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2015年1月 9日 (金)

『アップルシード』は「チャレンジしたくなる作品」 荒牧伸志監督に聞く3DCGの未来

『アップルシード』は「チャレンジしたくなる作品」 荒牧伸志監督に聞く3DCGの未来

士郎正宗の傑作コミックをフル3Dライブアニメで映画化、国内外に衝撃を与えた『APPLESEED アップルシード』の誕生から10年。続編『エクスマキナ』の公開から8年の時を経て、待望のシリーズ最新作となる『アップルシード アルファ』が登場した。

本シリーズは、大戦後の世界を舞台に、主人公の女性・デュナンと、男性サイボーグのブリアレオスが繰り広げるアクション作品。最新作で描かれるのは、前2作の前日譚ともいえる“始まりの物語”だ。廃墟と化した世界の中、二人がいかに絆を育み、希望を見出そうとしてきたのかが、スピード感あふれる映像と最先端の3DCG技術によって明らかにされる。

シリーズを通して中枢を担う荒牧伸志監督は、「『APPLESEED』は、自分にとってチャレンジの作品」と力強くコメント。本作に込めたチャレンジ。そして、色あせぬ『APPLESEED』の魅力についてたっぷりと語ってもらった。

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『APPLESEED』の最新作を描く上で、テーマとして前2作の前日譚を選ばれたのはどんな理由からでしょうか。

■荒牧:プロデューサーから『APPLESEED』の新作をやりませんかと言われて、今やるならば『APPLESEED』の一番大事な、中心となる主人公二人の話をピュアに描きたいと思って。原作を読み返してみたときに、一巻の冒頭で二人が廃墟をさまよっているシーンを膨らませれば、彼らの心情にすごく寄り添った話が描けると思ったんです。また昨今、世の中に対する閉塞感を感じていて、僕自身、重苦しい感じがしていましたので、その部分を主人公二人の戦争が終わった後の失望感と重ねられないかなと。その中で小さいなりに希望を見出していく話を作れれば、僕の今の心情とも繋がるんじゃないかと思いました。


セルルックだった前2作と比べ、今回はリアルを徹底的に追及したフォトリアルの技法で描いています。本作とフォトリアルの相性をどう感じていますか?

■荒牧:主人公二人のパーソナルな部分を伝えようというときに、できるだけリアルな映像にした方がいいと思ったんです。実は最初は、内部でもフォトリアルのルックに対する抵抗があったんですよ。コストやスケジュール的なハードルもあるし、前2作がセルルックだったということもあって、ファンの反応を気にする意見もありました。でも僕にとっては、『APPLESEED』ってチャレンジの作品なんです。1作目のときもそうでしたし、「同じことをやっていては『APPLESEED』じゃないぞ!」という気持ちでいて。今、セルルックのCGアニメが広がってきていますから、自分はみんなが行かない方向に行こうと(笑)。『APPLESEED』はそういうことをやりたくなってしまう作品なんです。


荒牧監督にとって、フォトリアルへのこだわりとはどんなものですか?

■荒牧:もともと僕が映像業界に入ったきっかけは、メカデザインという、リアルなメカをデザインするところから入っていて。セルアニメのメカをいかにリアルに描くかということを、一生懸命にやっていたんです。それからCGというツールに出会い、「だったらもっとリアルにやれるじゃないか」と。メカをリアルにしたら、それに合わせて世界観もキャラもリアルにしたいと、そうやって突き進んできました。子供の頃からメカが好きでしたから、どうしてもメカ中心に物事を考えて、ここまで来てしまった感じがありますね。最近になってやっと、人間にも興味が出てきたようなところがあります(笑)。


士郎正宗さんの原作が誕生してから、30年。『APPLESEED』は今なお愛され続け、新たなファンを生み出し続けています。どのようなところが人々を惹きつけているのだと思いますか。

■荒牧:士郎さんは、とにかく引き出しが多い。士郎さんの作品は絵的にもそうだし、情報的にもものすごく密度が濃くて、『APPLESEED』にはそのすべてが詰め込まれているんです。その後に発表された『攻殻機動隊』の要素もあるし、未来都市のエコの問題、核の問題もすべて入っている。今STAP細胞が話題ですが、そういったクローンの問題も彼は30年前にすでに作品に入れ込んでいるんです。すべてのものが揃っている物語で、掘れば掘るだけ底が見えなくなるようなストーリー。化け物だと思いますね。


士郎さんから、『アルファ』への感想は聞きましたか?

■荒牧:ありがたいことに感想もいただいているんですが、今回はシナリオにもいろいろとコメントという形でご意見をいただいたんです。原作者の方は、どちらかというと「これはやっちゃダメ」などダメ出し的なことを言ってくるイメージがありますが、士郎さんの場合、僕らのやりたいことをちゃんと踏まえた上で、「もっとこうしたら、こうなるんじゃないか」という意見をくれるんです。しかもそれを取り入れるも取り入れないも、そちらにお任せしますというスタンスで。今回たくさんの部分を取り入れさせていただき、それは非常に心強い援護射撃でした。


『APPLESEED』は掘れば掘るほど、新たな魅力が感じられるとのこと。今回感じた新たな魅力はありましたでしょうか。

■荒牧:やっぱり、主人公二人がすごく面白いキャラクターだということですね。デュナンはブリアレオスがいてこそのデュナンだし、ブリアレオスにはサイボーグの姿になってしまったことで、自分は人間なんだろうかという葛藤がある。付き合いの長い二人は、傍目には安定した関係に見えても、どこか脆い部分が根底にある。二人の関係は危ういといえば、危ういんです。そういった感じを出していければいいなと思います。


デュナンもブリアレオスも、ものすごく体温の感じられるキャラクターになっていました。CGでありながら、温かみのあるキャラクターを作り上げる秘訣はありますか。

■荒牧:特にブリアレオスはサイボーグですからね。フォトリアルでリアルに描くと、よりロボット感も増してしまって、人間ではない感じも出てしまう。手の仕草が人間臭かったり、しゃべるときに頭を振りながらしゃべらせてみたりと、仕草で人間っぽくするように意識しています。


なるほど!では最後に、3DCGで今後チャレンジしてみたいことを教えてください。

■荒牧:一番テーマにしているのは、キャラクターの表情です。自分の顔も含めて、日々誰もが接しているものなので、そこに対する違和感をできるだけなくしていきたいです。表情のクセって、人の数だけあると思うんです。例えば笑った顔って、いろいろな笑い方があって、みんな独特で面白い。そういった、一歩踏み越えたところまでいけるともっとキャラクターが本物になっていけるんじゃないかという気がしています。もちろん、『APPLESEED』の続編もぜひやりたいと思っています!


【取材・文/成田おり枝】


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『アップルシード アルファ』
公開:2015年1月17日より新宿バルト9、梅田ブルク7ほか全国にて
発売情報:Blu-ray劇場限定版 1月17日(土)発売/Blu-ray完全生産限定版 2月18日(水)発売
配給/発売元:アニプレックス
公式HP:http://appleseedalpha.jp/

Motion picture ©2014 Lucent Pictures Entertainment Inc./Sony Pictures Worldwide Acquisitions Inc., All Rights Reserved. Comic book ©2014 Shirow Masamune/Crossroad

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