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2011年12月16日 (金)

『サラの鍵』ジル・パケ=ブレネール監督インタビュー

『サラの鍵』ジル・パケ=ブレネール監督インタビュー

1942年、ナチス占領下のパリで行われたユダヤ人迫害事件。それから60年後、ジャーナリストのジュリアは、アウシュビッツに送られた家族について取材するうちに、収容所から逃亡した少女サラについての秘密を知る。サラが自分の弟を守ろうと、納戸に鍵をかけて弟を隠したこと。そして、そのアパートは現在のジュリアのアパートだったこと。時を越え、明らかになった悲しい真実が、ジュリアの運命を変えていくことになる・・・。

パリを舞台に、ナチスによってユダヤ人が“ヴェルディヴ(屋内競輪場)”に収容された悲劇を描き、全世界300万部突破のベストセラーとなった同名小説を映画化した『サラの鍵』

本作の監督は、自らもドイツ系ユダヤ人の祖父を収容所で亡くしたという若き新鋭ジル・パケ=ブレネール。綿密なリサーチに基づいた緊迫の映像で、ユダヤ人迫害の真実に迫りながらも、今を生きる私たちの物語として描き切った。誰も観たことのない唯一無二の作品を作り上げたジル・パケ=ブレネールに話を伺った。


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Q:小説「サラの鍵」を読み始めて、すぐに映画化したいと思われたそうですね。結末を読む前に、そう思われた理由を教えてください。

■ブレネール監督:冒頭部分を読んで、すぐに引きこまれましたので、これは一刻も早く映画化権を取らないと、誰かに先を越されるんじゃないかという恐怖心にかられて(笑)、映画化権がどうなっているのかを慌てて調べたのは事実です。

さらに読み進めるうちに、この小説のテーマと、監督として自分が今撮りたいものに、非常に通じるものがあると感じました。これまで、いろんなジャンルの映画を撮ってきました。娯楽大作もあれば、とても個性の強い万人には受けないような作品もあります。ちょうどこの小説と出会ったときは、多くの人に観てもらえて、なおかつ人間の本質的なことを描いている映画を撮りたいと思っていました。この小説なら、歴史的なことも学べるし、独自の世界観もあるし、映画にするには格好の素材です。

今振り返ると、この小説に出会えたことは、本当に神様からのプレゼントのようですね。すごくラッキーなことでした。と言うのも、のちにこの小説は大変なベストセラーとなりましたから、ひょっとしたら映画化権を取れなかったということもあり得たわけです。やはり一人の映画監督として、こういう素晴らしい題材があって、それを映画化できるというチャンスがあったら、みすみす逃すことはできません。

それに加えて、個人的な理由もありました。私の一族には、ホロコーストで亡くなった人たちがいますので、そういう意味で、この問題について私が語ることは、私自身にとっても大切なことだったんです。


『サラの鍵』ジル・パケ=ブレネール監督インタビュー


Q:原作にはない“大人になったサラ”のキャラクターに込められた、監督の想いを教えてください。

■ブレネール監督:サラの大人時代を描くことによって、沈黙のなかに、罪悪感のなかに、後悔のなかに、サラが自分を閉じ込めてしまっている姿をヴィジュアル化したいと思っていました。小説を読んだときに、途中で彼女が消えてしまうのを、非常にもったいないな、残念だなと感じていました。だから、映画になったときに、やはりサラの姿が大人になる前に消えてしまったら、観客は小説以上にもっと辛い想いをするに違いないと考えたのです。私にとって、映画では大人になったサラに、ちゃんと具体的な姿を与えるということは、非常に重要なことでした。

ホロコーストのもたらす影響は、戦争が終わると同時にブツッと終わってしまうわけではありません。それはホロコーストを生き残った人たちのなかに、ずっと生き続けていくのだということを示すことが大切だと思いました。大人になったサラを描くことで、受けた衝撃の結果というものを、ヴィジュアル化しようとしたわけです。

生き残った人たちは、自分のなかの一部が失われてしまったような気持ちと、罪悪感と後悔を持って生きていくのだと聞きました。せっかく生き残ったのに、なぜ私だけが生き残ったんだろう、私は生き残っていていいんだろうかという問いかけを、誰もが一生続けていかなければならない運命にあるんです。それはホロコーストに限らず、今も世界で起こっている戦争や、もっと個人的な心理的なショックなどから生き残った人たちが、みんな抱えている問題です。

日頃から、そういう影響について描かれた作品が意外と少ないんじゃないか、もっとその点にスポットを当てなければいけないのではないかと考えていましたので、この映画で自分がやろうと決めました。


Q:2011年、日本は大変な困難を体験し、今もその試練は続いています。『サラの鍵』はそんな私たちに希望をくれる作品だと思います。そんな映画を撮られた監督から日本の観客の皆さんへのメッセージをお願いします。

■ブレネール監督:起こってしまった悲しい出来事を受け入れるということは、非常に辛い作業だと思います。人間としても、国としても、困難なことだと思います。それをどういうふうに受け入れるかというと、ふたとおりのやり方があると思うんですね。非常に重荷だとシリアスに受け止めるのか、あるいはそうではなくて、将来的にはもっと良くなるひとつのきっかけだというふうに捉えるのか。辛い経験から何かを学んで、もうひとつ成長していく、そういうふうな機会にすることができれば、いいのではないでしょうか。

亡くなった人たちに対して鎮魂を捧げるためにも、自分たちがその経験を無駄にしないで、そこから何かを学んで、よりよい人生をおくる。そういうことが、いい方法なんじゃないかと、私は思っています。

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サラの鍵『サラの鍵』
2011年12月17日より銀座テアトルシネマほか全国にて
配給:ギャガ
公式サイト:http://www.sara.gaga.ne.jp/
©2010 - Hugo Productions - Studio 37 - TF1 Droits Audiovisuel - France2 Cinema

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