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2012年11月 2日 (金)

“ホラー/恐怖”の概念を覆す衝撃!『トールマン』パスカル・ロジェ監督インタビュー

トールマン

6年前の鉱山閉鎖で急速に寂びれた炭鉱町コールド・ロックで、次々と幼い子供たちが消えてゆく。人々は正体不明の子取り鬼を“トールマン”と名づけた。町で診療所を開く看護婦のジュリアは、ある晩、自宅から子供を連れ去られ追いかけるが……。

『マーターズ』で残酷映画の最終解脱を達成した悪魔的天才、パスカル・ロジェ監督が、ハリウッドのトップ女優ジェシカ・ビールを主演に迎え、“新たな可能性”を秘めたホラー映画の創造に挑戦した『トールマン』。キャンペーンのために来日したパスカル・ロジェ監督に本作について語ってもらった。

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日本の印象は?

■パスカル・ロジェ(以下、パスカル):2回目の来日ですが、とても魅力を感じています。大好きな国です。


どんなところが魅力的ですか?

■パスカル:今の日本は大変難しい状況に置かれていると思います。そんな中でも、みんなで助け合い、共存していこうとしています。その姿勢が素晴らしいと思います。


なぜ、子供の失踪を題材にしたのでしょうか?

■パスカル:私は昔から行方不明者、特に子供の失踪に興味がありました。よく街中には捜索願いのビラが貼ってありますが、貼紙の中には、子供がいなくなってから10年、15年も経っているものもたくさんあります。今、その子と道端ですれ違ったとしても、貼紙の写真の子だとは思わないでしょう。例えその子供の親であっても、無理だと思います。そして、そんな子供たちに対して、どうしていなくなってしまったんだろう?どこに行ってしまったんだろう?今、どうしているのだろう?という疑問を抱き続けていたのですが、ある日、これは映画の題材になるかもしれないと、漠然と考えるようになりました。


映画化に踏み切った経緯は?

■パスカル:ニューヨークで、未成年の失踪者の捜索を担当しているFBI捜査官に会う機会がありました。彼から年間1000人の未成年の失踪者がいて、そのうちのほとんどが、遺体すら発見されてない、どこに消えたのか全くわからないという事実を聞き愕然としました。この事実を啓発する意味も込めて、映画にしなければと思いました。『トールマン』の冒頭に、行方不明者数が出てきますが、この数字はそのFBI捜査官から聞いたリアルな数字です。


他にも失踪を題材にした作品はありますが、違いを出すために何を気をつけましたか?

■パスカル:他の映画を意識することはありませんでしたね。脚本を書き始めた時点では、結末をどうするか決めていませんでした。超常現象、宇宙人による誘拐、臓器売買や小児性愛好会といった組織犯罪など、いくつも選択肢があったわけですが、書き進めながら自問自答した末、今のラストが最良だろうという判断に至りました。超常現象にした方が話の幅も広がり、楽だったかもしれませんが、私はこの作品で現代社会の闇を描きたかったんです。これを他の作品とは違うな、新鮮だなと感じてくれたらありがたいです。


『マーターズ』がそうであったように、『トールマン』も予測不能な展開になりますが、最初から取り入れようと考えていましたか?

■パスカル:展開をがらりと変えるのは、意識的にやっています。映画にはストーリーテラーがいて、演出する側は彼らの主観で物語を語ります。つまり観客はストーリーテラーの視点を通して物語を見ていることになります。私は映画作りにおいて、このエッセンスが最も重要だと思っています。最近のアメリカ映画は、誰がストーリーテラーなのかがわからないものが多いですね。『トールマン』には、ストーリーテラーが3人出てきます。ストーリーテラーを変えることによって、物語をどんどん展開させるようにしてみました。3人は同じものを見ているのに、それぞれ違う見方をし、そして行動します。観客は3人の主観を通して見ることによって、ひとつの物語に対して、様々な違った見方をすることになるのです。


黒澤明監督の『羅生門』と一緒ですね

■パスカル:そうです、『羅生門』です。たくさんのストーリーテラーの視点から物語を見ていくという手法です。


『マーターズ』のあった残酷描写がなりを潜めていますが…?

■パスカル:ゴアシーンは、あくまでも物語を語るうえでの道具であり、目的ではありません。『マーターズ』は、あのストーリーを語る際に、ゴアシーンが必要だったので、道具として用いました。ゴアシーンがないと満足してくれないホラー映画ファンがいることも分かっていますが、私は彼らの先入観のために作品を作っているわけではありません。単純に『トールマン』は、ゴアシーンが不要だったのです。確かに『トールマン』では残酷なシーンは少ないですが、『マーターズ』と『トールマン』の本質的な部分は似通っていると思っています。ただその表現の仕方が違うだけです。


ジェシカ・ビールを起用した経緯は?

■パスカル:『テキサス・チェーンソー』を見て以来、彼女のファンでした。正直言うと、トビ・フーパーのオリジナルを越えられるわけがないと思っていたので、全く期待しないで見に行きました。ところが、ジェシカ・ビールの存在感がとても光る作品になっていました。彼女にとても惹かれたので、いつか一緒に映画を撮りたいと思っていました。そして、『テキサス・チェーンソー』以降も、ジェシカの出ている作品を見たのですが、どれも彼女が実力を出し切っているとは思えませんでした。彼女の実力が発揮できるような役柄をハリウッドは与えていなかったのです。そして、『トールマン』を撮るにあたって、真っ先にジェシカのことが、頭に浮かびました。


彼女にどのようなオファーをしたのでしょうか?

■パスカル:複雑な役柄を演じれば、もっと光るはずという私の意図が届けばいいなと思いながら脚本を送ってみたのですが、幸いきちんと伝わったようで、彼女は二つ返事でOKしてくれました。月曜日に脚本を送って、水曜日に彼女に会って、金曜日には出演決定となりました。


実際にジェシカ・ビールと仕事をしてみての印象は?

■パスカル:今までその実力を過小評価されていた役者を起用すると、良い効果をもたらすことがあります。なぜかというと実力を出し切れていなかった分、役者は自分の本当の演技を見せようと努力するからです。今回のジェシカは、まさにそうでした。全身全霊で作品に打ち込んでくれました。長時間に及ぶ撮影に対して、彼女のエージェントたちが、私に文句を言いに行かないよう取り計らってもくれました。また、ロケの際、天候に恵まれず、撮影が思うように進まなくて、予算オーバー、撮影中止の危機に陥ったのですが、彼女は自分のギャラを削って、製作費に回してくれと進言してくれました。ジェシカのお陰で撮影が続けられたのです。だから製作に彼女の名前が連なっているのです。


最後にこれから見る方々に一言お願いいたします

■パスカル:まずジェシカ・ビールの演技に注目して欲しいです。そして、いい意味で期待を裏切られ、びっくりしてもらえたら嬉しいです。

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『トールマン』
11月3日(土・祝)より、シアターN渋谷ほか全国にて順次公開
配給:キングレコード
公式HP:http://the-tallman.com/
©2012 Cold Rock Productions Inc., Cold Rock Productions BC Inc., Forecast Pictures S.A.S., Radar Films S.A.S.U., Societe Nouvelle de Distribution, M6 All rights reserved

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