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2015年7月 7日 (火)

特集上映「大阪バイオレンス3番勝負」 石原貴洋監督インタビュー

特集上映「大阪バイオレンス三部作」 石原貴洋監督インタビュー

海外の映画祭では、“ミスター・バイオレンス”と呼ばれるほどの存在。大阪を拠点に産み出されるバイオレンス映画は、特にヨーロッパで熱狂的な支持を受け、“大阪バイオレンス”というジャンルで語られるまでになっているという。

大阪バイオレンス三部作――『大阪外道』『大阪蛇道』『コントロール・オブ・バイオレンス』を引っさげ東京進出を狙う石原貴洋監督、その意気込みのほどを伺った。

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どうしてバイオレンス映画を撮ろうと?その前は子供の映画を撮っていたようですが。

■石原監督:中途半端がダメなんですよ(笑)。子供の世界って、ポジティブで明るいもの。その真逆が暴力の世界。極端にかけ離れているふたつの世界に興味があって、“陰と陽”どちらからやろうかなと思って、明るい方から取り掛かったわけです。子供と言っても、受験勉強に追われているような子供には興味ない。大人だって、普通のサラリーマンの映画なんて観たくない。そう、中途半端がキライなんです。


今回上映される3本のうちの最初の作品『大阪外道』には、子供も登場します。

■石原監督:先ほど言った“陰と陽”を融合させた映画を撮りたいと思ってきました。これは10年前から考えていたアイデア。いきなりやっても失敗するので、かたっぱしから“素材”を集めて10年、確実に“料理”できるテクニックが培われたところで、『大阪外道』に臨んだわけです。


石原監督は「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭(以下、ゆうばりファンタ)」との縁が深いですね。

■石原監督:長編1本目の『VIOLENCE PM』で初めて「ゆうばりファンタ」に参加しました。他の映画祭じゃなくて、直感的に「ゆうばりファンタ」じゃないとダメだと思ったんですね。この映画で北海道知事賞をいただき、(『大阪外道』からプロデューサーとなる)林海象さんとも知り合えました。そして、ほかの海外の作品を観て、世界に通用するための基準が分かりました。それで、「もう一回、勝負だ」と思ったわけです。


次の『大阪外道』でグランプリを獲るわけですね。

■石原監督:そうです。「ゆうばりファンタ」は大きなチャンスを自分にくれた映画祭です。


「ゆうばりファンタ」で知り合った海外の映画人で、意識する人はいますか?

■石原監督:僕の『VIOLENCE PM』が賞を獲った2011年にグランプリを受賞したオ・ヨンドウ監督の『エイリアン・ビキニの侵略』を観て、韓国映画を意識し始めましたね。その時の審査員だったナ・ホンジン監督(『チェイサー』ほか)から声をかけて頂いたこともあって。韓国映画のバイオレンスは、日本映画に足りない“活力”がありますよね。喜怒哀楽が激しいし、喧嘩もよくするし、騒ぐ時は徹底的に騒ぐ。人間同士の密度が濃くて、距離が近いんですよね。


韓国と言えば、「プチョン国際ファンタスティック映画祭」にも参加されています。

■石原監督:かなり熱狂的な映画祭でした。(招待作品として参加した)『大阪外道』は満席でした。ヨーロッパの人たちもたくさん観に来ていて、もうドッカンドッカン(笑)。


「ゆうばりファンタ」でグランプリ受賞後に撮ったのが『大阪蛇道』ですね。

■石原監督:子供時代から始まる、男2人女1人の人生の物語です。大人になって、ひとりは無能なヤクザだけど家庭を持って幸せに、ひとりは有能なヤクザだけど天涯孤独という設定です。演じてくれた仁科貴さんと坂口拓さんとも、「ゆうばりファンタ」で知り合ったんです。


ロケはいつも地元ですか?

■石原監督:ロケはいつも生活臭が感じられる場所で、と考えています。大阪のどこでもない場所だからこそ出せる下町感覚です。通天閣や道頓堀なんて、観光客が行くところでしょ?そんなところじゃ頼まれても撮りたくない(笑)。


最新作『コントロール・オブ・バイオレンス』には、敵役で渋川清彦さんが出ています。

■石原監督:実はあの役、渋川さんが第一候補だったんです。「僕はあなたを、悪役キャラで売り出す自信があります」と、生意気にも手紙を送って。そしたら僕を信じて、「出たい」と言ってくれた。嬉しかったですね。


石原監督の映画にはヤクザが出てきますが、いわゆるヤクザ映画とは一線を画してますね。

■石原監督:『コントロール・オブ・バイオレンス』は、チンピラvsヤクザvs餃子のおっさんという三つ巴の構図です。実は、ヤクザvsヤクザ、集団抗争的なものにはあまり興味ないんです。ヤクザを登場させながらも、僕としては堅気の方が強くあって欲しい。「堅気をナメんなよ」っていうのが正直な気持ち。だから、ヤクザより凄くてヤバい奴がいるっていう設定が好きなんです。


ヤクザも恐れる謎の“能面”とか、そのスゴい奴のキャラクター作り、楽しんでますね。台本はどの程度作りこみますか?

■石原監督:ベタじゃない新鮮なキャラ作りを心がけています。衣裳も含めてね。大阪人を演出する時は、余白を作ったほうが面白い。台本は80、あとの20はアドリブをくっつける。つまり、出演者に20だけ残しておいた上で、150で走らせる。そのあとで50切って100にする。そんな感覚です。


尺(長さ)対するこだわりはありますか?

■石原監督:ありますね。大好きな『マッドマックス2』って91分とコンパクト。最新作の『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は120分あるけど(笑)。それはさておき、バイオレンス映画は長くない方がいいでしょう。作り手としてはいろいろ詰め込みたくなるけれど、20%くらい切って80%にした方が、観客に伝わるんじゃないかな、というのが僕の考え。『大阪蛇道』では詰め込みすぎちゃって110分になった。それが唯一の反省点。(「ゆうばりファンタ」で)グランプリを獲って熱くなってたのもあるかな。その反省から『コントロール・オブ・バイオレンス』では80分ほどに戻しました。


そのせいか、編集も洗練されてきた気がします。モノクロの映像も含めて。

■石原監督:実は、ずっと白黒で撮りたかった。でも、白黒にしちゃうとアート寄りに思われる、と周りから反対されて、泣く泣くガマンしてました。もうそろそろやらして欲しいと、『コントロール・オブ・バイオレンス』で白黒にしたんです。編集に関しては、仮編集から自分でやります。手直しも自分でやりたい。でも、「意見を聞く耳は持つよ」ってスタンス。林(海象)さんにいつもボロっかすに言われるんですが、意見を頂くとこちらの水準が上がっていくのが分かります。目利きの助言者がだんだん増えてきたのは実感するところですね。


小さい頃から映画を観てきたと思いますが、どんな映画少年でしたか?

■石原監督:「ドラゴンボール」や「北斗の拳」が好きな少年でした。映画では『マッドマックス』が一番。そして『ターミネーター』であり、ジャッキー・チェンの映画であり、『ダイ・ハード』。十代の頃は観まくってました。映画を撮るようになってからは時間がなくて観られないですが、十代の頃の栄養分が活きてる感じ。子供の頃、父親が某大手電機メーカーに勤めていた関係で、発売前のホームビデオを“試し使い”できたのは恵まれてました。家族の晩ごはんとか、その頃から撮ってた。だからキャメラは手の一部みたいなもんですね。


さて、7月11日からいよいよ東京で3作品の連続上映です。どんなことを期待しますか?

■石原監督:大阪での上映時はちょっと意外だったんです。もっとワルい奴らが観に来るかと思ったら、女性客が多かった。東京では口コミで広がってくれたらいいかな、と。観てみると中身はしっかりしてて、Vシネマみたいなのとちょっと違う、何かちょっと新しいぞって。好奇心を持って飛び込んできて欲しいですね。


《石原貴洋監督 プロフィール》
1979年生まれ。大阪ビジュアルアーツ専門学校卒業。2004年より地域密着型の小学校映画の製作を開始する。2010年の『VIOLENCE PM』が韓国の「富川国際ファンタスティック映画祭」に招待され、「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭」では北海道知事賞を受賞する。2012年の『大阪外道』で同映画祭オフシアター・コンペ部門グランプリを受賞。続く『大阪蛇道』(13)『コントロール・オブ・バイオレンス』(15)も「ゆうばりファンタ」で上映されるなど、ファンから熱い支持を受けている期待の監督。


【取材・文/川井英司】
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特集上映:「大阪バイオレンス、3番勝負 石原貴洋監督作品」

2015年7月11日よりテアトル新宿(レイト)にて
『大阪外道』7月11日(土)~7月17日(金)
『大阪蛇道』7月18日(土)~7月24日(金)
『コントロール・オブ・バイオレンス』7月25日(土)~7月31日(金)

公式HP:http://ishihara-movie.com/
©石原映画工場

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