« クリストファー・ノーラン監督最新作『ダンケルク』9月9日(土)公開日決定! | メイン | 特別企画 宣弘社 小林社長インタビュー(2)『オールナイトは命がけ!!』シルバー仮面全話一挙上映 in ニュー八王子シネマ イベント写真 »

2017年4月28日 (金)

特別企画 宣弘社 小林社長インタビュー(1)拍手と涙の“命がけオールナイト”上映!異色のヒーロー、あの「シルバー仮面」がまた新たな伝説となる!!

Main001



 3月26日。Twitterのトレンドワードの第3位に、突如として懐かしのテレビヒーロー「シルバー仮面」の名が躍り出た。「シルバー仮面」、それは日本初の連続テレビ映画「月光仮面」(1958)に始まり、60年代から70年代にかけて子供たちをテレビの前にくぎ付けにした宣弘社が1971年に放った異色の変身ヒーロー。それまでにも「ウルトラマン」や「怪奇大作戦」などの特撮テレビドラマで息のあったコンビネーションを見せた監督・実相寺昭雄と脚本家・佐々木守が企画段階から参加。ふたりの個性と才能が70年代の熱い空気の中で見事に結実。なかでも実相寺監督が手掛けた第一話は、その斬新な演出によりカルト中のカルトとなっている“伝説”の作品だ。だがなぜいま「シルバー仮面」なのか!?


実はこの日の前夜3月25日から東京都下・八王子の某所では、「シルバー仮面」全26話を一気見しようという大胆なイベントが行なわれていた。『オールナイトは命がけ!!』と銘打たれたこの企画、入退室自由、スクリーンの撮影自由、会話もツッコミも自由と、まさになんでもありの「お祭り」イベント。その粋な計らいに呼応して、参加者はTwitterでイベントを生中継。その呟きがオモシロイものには目がないネットユーザーの手により日本中に広がっていったわけだ。しかしそれにしても、映画上映の常識を破るこの「お祭り」イベントの発想はどこから生まれたのか? その秘密を探るべく筆者は渋谷文化村、松濤の一角にある株式会社宣弘社を訪れ、代表取締役の小林隆吉氏に話を伺った。


「逆光の中に人が!」――
Blu-rayが明らかにした
実相寺昭雄監督、本来の「シルバー仮面」。


Main002


――夜9:00から翌朝の10:00まで13時間にも及ぶ長丁場。往年のファンの方たちに加えて20代、30代の若い方たちの参加も多かったと聞きました。みなさん大満足でお帰りになられたようですね。

小林:イベントタイトルからして『オールナイトは命がけ!!』。みなさん疲れてぐったりとされるのではと心配していたのですが、杞憂に終わりました。途中で帰られたのは急遽仕事が入ってしまわれたお一人だけ。全26枚の「倒せ!星人宇宙人シールラリー」もコンプし、最終話が終わったときには「やった!」と拍手が。このオールナイトイベント、企画してくれたのはうちの若いスタッフですが、それをああいう歴史ある映画館でかけてもらえたのもとてもありがたかったです。


――1月31日に70年の長い歴史に幕を下ろしたニュー八王子シネマですね。シネコンとは異なる、都内には数少なくなった老舗の映画館ビルでした。

小林:みんなに親しまれた映画館が姿を消していく。その最後の上映とするということで話題性もあるし、昭和のヒーロー「シルバー仮面」とのイメージにも合うのではないかと。実はこのイベントにあわせて「会場限定Tシャツ」を作ったのですが、そこにも「シルバー仮面」と「ニュー八王子シネマ」、ふたつのネームをクレジットすることで、よりメモリアル感を出しています。消えゆく映画館を惜しむ人たちの記念にもなるのではと…。高揚感もあるのでしょうけども、なかには涙を流されている方もいらっしゃいました。


――その感動の裏には、これまでには気づかなかった「シルバー仮面」の新たな側面がオールナイト上映の中で見えてきたということもありそうですね。

小林:そうですね。この作品はいまでこそ映像の世界のプロの方たちからの人気も高いのですが、放映開始当時はほんとうにハラハラ。映像は暗いし、ヒーローは“街角を走る”しで、その頃営業をやっていたぼくも「これ、大丈夫なの?」と(笑)。今回のオールナイトは、初の「HDネガテレシネBlu-ray」発売に合わせての「シルバー仮面」全話一挙上映。これはイベントに参加された、あるファンの方がおっしゃっていたのですが「あの第一話もこの画質で観ると、ただ真っ暗なのではなくて逆光の中で人が動いていたのが分かる。これが実相寺監督の見せたかった本来の『シルバー仮面』だったのではないか…」と。


――HDネガテレシネをはたしたBlu-rayによって、「シルバー仮面」は時代を超えたということですね。「シルバー仮面」といえば、その映像面での先鋭性もさることながら、シリーズ半ばで突如としてジャイアントになったということでも異彩を放っています。

小林:これまで「シルバー仮面」といえば「人間ドラマを強調した等身大の第10話までが名作。巨大化してからの11話以降は適当な子供番組」という評価が多かったのですが、今回の上映でそこにある変化が生まれたんです。オールナイトで全話を通してみると、実はきちんと繋がっていて破たんがないのが分かる。子供たちにしっかりと向かい合い彼らを楽しませる作り方をしていたのだなと。しかもテレビで一人黙々と見ていた子供の頃とは違って、周りには自分と同じ「シルバー仮面」ファンがいる。ファンの方たちにとってはその “一体感”も嬉しいことだったのではないでしょうか? とりわけ、往年のファンの方たちは次に何が来るかが分かっていて、そこで一斉にカメラを構えてバシャバシャ。


――みんなで楽しむ。まさにオールナイト上映の醍醐味ですね。しかも今回のイベントには「シルバー幕の内」「ジャイアント弁当」、それに「もなか」という楽しいおまけもありました。

小林:すべて、ファンのために何ができるだろうというところから生まれたものです。「もなか」は第15話『怪奇宇宙菩薩』とリンクしています。そのエピソードでは菩薩がバリっと割れて中から怪獣(ボルト星人)が出てくるのですが、ファンの方の中にはそこで食べようと…。「バリっ!」「バクっ!」というライブ感でしょうか(笑)。それと会場で人気を集めたのが「復刻版ソフビ (クリアタイプ)」。これもただ飾るというのではなく、遊んで楽しんでいただこうという趣旨で作りました。パーツを外すことが可能な柔らかい素材、しかもスケルトンにすることで、その中のモールや紙を差し替えて遊ぶ。Twitterでは「ハンカチを入れてみました」などという報告もあったようです。

「ファンに還元していきたい」――
昭和のヒーローに新たな光を当てる小林社長のライツ事業戦略。


――グッズ販売もそうですが、スクリーン撮影も驚いたことの一つでした。ライツ(著作権管理)を事業とされている宣弘社さんでなくてはありえないイベントですよね。

小林:ファンに還元ということでチケットも前売り2500円、当日3000円で実施しましたが、これが他社での企画だと大変な金額になるでしょうね。「シルバー仮面」を始め、弊社が取り扱っている作品は「昭和のヒーロー」。いまからするとかなり古いわけですが、その分、新しいことでこれらの作品に光を当てていきたいと思っています。カレンダーのようなグッズにおいても、これまで人があまり「見たことがない」写真を中心に、クオリティをあげたものを使うという配慮をしています。あと、昨年好評だった「宣弘社テレビコンサート」も大阪の方でやれたらいいなと思っています。


――「シルバー仮面」に続く今後のイベントなども期待していいでしょうか? 4月1日には“退室厳禁「隠密剣士」オールナイト上映”というエイプリールフール・ネタもネットを賑わせましたが…。

小林:あれを実際に上映しようとすると一日では終わりません。全128話もありますから(笑)。「隠密剣士」といえば、この作品は以前オーストラリアで放映され、主演の大瀬康一さんは当時ビートルズをも凌ぐほどの人気で、メルボルン空港には5,000人ものファンが押し掛けたそうです。昨年シドニーで行なわれた「Matsuri - Japan Festival」には、弊社も「隠密剣士」で「伊賀村」に参加。私も大瀬さんと一緒に出席したのですが、あの「隠密剣士」がくるということで、放送から何十年も経つというのに大瀬さんのファンクラブを中心に多くの方が集まってくれました。向こうでは「しんたろう」と言えば勝新太郎でも石原慎太郎でもなく「隠密剣士の秋草新太郎」(笑)。ちっちゃい時のヒーローが心の中に残っていて、そしていまその人が自分の目の前にいる。彼らにとっては、ぼくが子供の頃に「ローハイド」や「ベン・ケーシー」といったアメリカのテレビドラマを見てその主人公に憧れたようなものなんでしょうね。

松濤の閑静な住宅街の一角。「シルバー仮面」「月光仮面」「快傑ハリマオ」などのフィギュアに囲まれたノスタルジックな柔らかい空気の中、ヒーローを語る小林社長の目はとてもやさしく、その話はいつまでも尽きない。昭和30年代の国民的なプロレス人気、それを観戦するため街頭テレビや友だちの家に集まった多くの人たち。やがてテレビはカラーになり、新聞のテレビ欄にはカラーマークが躍るようになる。記憶の中から紡がれる懐かしいエピソードの数々。その向こうに「三丁目の夕日」の風景が広がる。そう、あの頃、テレビの中にはいつもヒーローがいた。いや何よりもテレビそのものがヒーローだった。2017年、宣弘社は「アイアンキング」が放映から45周年、「光速エスパー」が50周年、そして「隠密剣士」が55周年という節目の年を迎える。日本の放送事業に長く貢献してきた一家の中で、ヒーローとともに生まれ育ってきた小林隆吉社長。その思いは平成のいまを生きる若いスタッフへと受け継がれ、新たな事業の推進へと繋がっていく。「ファンへ還元したい」という小林社長の言葉が強く心に残った。                    
(インタビュー・文:永島 浩)


シルバー仮面
http://www.senkosha.net/contents/10.html

(C)宣弘社

トラックバック

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。




最新映画ナビ関連ブログ

最近の記事