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2013年9月 5日 (木)

北海道ロケは困難の連続だった…だからこそ、面白い!李相日監督&柄本明が『許されざる者』への思いを語る!

許されざる者

『フラガール』や『悪人』などで数々の賞に輝いた李相日(りさんいる)監督が、20年前に感銘を受けたのが、クリント・イーストウッド監督・主演の『許されざる者』(1992)だった。「こういう映画が撮りたいのではなく、『許されざる者』が撮りたい」と。そして、舞台を明治時代初頭の北海道に移し、日本版『許されざる者』は製作された。李監督の長年の思いと情熱が込められた、この『許されざる者』に顔を揃えたのは渡辺謙、柄本明、佐藤浩市、柳楽優弥、忽那汐里、小池栄子、國村隼ら豪華キャストたち。
2013年9月13日(金)の公開を前に、このたび大阪で会見が行われ、李監督と柄本明が出席。お二人に本作への思いを聞いた。

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李監督は『スクラップ・ヘブン』、『凶悪』に続いて、柄本さんとは今作で3度目のお仕事となるわけですが、この『許されざる者』の金吾役は柄本さんで、という強い思いがあったのでしょうか?

■李監督:柄本さんが演じた金吾という役は、主演の渡辺謙さんが演じた釜田十兵衛の相棒なんですね。相棒といっても、気の合うツーカーなコンビではなく、生き死に共に見てきたという同士。そこで、渡辺謙さんと柄本さんではどういう化学反応が起こるのかと思ったんです。お二人は俳優としてのタイプもフィールドバックも違います。でも、同じ映画という戦場では、僕なんかより長く生き抜いておられるので、二人にしか見えない到達点があるんじゃないかと感じました。また、3度目の作品ともなれば、柄本さんと向き合うことで、自分自身、体が覚えている緊張感がまたやってくるんですね。とはいえ、何度一緒に仕事しても慣れるとか、楽というのは一切ない。だから、困るんですよ(笑)。困るというのは、楽しいことでもあります。それは自分の思い通りにいくことが、あまり面白いことではないと思っているからでしょうね。


壁や困難にぶつかるのも監督自身は楽しみであり、また、柄本さんとはその困難をも乗り越えられる同士であるということでしょうか。

■李監督:そうですね。そう書いておいてください(笑)。


実際、撮影中の困難というのは多々あったのでしょうか?

■李監督:自然が相手となると、思い通りにいかないことばかり。いつも、そんな印象はつきまとっていたし、中盤からはその中でやって行くんだ、という感覚でしたね。あがきつつも、前に進んでいくしかないという現場でしたし、そこが面白いとも思いました。


柄本さん、李監督と一緒に立ち向かっていくという感覚はありましたか?

■柄本:今、監督が話していたことは、僕はすごくよく分かるんですよね。まさにその通り。監督が言ったように、慣れるということはないし、李監督の現場に行くとまっさらの状態になります。毎回、ゼロから出発させてくれるところが有難いですね。


今回、この金吾役を引き受けられた時のお気持ちはいかがでしたか?

■柄本:いや~言われれば何でもやりますよ! いい加減と思われるかもしれませんが、それ以前の問題で、こういう仕事はそういうもんじゃないですか(笑)。話をいただいたら、よほどのことがない限り演じるわけですよ。そういういう仕事なんだから(笑)。でも、李監督は僕の中では特別ですし、大事にしている部分はありますね。それはさっきも言ったように、必ずゼロの状態になれるから。何でも演じるとは言いましたが、ある種の期待感が李監督の現場にはありますね。


今回、北海道で撮影をするというのは、どういう経緯で決められたのでしょうか?

■李監督:北海道に関しては、『悪人』を撮る以前から、何か開拓時代を背景にした作品はできないだろうかと考えていました。それがベースにあった上で、『悪人』を撮り終え、また北海道に目を向けた時に、20年前に『許されざる者』という、強い映画体験をしたことを思い出したんです。『許されざる者』のテーマ性が、『悪人』を撮ったことで、自分の中でその存在が強くなっていったんですね。少し遠回りをしたようですが、そこで両者がかみ合ったという感じです。北海道に目を向けていなければ、『許されざる者』をリメイクしようとは考えなかったかもしれません。北海道を舞台にしたことで、コピーではなく、オリジナリティのある『許されざる者』ができるという思い込みが持てました。


柄本さんは北海道ロケで大変だったことはありますか?

■柄本:大変なことはいろいろありましたね。広いところですし、車で5時間かけて移動しても、天気のせいで撮影ができずに戻ったこともあります。まぁ、大変なことはたくさんありましたよ。でも、やっぱりそれも含めて面白いんですよね。自分は何か大変なことをしているぞ!っていう感覚がね。


李監督は役者さんの演技に対して、なかなかOKを出さないということですが…そのあたりは大変でしたか?

■柄本:大変ですよ。こっちはOKだろうと思っていても、向こうから監督が静かにやって来て、「もう一回お願いします」なんて言うんですから。結局、監督は可能性を探しているんですよね。こうすればいいという答えはないから、それがうまく現場で見つかると楽しいです。残念ながらという言葉を使ってもいいと思うけど、我々は残念ながら生きている。だからこそ、その時その時の感情で常に揺れ動くし、映画はその瞬間を切り取っていくわけです。だから、探すということは大変ですが、その瞬間、自分がいろいろと考えられるのはとても幸せなことだと思いますね。


李監督版の『許されざる者』はご覧になって、どのような感想をお持ちですか?

■柄本:正直、試写会で観たくなかったですね(笑)。自分が出ている作品は観たくないんですよ。自分が出ていると邪魔をするというか、どうしたって自分のことが気になってしまう。僕としては、公開から3~4年経って、どこか名画座の前を通りかかったら、「あ、やってるな~」って。そう言いながら観るのが理想なんですよ。すると、「俺も出ているじゃないか」ってね。だけど、そんなこと言っちゃいけないですね(笑)。この李監督の『許されざる者』を観て思ったのは、“映画”だなと思いました。また、李相日が“映画”を撮ったなと。やっぱり、作品に芯が通っていますよ。映画というのは、どこまで行っても答えが見つからない道で、それでも闇の中を進んで行くと、そこに光が見えてくる。でも光に近付くと、そこはまた闇だったりするんです。ただ、その光が大きくなってきているなと、今回の作品を観て感じました。


李監督は、思い入れの深い作品を撮り終えたことで、ご自身の中で昇華できましたか?

■李監督:なんだろう…。今は、焼肉屋でお腹いっぱいなのに、さらに注文して、最後にビビンバまで食べて、胸焼けを起こしている最中ですね(笑)。食いすぎたな~って。まぁ、結局はお腹いっぱいになった気でいても、少し経つとまたお腹は空くじゃないですか。なんか、わかりづらくてすいません…(苦笑)。


作品に関しては、満足のいく出来だということですよね?

■李監督:いえいえ。満足なんて今までしたことないです。多分、満足したら次は終わりだとか次は良くなくなると言うじゃないですか。それは当然だと思います。でも、これはこれでお腹いっぱいにしておかないとね。まぁ、いくら食べても、次またお腹には入るってことなんです。

■柄本:そう、我々は残念ながら、満足なんてしないんですよ。人間の欲望は肥大化していく一方で、だいたいみんな、満足しないで死んでいくわけでしょう。多分、肉体が遊離するときに、自分の姿を見て、「これが俺か」みたいなね…。あれ、違う?

■李監督:最後は、幽体離脱の話になってしまいましたね(笑)。

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『許されざる者』
2013年9月13日より全国にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
公式HP:http://www.yurusarezaru.com/
©2013 Warner Entertainment Japan Inc.

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