« 『ザ・ディセンダンツ(原題)』わずか29スクリーンの公開で1000スクリーン規模の大作に並んで見事なTOP10入り! | メイン | 『ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬』“福笑い”特典前売券発売開始! »

2011年11月21日 (月)

『寄性獣医・鈴音』金田龍監督オフィシャルインタビュー

『寄性獣医・鈴音』金田龍監督オフィシャルインタビュー


1500万ダウンロードの実績をもつ人気コミック「寄性獣医・鈴音」を実写映画化。憑りつかれると淫乱になる謎の寄生虫を殲滅する、セクシーなボンテージ衣装に身を包んだ主人公を、吉井怜が演じる。本作の監督は、TV版「牙狼<GARO>」で実績のある金田龍。『寄性獣医・鈴音』金田龍監督オフィシャルインタビュー。

最初に春輝さんの原作を読んだときの印象はいかがでしたか?

■金田龍監督:これは映画になるんだろうか、というのが最初の正直な感想です。
  具体的にカメラアングルとして、エロティックなシーンひとつにおいても、マンガならではのタッチというのがあり、それが原作の色であって、これを物理的な見せ方というのはできないだろうし、局部にまでカメラアングルが入っていく、そういうことが狙いになっている作品をどうやって映画で表現できるか、というのが一番感じたことですかね。本当に(映画として)成立するんだろうか、そういう衝撃を受けました。


脚本を作る前に原作を読んでいて、「これはいけるな」と思ったポイントがあれば教えてください。

■金田龍監督:コミックの2巻で寄生虫が触手のように鈴音と被害者の体に巻きつくところがあって、そこがエロティックなシーンなんですが、それを自分の手で表現していきたいな、と。映画にするんだったら、そこがキービジュアルとして成立しないと、この原作のマンガのファンは納得しないだろうし、そこ(寄生虫をキービジュアルにすること)を目指そうと思いましたね。ビジュアルとして、自分なりにどう見せていこうか、 そこには技術的な条件や、情景だったりお芝居だったり、そのビジュアルを作れるのは自分しかないだろうなと思いました。


原作を読んでいて、ストーリーのキャラクターの気持ちの部分で大事にしたいというのはありましたか?

■金田龍監督:自分が勝手に解釈をしているところなんですが、コミック1巻にもあり、映画でいうと鈴音に寄生虫を駆除された部長とOLのシーンで、そういうこと(寄生虫にとりつかれたOLが部長を襲うこと)があったにも関わらず、結局2人は結ばれてしまうという、ホッとする場面。原作もエロのシーン、アクションのシーンが強調されているけど、細部にわたってこういうホッとする場面が描かれていて、そういう部分にリアリティを感じたんです。すごくとんでもないことが行われていても、結局人の気持ちってこういうもんだよね、って。そのリアリティは、マンガの表現の中においても細部にわたって描かれていたので、そのリアリティこそが俳優さんが演じて、映画の表現のなかでは一番の手がかりでした。ちょっとほんのり好きになっちゃったなとか、ちょっとほんのりイラっときちゃったなとか、(微妙な感情が)映画のなかでは表現しやすい。これは脚本ではなく、映画の現場でないと作れない部分で、僕が映画の醍醐味を一番感じている部分です。ただ、それ(表現)が生まれるためには台本が必要ないかっていうと実は台本が重要で、台本においてきちんとキャラクター性が構築されていないと演じる側も撮る側もやりづらい。例えば、鈴音が寄生虫の匂いがするというシーンで、マンガでも映画でも匂いなんて一番表現しづらい部分であるけれども、そこを映画ではどう表現するか、そういったところにこだわっていきましたね。

脚本を作るうえで大事にされたことは何ですか?

■金田龍監督:“ヒロインもの”として、強いヒロインを表現できるかどうかが一番こだわったところです。
具体的にいうと、どんなヒロインなのか、どうやらファザコンかもしれない、お父さんのトラウマがある、
そういう背景をもっている女の子が、ちゃんと(全編)通して表現できるかどうか、そこには常にお父さんを乗り越えられるのか、向き合えるのか、そして、お父さん探しの旅であるというのは、『GENESIS』『EVOLUTION』を通して強いヒロインを描こうというところに徹底してこだわりました。脚本上で問題が起きたときに、いつもそこを手掛かりに考えていました。ただ肉体的に強いとか精神的に強いとかではなく、強いキャラクター、存在感があるキャラクターを作ろうとこだわっていました。


二次元のキャラクターを実写化するというところで(ビジュアル的なことも含めて)こだわった点はありますか?

■金田龍監督:ひとつはコスチュームです。ちゃんと吉井怜さんが着こなせるかどうか、ボンテージに白衣って普通にはいないわけで(笑)、それをどう成立することができるかというのが、一番危険な部分だと思っていました。コスプレになってしまわないように、コスチュームを作ってもらうのに、(GAROなどの作品でもお世話になっている)付き合いの長い職人さんに頼んで、作ってもらいました。(職人さんは)撮影現場のことも分かったうえで作ってくれるので、ワイヤーアクションにも対応できるだとか、体のラインがきれいにでる素材を使用してくれたりとか、とても完成度が高いコスチュームができました。
でも、そのコスチュームの仮合わせで、一番驚いたのが彼女(吉井さん)のお腹がちゃんと割れていて、腰がキュッとしまっていることに驚きました。想像以上に着こなしていた。佇まいを見た瞬間に、これはいけると感じました。最初に普段着でお会いした時は、痩せてるし小さいし大丈夫だろうか、と正直不安だったけど、コスチュームをみた瞬間に想像以上の鈴音がいると思いましたね。


『GARO』と同じチームだったスタッフも多かったと思いますが、現場の雰囲気などエピソードがあれば教えてください。

■金田龍監督:アクション監督の大橋明さんは『GARO』の時も一緒にやっているスタッフなので、金田組が何を狙っているか、15年前から染みついているので、立ち回りのなかで、おいしいアングルを作ってくれる。大橋さんも原作を読まれていたので、「おっぱいをムギュッはありですかね?」と聞かれ、僕は「今回、ムギュッはなしで行きましょう」と答えました。この短い会話は、細かいディティールを尋ねられているのではなく、全体のアクションの方向性を聞かれているんですよね。僕は「今回ムギュッはなしで」と答えたことで、「今回はクールに行こう」という方向性を読み取ってくれました。

鹿角さん(VFXスーパーバイザー)に関しては、映画の最大の見せ場である触手に絡まれて愛撫されているシーンで、すごく想像していた以上に期待に答えてくれました。ちょうど『GARO』の仕上げと(時期もシーンも)かぶっていて、『GARO』の触手が人を絡めとってしまうというシーンと同時並行で作っていました。ただ、金田組で何を狙っているかを感じ取ってくれたので、『GARO』と狙いは違うが『鈴音』の触手が体全体をからめとってしまうという表現の仕方においては、新しいものができたと自負しています。触手もののAVとか参考資料で見たりしましたけど、どうしても作りもののなかで演技をしている感じがしていて、やる以上は新しいものをみせたいと、僕が提案したのは深海魚のような光った触手が女性の裸体をからめとるっていうのは、“エロ美しい”のではないかと、だからCGのテーマとしては“エロ美しい”がテーマで表現できないかと、いう僕の要望にスタッフは見事に答えてくれました。また、合成ではなく(あるシーンを)フルCGでいきたいという要望も、答えてくれたのでさすがだと思っています。ちなみに映画のなかでは“月”を象徴的に散りばめました。これは原作にはなく映画だけのオリジナルなのですが、何故いれたかというと、寄生虫の存在感をどういうふうに描くのかというのが一番難関だと思っていました。カメラが体に入らないと寄生虫を表現できない。なので、鈴音が寄生虫の匂いを感じたりしたときに、月のショットが入る、“月”と“寄生虫”をリンクさせる、そこに一番こだわりました。その“月”のシーンにおいても、CGチームが見事に表現してくれました。


劇中には魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。クールで内面に重たいものを抱えている鈴音(吉井)、セクシーでキュートな尚美(神楽坂)、独特で映画オリジナルのレナ(久保)など、演出するうえで気を遣われたりテーマにしていたことがあれば教えてください。

■金田龍監督:吉井さん演じる鈴音に関しては、分かりやすくいうとB型気質というか、本間との関係、高哉との関係により鈴音のキャラクターをどう見せるかが具体的でした。B型、つまり人の話を聞かない、聞いてない、自分で決めてしまったら猪突猛進、人のリアクションを聞く前に進んでしまうというキャラクター設定。そこは現場で吉井さんとこだわったことです。例えば『EVO~』でいうと、閉じ込められた瞬間高哉と出会って、とにかくここはどこなのか探索してみようという時、あそこの芝居付けにおいても、高哉の表情を見て鈴音が行くっていうことじゃなく、高哉に背中を向けたまんま先に行っちゃって、そこに「ちょっと待てよ」と高哉が追い掛けて行くというようなこと。『GEN~』でいうと、本間先生との屋上の件で、本間先生が「あなたのお父さんは鬼頭財閥に絡んでその中にいて」っていうことを明かされた鈴音。それを聞いた鈴音はいてもたってもいられず、すぐに鬼頭製薬に乗り込もうとする。それをいちいちそこで本間に対して見栄を切っていくということではなく、本間が止めなきゃいけないくらいに背中を向けて行こうとする。そこは鈴音のキャラ作りのポイントとして通してみたかった部分です。自分で決めたら人の言うことは耳に入らない。原作者の春輝先生からの唯一のリクエストが、「おまえ」っていう言い方を高哉にしてほしいと。普段の鈴音は、きっと異性に対しても誰に対しても、鈴音なりのフラットさで向き合っている女の子、そういうヒロインにしたかった。特に屋上(本間先生から打ち明けられ、鬼頭製薬に乗り込む)シーンは、実は撮影初日だったんですが、木下さんと吉井さんと、お互いに重いシーンがいきなり初日で、芝居場から入らなければならなくて、すごく緊張し、悩んでいたと思います。でも逆に、それが初日になったことで鈴音の方向性が見えたなと思いました。

尚美に関しては、映画の中においてどうしても細かいバックボーン、背景設定を説明する場面が作ることができなかったので、神楽坂さんに対してはとにかく佇んでいる瞬間のインパクト、立っているだけで強いキャラクターになるように意識をしました。それを現場で繰り返し神楽坂さんに伝えたかというと実はそうでもない。見事に彼女がそういう存在感を、現場でコスチュームを着てムチを持って佇んだ瞬間、そうなっていた。神楽坂さんとは初めてご一緒するんですが、そこが僕自身驚いた点でした。彼女が元々持っている存在感と彼女の集中力だと思います。案外現場で芝居に関して細かく相談した記憶もありません。現場に入るとすっと尚美になっていたというのが正直な感想です。一番最初に彼女と顔合わせしたのがアクション練習の時で、その時の僕が彼女に対する第一印象は、神楽坂さんってこんなに小柄で、普通なお嬢さんなんだと、失礼だけど感じました。本当に尚美キャラで大丈夫だろうかと、少し不安になってしまいました。それが、衣装合わせで尚美の衣装をいろいろ試している際中の彼女の佇まいも、すごく自然で普通のお嬢さんっていう感じで、インするギリギリまで不安だったんですが、尚美のシーンでムチを持って現れた彼女は全く別人のようでとても大きく見えた。それが、彼女が持つ存在感なんだろうなと。と同時に、真面目で几帳面だと思いますが、きっと彼女なりに集中して尚美を掘り下げて現場に来たんだろうなと感じました。

レナに関しては、久保さんは「ドラゴネット」という変身ヒロインもののワンクールのドラマに出ていたんです。その時彼女はアクションができず、それ以前にカメラの前でお芝居することに対しても自信がなく、経験則もなかった。私のことですから、相当無茶な撮り方をしました(笑)。私の回だけだったと思いますが、10m以上クレーンで吊り上げて、地面にマットも引かず落下していくシーンを撮りました。アクション監督が大橋さんで、アクション稽古で相当鍛えられたと思います。脚本の小林雄次さんとの間で、鈴音の敵、鈴音と同等、それ以上の能力を持つレナっていう新しい美少女キャラクターを投入しようと、『EVO~』の一つの柱にしようという話がありました。レナは見ての通り、お人形さんのような佇まいっていうことが最大の狙いで、3年振りに久保さんに現場に来てもらったんですが、彼女自身が成長していました。私が求めているリクエストをすぐに理解し応えてくれる存在感を持っていました。例えば指です。台本上でもこだわった部分ですが、レナの白い手によって鈴音が意識を失うという場面わが台本のト書きにも出てきて、具体的に人形のような指、手つきで表現できるかということ。ワンカット目で、暗がりにレナが立っているというショットで久保ユリカさんに言ったことは、最初は普通に佇んでいたんですが、「フィギュアを思い出してみて」と。余談ですが、久保さんはとてもヲタクで、仕事でもアニメの声優さんをやったり、マンガの世界、キャラクターものを本人がとても好きなんです。フィギュアのような手つきと言った瞬間、瞬時に理解し、ちょっと手を外側に向けたような形を現場で作ることができた。その一言を最初のカットで彼女にリクエストしてから、歩き方から仕草もふくめ、全て彼女の中で出来てしまった。彼女自身、「ドラゴネット」でアクションを鍛えているので、スタントマンじゃないと無理な難度の高い動き、ワイヤーアクションなんかも含め、大橋さんも彼女がどれくらいできるか分かっているので、空中三段蹴りのようなショットも本人に全部やらせて、彼女はそれに応えられていましたね。空中姿勢でキープするシーンにおいても、彼女の中でお人形さんを意識した形で動いてできていました。

私が脚本作りにおいて思ったレナのキャラクターイメージは、キューブリックの「シャイニング」に出てくる双子の姉妹でした。今の若い方は「シャイニング」を知らないと思いますが、見てもらえればそこに原点があったのか、レナのビジュアルイメージがあったのかと分かってもらえると思います。


13日間の短い影期間でしたが、特に大変だった、苦労したというシーンがあれば教えてください。

■金田龍監督:特に苦労したシーンは、『EVO~』のクライマックスで、高哉と鈴音がディープキスをしながら体を寄せ合っているシーンです。背景が宇宙、月になっている合成カットが一番苦労しました。スタジオのグリーンバックで高哉と鈴音の二人には、ほぼほぼ裸な状態になってもらい、そこで二人が体を交えるという状態まで気持ちをもっていってもらわないといけない。俳優部にとって一番センシティブな部分でした。それが、スケジュール上最終日に撮らないといけない事態になり、果たしてそこで、私自身が狙うビジュアル的な表現がどこまでできるかということと、本人たちの中で、本当に腹を割って愛し合う男と女のように表現できるかどうか。普通に考えても、数十名のスタッフに囲まれている中で、半裸な状態になってディープキスをしながら、体をまさぐりながらという部分の撮影行為自体、気持ちを集中させねばならないと思いますが、十分な時間を与えないといけないところ、恐ろしくタイトな状況下で二人にはやってもらうしかなかった。そういう面でも非常に辛かったんですが、結果、最大限のパフォーマンスというか、二人が本当にある瞬間その気持ちになってくれた。朝方3時くらいだったと思いますが、体力的にも精神的にも13日間通した疲労もピークに達している中、一番大事なクライマックスの二人が結ばれかかるシーンを裸で演じる部分がとても印象に残っています。二人には見事に応えてもらえて救われました。とても良いシーンになったと思います。


映画としての鈴音の魅力は何ですか?

■金田龍監督:『GEN~』と『EVO~』を通して、私の作り方は説明不足と他の作品で散々言われてきているんですが(苦笑)、鈴音の魅力は“雨が嫌い”っていう一言に尽きるっていう思いがあって、自分なりにそれを作品に散りばめたというか、狙ったつもりです。“雨の匂いがする”、“雨が嫌い”と言うヒロインの映画を自分が一番見てみたかった。そのキーワードに引っかかってくれるお客さんがいてくれたらすごく幸せです。

______________________________________________________________________

『寄性獣医・鈴音』
2011年11月26日より シネマ・ロサほか全国にて
配給:東映ビデオ
公式HP:http://toeiv.jp/suzune/

©2011「寄性獣医・鈴音」製作委員会

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/306383/27482705

『寄性獣医・鈴音』金田龍監督オフィシャルインタビューを参照しているブログ:

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。




最新映画ナビ関連ブログ

最近の記事