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2017年5月19日 (金)

「猫、そして俳優が見せる一発目の瞬発力を大事にしたい」映画『猫忍』渡辺武監督インタビュー


北村一輝演じる無愛想な侍が真っ白な美猫・玉之丞と暮らす姿が人気を博した「猫侍」シリーズ。この人気シリーズのスタッフが結集し、新たに“猫×忍者”というコンビが繰り広げる物語を描いたのが、「猫忍」シリーズだ。幼い頃に父親と別れた新米忍者・久世陽炎太が、父親が変化(へんげ)したと思われる猫“父上”と出会い、“父上”と暮らしながら成長していく姿を描いたこの物語で、ドラマ・映画を通じて監督を務めた渡辺武監督に話をうかがった。


「猫侍」から「猫忍」と、猫をメインキャラクターとしたドラマと映画のハイブリッドシリーズを連続で監督されていますが、このシリーズが誕生した経緯を教えていただけますか?

■渡辺武監督:「猫侍」は、僕が参加する前にもともと映画の脚本があったんです。とても面白い脚本で、これは僕の後輩でもある山口義高くんが監督する予定だったんですね。それで、ドラマシリーズも並行して作るので手伝って欲しいということで、僕も参加することになりました。
それで、ドラマの方を僕が監督するという形になったんですが、ドラマの方が撮影が先だったんですよね。それで北村(一輝)さんと話しているうちにキャラクターが出来上がっていって、テレビの印象が色濃く残った部分がありまして。それで、シーズン2からは僕がメインで担当することになりました。


「猫侍」は映画版とドラマ版では少し設定が違いますよね?

■監督:そうですね、このシリーズはAMGエンタテインメントが製作する動物シリーズなんですけど、このシリーズはテレビと映画を並行して作っていくんです。そういう作り方だと、普通はドラマの最終回が映画という形になりがちなんですけど、そうしてしまうとドラマを見ていない人には映画の内容がわかりづらいということから、時間軸をずらすような形で、映画だけ見てもストーリーが理解できる設定を変えているんです。


なるほど。でも、「猫忍」シリーズではドラマのストーリーが映画に続いていくという流れになっています。

■監督:そうなんです、『猫忍』は今までとは違う作りになっていますね。「猫侍」で既にお客さんからも認知されているだろうということもあり、これまでの流れを壊しています。ストーリー的にも新米忍者の青春物語ということもあり、大きな流れのなかで登場人物たちの成長を一つのストーリーとして描きたいという理由もありました。


「猫侍」シリーズの成功があってこその、新機軸ということなんですね。この「猫」シリーズの成功の秘訣はなんだと思われますか?

■監督:世間の猫ブームにうまくマッチしたという点があると思います。それと、『猫侍』はいわゆる“うだつのあがらない親父”が主人公ですよね。その親父と可愛い猫のやりとりがとってもユーモラスで、猫を飼っている人にはその苦労がわかるし、飼っていない人にも親父のうだつの上がらない感じや、顔に出さずに心の中でアタフタする感じに共感できるということがあったんじゃないかと思いますね。


『猫忍』では、主人公が親父ではなくて若い新米忍者に代わりました。

■監督:今回難しかったのは、陽炎太にとってはその猫が“父上”なんですよね。父上である猫と陽炎太の距離感がとても難しかったですね。『猫侍』は人間と猫のやりとりだったんですけど、『猫忍』では人間と猫でありながら、息子と父親でもありますから。でも、父上が可愛すぎて、つい父親らしい扱いをせずに猫として可愛がっちゃうんですよ。普通、年頃の息子が父親に頬ずりなんかしませんよね(笑)。


確かに。父親に猫なで声で話しかけたりもしませんものね。何か他に、撮影時に苦労されたことなどはありますか?

■監督:父上を演じた猫の金時が、かなりビッグサイズなんですよ。撮影時8.5キロもありましたからね。父上を抱き上げるシーンなんかで、みんながつい「よいしょ」と口に出してしまったり(笑)。女優さんや子役なんて、父上を抱えるのも大変でした。


8.5キロとなると、かなりの重さですね…。今回の主人公、陽炎太役の大野拓朗さんと猫の金時ちゃんの相性はどうでしたか?

■監督:相性も良かったと思いますよ。金時も大野くんを信頼していたと思います。自分から大野に抱きつきにいっていましたからね。

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今作では、忍者というキャラクターが自由を獲得していく姿が現代的に描かれていますね。

■監督:ゆるく描いてはいるんですけど、実は彼らは忍びの掟に固く縛られているんですよね。だから、彼らと対比して、猫の自由さが際立ってくるんです。現代に生きる我々も社会のルールや法律に縛られていますから、主人公たちが猫と共に暮らすことで自由に生きられるようになっていく、息苦しさを自分たちで解放していく姿に現代の人にも共感していただければと思いますね。


このシリーズは、殺陣も見所だと思います。忍者ということで、陽炎太が苦無(くない)という武器で戦っているのも新鮮でしたが、撮影は大変だったのではないですか?

■監督:今回、苦無という武器を選んでしまったことで、大変になっちゃったんですよね。本当はもっといろいろな武器の選択肢があったんですけど、テレビをやっているうちに陽炎太の得物は苦無ということで固まっていったんです。陽炎太は猫を抱えて戦うことが多いので、そうしてしまうと刀を使うのが難しいんです。猫を抱えて、忍者刀をしょってだと、着替えもできないですし(笑)。苦無だと接近戦になりますから、大野くんも大変だったと思います。


陽炎太を演じる大野拓朗さんですが、彼の俳優としての魅力はどういう点でしょう?

■監督:ものすごくクレバーな俳優さんで、ものすごくいろいろ考えている人ですね。今回はコメディ要素もある時代劇なので、やりすぎないようにということは注意していたようです。僕のことも信頼してくれて、僕が笑えるかどうか、どこまでやればいいのかバランスを考えながら、陽炎太像を作り上げてくれました。


今回の撮影は日光江戸村で行われたとのことですが、日光江戸村での撮影はどうでしょうか?

■監督:日光江戸村はコンパクトなんです。普段は観光客の方が入っている町屋などがあるんですけど、セットではなく本建築の建物を利用できるのがいいですよね。週に1回くらいしか使えないんですけど。あと、地面がコンクリートやアスファルトだったりすることさえ気にしなければ…(笑)。


気づきませんでした…。地面は映さないようにされているんですか?

■監督:いや、「猫侍」の時から思いっきり映してます。でも、お客さんの目がそこに行ってしまうような演技ではダメだということで(笑)。


なるほど、ドラマの方に目が行ってしまえば、地面には目がいかないですものね。監督はもう猫の演出のエキスパートとも言えると思いますが、猫を撮影する上での極意のようなものはありますか?

■監督:目線を取るのも一苦労なんですよね。ラッシュを見ると、カメラの方を向かせようと後ろでスタッフが大騒ぎしているのがわかりますよ。でもまあ、ダメな時はダメなんでね、あんまりねばって撮影するのではなく、猫が飽きてこないうちにパッと撮影するようにしています。


金時ちゃんも可愛かったですが、佐藤江梨子さん演じる紅葉が飼っている“真心”を演じたあんみつちゃんも可愛かったです。二匹と紅葉が部屋で一緒にいるシーンも、いいシーンでしたね。

■監督:金時とあんみつも相性が良かったんです。二匹が一緒にいるシーンは、金時がよく我慢してくれました。あんみつはまだ子どもだから、遊びたい一心なんですけど、金時がジッとしてくれてましたからね。金時はああ見えて、割と気が弱い部分もあるんです。でも、撮影現場では一番大物ですからね。現場に入ってくるのは常に猫が一番最後なんです。「金時さん、お願いします」と最後に入ってもらってます(笑)。


では、監督ご自身のことについてお聞きしたいのですが、渡辺監督が映画を撮影されていくなかで、一番大切にされていることはなんですか?

■監督:現場の雰囲気はなるべく大切にしようと思っています。それと、俳優さんの瞬発力を大事にすることでしょうか。その状況において一発目に何が出てくるか、その中で僕らが何を拾えるかが大事だと思いますし、自分はそういうスタイルですね。だいたい、テストを1回して、すぐに本番に入るんです。しかもこの現場だと、猫がいますからね。猫の演技も一発目が良かったりするんですよね。猫がバタバタ暴れ出さないうちに撮影を終えてしまうということも必要なので、俳優さんも緊張感を持って現場に入ってくれます。僕らとしては彼らがその高い集中力を持って撮影に臨めるようにお膳立てをするのが大事だと思っています。


今後、こういう映画を作りたい、といったような希望や次回作の構想などがあればお聞きしたいのですが。

■監督:そうですね、この『猫忍』がうまくヒットしてくれれば、パート2、パート3と作れればと思いますね。でも、どんな話にするんだ、ということもありますが(笑)。猫を題材にするのってやっぱり難しいですよ。


「猫侍」シリーズでは“あなご”という猫界のスターを輩出し、本作『猫忍』では“金時”というビッグ・スターを生み出したこのシリーズ。彼らの魅力を存分に引き出せるのは、ドラマ、映画と時間をかけて猫や俳優と関係を築き上げているからこそだと実感できたインタビューだった。猫たちの自由でかわいらしい姿を引き出し、世の猫好きを喜ばせてくれた渡辺監督には、ぜひともこの“猫×時代劇”シリーズの続編の製作をお願いしたいと、猫好きの一人として切に願うところだ。


【取材・文:松村知恵美】

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『猫忍』
2017年5月20日より 全国にて
配給:AMGエンタテインメント
公式HP:http://neko-nin.info/
©2017「猫忍」製作委員会

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