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2014年9月24日 (水)

『マザー』楳図かずお監督インタビュー 新しいことを見つけることが、僕の生き方

『マザー』楳図かずお監督インタビュー 新しいことを見つけることが、僕の生き方

「おろち」「洗礼」「漂流教室」など、数々の傑作を世に送り出してきた天才漫画家・楳図かずお。恐怖漫画を中心に、想像力と知性にあふれたストーリー、圧倒的な表現力でファンを魅了し続けている。このたび、1995年以降、腱鞘炎のため休筆をしている楳図先生が77歳にして映画監督デビュー。自ら脚本・監督を手がけ、自叙伝的ストーリーをふんだんに盛り込んだ映画『マザー』を完成させた。“唯一無二”の世界観。現実と幻想の狭間で、恐ろしくも切ない愛の物語が繰り広げられていく様は、まさにウメズ・ワールドの真骨頂だ。
そこで、楳図先生にインタビューを敢行すべく、“まことちゃんハウス”に潜入!映画と漫画の違い、パワーの源までたっぷりと語ってもらった。

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『マザー』楳図かずお監督インタビュー 新しいことを見つけることが、僕の生き方


77歳にして映画監督デビューを果たされました。題材として、自伝的ストーリーを選んだ理由を教えてください。

■楳図:なるたけ新しいものを作りたいと思っていたんですね。他には絶対にないテーマで、何が自分らしく、新しいものかといったら、やっぱり自分自身のことだなと。自分自身のドキュメンタリーを、どこまで嘘の世界として展開できるかなという試みに今回、挑んでみました。やっぱり同じことを繰り返しやっても喜んでもらえないことはもうわかっていますので、「新しいものを出さなきゃ」というつもりでいました。


楳図先生の漫画同様、ぐいぐいと引き込まれるような展開でした。ストーリーを作る上で心がけたことはありますか?

■楳図:入り込んだら出られないくらいのテンポの良さで、畳み込んでいきたいと思っていました。そこは一番気にしていた部分です。なるべく、寸分の無駄のない作り方をしたいと。それは漫画でも同じですね。やっぱり無駄ゴマが並んで出てくると、見ている人は飽きちゃいますので。ひとつひとつに意味があって、それぞれが流れの中できちんと役割を果たしている。そういう構成になっていないといけないんじゃないかな。


主人公・楳図かずお役を演じるのは、歌舞伎俳優の片岡愛之助さんです。愛之助さんの演技はいかがでしたか?

■楳図:最初は全然、歌舞伎役者の方にお願いすることは考えていなくて。でもお願いしてみたら、すごく面白いなと。愛之助さんには、自分のペースで「愛之助さんのやりたいようにやってくださっていい」と言いました。もう、お任せしますということですね(笑)。歌舞伎役者さんにお願いして良かったなと思ったのは、歌舞伎はリアリティの世界ではなく、お話の世界をどのように本当らしく見せるかということが肝心。本作でもそれは同じです。歌舞伎役者さんは、僕の世界とはまるきり違うように見えて、想像の世界を作っているというところですごく共通していると思いました。


楳図先生の創作の原点ともいえる母・イチエ役には、真行寺君枝さんを抜擢されました。恨みの顔など、とても怖かったです!

■楳図:そうなんです!真行寺さんには、ご本人は怖いと思っていないのに、それが出てしまうという良さがありますね。ニッコリ笑っているのに、笑い方が怖いというのは、ご本人にとっても計算外だったと思います。ビジュアル的に“きれいなお母さん”ということでキャスティングさせていただいたんですが、それが動くとどうなるかということまではあまり考えていなくて。動く真行寺さんを見て、優しいけれど、怖い。そういった裏表のものを感じました。


“怖い”と“きれい”は紙一重という世界観は、ウメズ・ワールドに共通したものだとも思います。映画を撮ってみて、改めて紙一重を実感しましたか?

■楳図:はい!映画をやってみて、より、“怖い”と“きれい”は紙一重で、“怖い”と“優しい”もつながっていると感じました。漫画だとやはり動きがないので、AからBにパッと飛んでしまうんですね。なので、漫画だと怖いところは怖く描かないと見えてこないんですが、今回、真行寺さんの優しい仕草が怖いものに見えてきたのは映画ならではのこと。それはやってみて意外でしたね。僕にとっても、大発見でした。


ルーツを探るべく、生まれ故郷の高野山も登場します。改めて、高野山を詳しく取材してみたりしたのでしょうか?

■楳図:それはないですね。僕、そういうのはあまりやらない方なんです。実は漫画を描く時に、しっかり下調べをして描いた漫画はあまりウケないというジンクスがあって(笑)。それは多分、事実に縛られ過ぎちゃうからだと思うんです。嘘の方に行けなくなっちゃうんですね。やっぱり、ドキュメンタリーより想像の方が先行しないと、縛られちゃいますよね。今回、ドキュメンタリーの部分ではめちゃくちゃ外れています。昭和のようでありながら、携帯は出てくるわ、インターネットは出てくるわで、時代も無視していますから(笑)。


お話を聞いていても、とてもエネルギッシュです。楳図先生のパワーの源は何ですか?

■楳図:僕は、新しい怖さを見つけたいんですよね。新しいことをすること自体が、ひとつの僕の生き方というふうに出来ているらしくて。新しいことを見つけた時って、「さあ、頑張ろう!」ってなりますから。それは、生きる上での大きな根拠ですね。今、チャレンジしている新しいことですか?大それたことはやっていないんですが、5か国語をラジオで聞くようにしていて。フランス、イタリア、ドイツ、スペイン、英語をやっています。まだなかなか、しゃべれる段階にはならないんですけどね。


【取材・文/成田おり枝】


『マザー』楳図かずお監督インタビュー 新しいことを見つけることが、僕の生き方

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『マザー』
2014年9月27日より新宿ピカデリーほかにて
配給:松竹メディア事業部
公式HP:http://mother-movie.jp/
©2014松竹株式会社

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