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2014年5月29日 (木)

『MONSTERZ モンスターズ』中田秀夫監督インタビュー

『MONSTERZ モンスターズ』中田秀夫監督インタビュー

『女優霊』、『リング』シリーズなどでジャパニーズ・ホラーの恐ろしさを世界に知らしめた、中田秀夫監督。『ザ・リング2』『Chatroom/チャットルーム』などでハリウッド進出も果たし、近年では藤原竜也、石原さとみ出演の『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』、前田敦子主演の『クロユリ団地』など、日本でも活躍している。

そんな中田監督の最新作『MONSTERZ モンスターズ』は、藤原竜也、山田孝之、石原さとみという若手実力派俳優を迎え、“他人を思い通りに操る力”を持った男(藤原竜也)と、“ただ一人、男の思う通りに動かすことができない”男(山田孝之)、怪物的な能力を持った男たちの運命を描く物語。日本、そしてハリウッドで活躍する中田監督に、本作に登場する俳優たちの魅力や、ハリウッドと日本の映画作りの違いなどについて話を聞いた。

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『MONSTERZ モンスターズ』を映画化することになったきっかけを教えて下さい。

■中田:『インシテミル 7日間のデス・ゲーム』で組んだ時に藤原竜也くんと仕事をして、また一緒に仕事をしたい俳優さんだなと思いました。また『DEATH NOTE デスノート』で竜也くんと仕事をしていた企画プロデューサーから、また一緒にやりましょうという話があって、竜也くん主演で面白い映画企画を探そうということになったんです。
僕はもともとメロドラマをやりたいという希望があったので、この『MONSTERZ モンスターズ』の企画を日本でやれば面白いんじゃないかということになりました。


藤原竜也さんの俳優としての魅力は、どんなところにあるのでしょうか?

■中田:まず、フォトジェニックな美しさ、映画的なルックを持っている人なんです。クロースアップになっても、ひいて全身を写しても絵になる。また15歳くらいから、演劇界では蜷川幸雄さん、映画界では深作欣二さんという両巨匠に最初から鍛え上げられて、17年のキャリアを積んでいる。
映画って見た目の美しさがまず必要なんですが、それを持っていて、かつ俳優として巨匠に鍛え上げられた実力があり、その両方が詰まった俳優だということですね。


山田孝之さんはどんな俳優さんですか?

■中田:彼は、撮影の林淳一郎さんが撮影しながら「三船敏郎みたいな顔しているな」と言っていたりしたんですが、非常に濃い顔なんですよね。竜也くんの方がシュッとした和風の顔で、山田くんは鹿児島出身の薩摩隼人で、彫りの深い顔でコントラストがある。山田くんも竜也くんと同じくらいのキャリアがあるので、『闇金ウシジマくん』みたいな役や『クローズZERO』みたいな役、そしてこの作品のような好青年の役もできる。いろんな役にシュッと入っていける俳優さんだと思いますね。ハンサムなルックの上に、七変化みたいな魅力を持った人です。
演技のスタイルは精緻で、事前にすごく考える俳優さんだと思います。そして本番で自分のベストをガッと出してくる。


『MONSTERZ モンスターズ』には藤原竜也さん、山田孝之さん、石原さとみさんという三人の若手実力派俳優が揃っていましたね。

■中田:竜也くん、山田くん、石原さん、みんな主役をやってきている人なんですね。俳優は主役をやって来ているかどうかで違うんです。主役というのは常に周囲の皆から見つめられ続けているし、カット数も圧倒的に多い。そういう風に多くの人に見つめられ続けて来た俳優さんは、独特のオーラを持っているものです。三人ともそういうオーラを持っていて、演技のトレーニングも積んでいて、さらに天性の演技への勘というものもある。だから今回は、監督としてはあまり細かいことを言わなくてもどんどん撮影が進んだという感じですね。


石原さとみさんは『インシテミル』でもご一緒されていますね。

■中田:もともと演技の天才と言ってもいい女優さんだと思いますが、今回はより成長していたなあと。『インシテミル』の時は子どもの手術代を作るために人殺しも辞さないという母親の役だったんですが、その時は撮影前から役に入り込んでいて、朝から怖かったんです。でも今回は、ある意味こなれたというか、泣き崩れるシーンの直前でもニコニコしゃべっていて、いざ撮影になるとワーッと泣き崩れてみせる。天才肌に職人的な“俳優職人”という面も加わったなあという気がします。今テレビやCMでも活躍しているし、演じてきた本数が増えたということでもあるんでしょう。そうやってみんなに見つめられてきた経験が、彼女の華のある美しさとなって出ていると思いますね。


人と違う能力を持った二人の男が主人公ですが、彼らはお互いに似た部分がありますね。

■中田:二人とも「人生とは?」と聞かれてお互い同じように「死ぬまで生きることだ」と答えるんです。
竜也くんの方はニヒリスティックに答えるんですね。「今すぐに死ぬこともできるけれど、とりあえずは生き続けている」という風に。自己破壊とか自己滅亡という欲求がとても強い存在で、自分でも自分のことを化け物だと思っている人間なんです。人間社会の中にいるけれど、誰とも交わっていない。
山田くんも同じように答えるんですけれども、自分もいつまで生きるのかわからないけれど、友だちや家族がみんな死んでも一人だけ生き残るかもしれないという恐怖心が彼にはあるんです。だけど、今目の前にいる人たちを大事にしている。
だから「死ぬまでの人生をどう生きるか」というところが、二人の男はまったく違うんです。ニヒリスティックに「死ぬまで生きる」という竜也くんと、「仲間とともに今を生きる」という山田くん、180度違う意味で使っているんですね。ただ、天涯孤独な二人だからこそ引き合うものがある。山田くんにとっても、竜也くんは人を大勢殺した極悪人ではあるけれども、何か自分にとっても近しく感じる存在だと思っているんです。竜也くんの「俺の初めての……」というセリフがあるんですが、そこにどんな言葉が続くのか観る方にぜひ想像して欲しいと思います。


一番大変だった撮影はどんなシーンですか?

■中田:最初の方のシーンで竜也くんが公園で蚤の市に行くシーンがあるんですが、その撮影日がものすごく暑かったんです。もう40度くらいありそうな日で、エキストラも100人くらいいて、小さい子もいて。頭がボーッとして熱中症になりそうで本当に大変でした。でもあの1日で暑さに体が慣れた部分もあります(笑)。


クライマックスとなるオペラホールのシーンはどうでしたか?

■中田:2000人はいるホールで何百人もエキストラの人がいたんですが、4日間しか借りられなかったんです。アクションも多かったんですけど、スタッフやキャストの力があって撮影自体はスムーズでしたね。何より暑くないのがよかった(笑)。


撮影現場でのエピソードは何かありますか?

■中田:山田くんと僕は初めてなんですけど、僕の演出方法にすごくびっくりしたらしいですね。僕は撮影中に“ヨーイ”をかけてから“ハイ”と言う前に、急にシーンの説明や気持ちの説明をし出すんです。山田くんはそのたびに「もうわかってますから、早く“ハイ”って言ってくださいよ」って思ってたらしいです。実は竜也くんも以前から思ってたみたい(笑)。


なぜ、そのタイミングでシーンの説明を?

■中田:ひとつは、助監督時代から素人のような俳優さんをなんとか形にさせるということをやっていたからですかね。大先輩の監督たちが頑張って俳優さんを動かしているのを見ていたから。でも、今回のような竜也くんや山田くんのような俳優さんには必要ないんですけど、ついやっちゃう。
もうひとつは、ヨーイをかけた瞬間にその俳優さんの演技がうまくいくかどうかがわかると僕は信じていて、その瞬間に「うまくいかないんじゃないか、集中してないんじゃないか」と思う時があるんです。そう言う時に俳優さんのテンションをあげたいと思って、なんか悪あがきしてるんですよね。傍からみていると「監督が自分の気持ちを盛り上げるためにやってるんじゃないか」と思われるらしいんですけど。確かに僕は演出中に冷静じゃないというか、俳優と同じテンションで演技を見てるんです。俳優が苦しんでいるシーンでは僕も苦しい顔をしていたりするんで(笑)。やっぱり自分の気持ちを盛り上げてるんですかね。


中田監督はハリウッドでも監督をされていますが、日本とハリウッドでの映画の作り方に違いなどはありますか?

■中田:ハリウッドは映画製作が一大産業なんでね、単純に言えば一作にかける時間やお金が10倍20倍くらい違います。皮肉めいた言い方をするならば、ムダに時間と手間ひまをかけるんです。映画作りというのは資本主義のミニチュアというようなところもあるから、映画に投下された資本を使い切って、そしてその映画をヒットさせて資本を1.5倍にしてまた次回作を作る、というのを宿命づけられているんです。それで何が起こるかというと、あたかも工業製品を作るかのような映画作りになってくる。
例えば新車を発売するのと似ていて、監督がカーデザインや性能などを担当するその新車の責任者だとすると、その責任者が「このデザインが一番カッコよくて、一番よく走るはずだ」と言っても、それだけでは発売できない。その後にテストドライバーにテスト走行をしてもらって、彼らの意見をフィードバックしてチューンナップしていく作業が必要になります。ハリウッドではテストスクリーニングというのが必ず行われて、その洗礼なしには映画が完成しないんです。僕も何度かやりましたが、“覆面スクリーニング”として一般の人を400人くらい呼んで、アンケートをとって感想を聞く。そして、よく言えば商品として洗練させていく。より良く売れる、より一般受けする作品にしていくんですね。悪く言えば、一般受けする最大公約数を狙うから、エッジの効いた作品ではなくなって、角が取れていくと言うことが起こりやすいです。でもこれは商業映画作りの本質でもあると思います。ただ、日本で同じことをやるべきかというと、僕はちょっと反対の立場ですが…。


監督としては、日本の方が思った通りの作品を作りやすいということですか?

■中田:まあ、最近は日本も悪しきハリウッド流が浸透してきてますけどね…。ただ日本はハリウッドにはなりきれないので、やはり日本の方が自分の意見をより強く反映できるかなと思いますね。


次回作はAKB48のメンバーを起用してホラー映画を作られるとのことですね。

■中田:まだ内容はちょっと言えないんですが、オリジナル作品になります。(前田敦子主演の)『クロユリ団地』のヒットを受けて、AKBグループ数百人の中から主演女優を決めるということになりました。とはいえ“団地もの”というわけではないんですが。今はまだそれしか言えないんです。


これから起用してみたい俳優さんはいらっしゃいますか?

■中田:最近いいと思うのは、有村架純さんですかね。


「あまちゃん」で小泉今日子さんの若い頃を演じられてましたね。

■中田:僕は昔も今も、小泉今日子さんのファンですからね(笑)。


【取材・文/松村知恵美】


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『MONSTERZ モンスターズ』
2014年5月30日より新宿ピカデリーほか全国にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/monsterz-movie
©2014「MONSTERZ」FILM PARTNERS

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