今後、様々な文化・人種が同じ国に生きていくのが当たり前の世界になってきている現在と未来。


多文化共生社会が叫ばれる中、文化間の摩擦の問題はいま最も向き合うべき世界レベルの社会問題と言える。NSU 事件では本作で描かれているように、移民社会内での犯罪を疑い、犯人逮捕まで最初の事件から実に 11 年を有した。犯人逮捕が遅れただけでなく、被害者や被害者家族までが疑われたのだ。『女は二度決断する』は、ネオナチの台頭や、トランプ大統領就任以降、顕著になっている右傾化する世界に警笛をならす。


★NSU 事件とは何か
ドイツで 2000 年から 07 年にかけて起こった連続テロ、殺人、銀行強盗事件の総称。NSU とは国家社会主義地下組織を意味するドイツ語 National Sozialistischer Untergrund の頭文字で、ドイツの極右グループの名称。ミュンヘンやハンブルクなど移民が多く住む地域を狙ってテロと殺人を繰り返し、04 年にはケルンのトルコ系商店で彼らが仕掛けた釘爆弾により 22 人が負傷した事件が起きた。*「残忍な犯罪はすべて移民の仕業」――移民による抗争と決めつけたことで遅れた犯人逮捕。警察は各事件を移民同士の抗争として初動捜査を開始した。被害者周辺の怨恨関係や犯罪歴を洗い出しなど、捜査対象を移民に絞り、何年もの間、ドイツ人を捜査対象にしていなかったのだ。解決の糸口が見えぬまま、2011 年 11 月、銀行強盗に押し入った犯人グループの内 2 人が警察に捕らえられる前に自殺し、残った 1 人が自首したことで事件の全容が発覚した。犯人グループは強盗により資金を得て、犯罪を繰り返していたのだった。彼らのアジトからは犯行の様子を撮影した映像や、殺害した警察官の所持していた拳銃や、トルコ人らの殺害に使用された拳銃が残されていた。テロ、殺人事件の捜査からではなく、この銀行強盗事件から、未解決だった過去の事件の真相が一気に判明したのだった。
*警察や政府内部にもネオナチがいる!


なぜ、7 年にもわたり同一犯が一切捕まるどころか、容疑者にもならず、犯罪を繰り返したのか。警察の初動見込み違いもあるが、政府組織や警察内部にまでおよぶナチス思想(ネオナチ、ヒトラー信奉)が犯人グループをサポートしていたというレポートもある。ある事件では国内の過激分子の監視をする組織である憲法擁護庁の 1 人が事件現場に居合わせ、トルコ系ドイツ人を殺害し逃亡する NSU を助けたという。その人物もまたナチス信奉者だった。ドイツ警察戦後最大の失態!NSU 事件とは?

10 年以上に渡る連続殺人を止められなかった、ドイツ警察戦後最大の失態!
国家組織の内部にまで、殺人犯を匿う人物が潜んでいたという事態に対し、メルケル首相は「今回の犯罪はドイツにとって屈辱であり、恥ずかしい事態だ」と述べ、捜査当局に対して事件の徹底的な解明を求めている。次々に人々を殺して歩き回る犯人を 10 年以上も摘発することができなかったこの事件は、ドイツ警察の戦後最も大きな失態と言われている。警察の操作方法からメディアまでもが移民同士の抗争と報道したことで、「被害者遺族は二重の被害に遭った」と言われている。

★果敢にこの事件の実態を描き世界中で絶賛されるファティ・アキン監督

NSU 事件に心を痛め、この事件を広く世界中に知れ渡ることを願ったファティ・アキン監督。彼もまたトルコ移民を両親に持つドイツ人である。その作風は明るく音楽に溢れる作品もある一方で、深刻な社会問題に鋭く切り込む作品もある。ジャンルに富み多彩だが、アキン監督はどの作品にも根底に移民難民の問題を描き続けている。最新作『女は二度決断する』でも主人公は金髪で青い目をしたドイツ人女性ながら、彼自身の「分身」として向き合ったと語る。ダイアン・クルーガー演じるカティヤの夫ヌーリはトルコからの移民で、その間に生まれた愛息ロッコとともに差別主義者の仕掛けた爆弾により命を落とす。なぜ彼らが標的になったのか。そして、被害者であるにも関わらず、さらなる差別を受けるかのように、犯罪歴や裏社会との繋がりを疑い続けられ、裁判も不利になっていくのか。ハンブルクで起こった NSU 事件では、アキン監督の兄の友人が犠牲になったという。ドイツで暮らす異邦人にとって、誰もが他人事ではない事件である。

★ドイツから世界へ発信
ドイツでは、戦後に必要になった働き手を外国から多くの労働者を求めた。2015 年時点のドイツの全人口約 8,120 万人。そのうち1,640 万人の外国人、もしくはドイツ国籍を取得した外国人が暮らしている。15 年は 1 年で 100 万人を超える難民が流入し、ドイツ政府は移民難民の対処に追われ続けている。移民受け入れに寛容な政策をとる一方で、ドイツ国民と言語、宗教、肌の色が異なる人たちとの軋轢は深まるばかりだ。世界中で移民や難民の流出が深刻になっている今の世界で、この問題は他人事ではなく、日本も近い将来に直面する問題である。どこか遠い国で起こったことではなく、これを機会に関心を持って観てみると、より深くアキン監督からのメッセージが理解できるかもしれない。

____________________________________________________________

『女は二度決断する』

2018年4月14日よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国にて順次公開
配給:ビターズ・エンド
公式HP:http://bitters.co.jp/ketsudan/
(C)2017 bombero international GmbH & Co. KG, Macassar Productions, Pathe Production,corazon international GmbH & Co. KG,Warner Bros. Entertainment GmbH

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/306383/34123589

ドイツ警察戦後最大の失態!NSU 事件とは?『女は二度決断する』を参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。




最新映画ナビ関連ブログ

最近の記事