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2010年8月26日 (木)

『トイレット』荻上直子監督、デイヴィッド・レンドン インタビュー

『トイレット』荻上直子監督、デイヴィッド・レンドン インタビュー

『かもめ食堂』等で人気の荻上直子監督が5年の構想を経て、脚本を書き下ろした『トイレット』。自らが映画を学んだ北米を舞台に、問題を抱えた一家を温かく描く。人づきあいが嫌いなレイは、日本から来た「ばーちゃん」と馴染めない。しかし、言葉が通じなくても、ばーちゃんは、兄弟たちのことを何もかも分かっていた。日本人監督の作品にして、アメリカ・インデペンデント映画以外の何物でもない。にも関わらず、日本のソウル・フード、餃子を作る家族のなんと自然で温かいこと。手料理は家族を繋ぎ、そして家族の愛に国籍はないことをじんわりと思い知らされる。荻上作品のミューズ、もたいまさこの雄弁なる無言の芝居は、生涯記憶に残る名演技だろう。

今回は本作の監督であられる荻上直子氏、そして長男モーリーを演じたデイヴィッド・レンドン氏にお話を伺いました。

【荻上直子監督への質問】
まず初めに、本編を撮ろうと経緯をお聞かせ下さい

■荻上直子監督(以下、荻上監督):「モーリー(デイヴィドが演じた長男)の原型となったモリオ君というスカートを穿く男子のアイディアがあり、それと『かめも食堂』でお仕事をしたフィンランド人のスタッフが来日したとき、日本のトイレに感動した話があったんですね。それと私がアメリカ留学していた頃「いつか北米で映画を撮りたい!」と思ってまして、その3つが合体し本作を撮ることになりました」


「スカートを穿く男子」というアイディアはどこからきたのでしょうか?

■荻上監督:「テレビでゲイカップルのドキュメンタリーを観ていて、そのひとりが花柄の鞄を作っていたんですね。男性がミシンを使っている姿ってカッコイイ!と思い、そこからアイディアをえました」


【デイヴィッド・レンドンへの質問】
本作に出演されての感想。また先ほど監督へ質問しましたが、スカートを穿いての感想をお聞かせください。

■デイヴィッド・レンドン(以下、デイヴィッド):「モーリーは素晴らしいキャラクターです。非常に風変わりなヤツで、普通じゃないし、ある意味異常だと思います。そんな彼を演じる事ができて光栄でした。
スカートはとても履き心地が良くて、全く違和感無かったです。そんな風に思える自分にビックリしました(笑)」


日本のトイレを使用されて、やはり驚きました?

■デイヴィッド:「昨日初めて使って、ちょっとこそばゆかった(笑)」


【荻上直子監督への質問】
本作のキャスティングの決め手は?

■荻上監督:「もたいまさこさんは、脚本の段階から「ばーちゃんはもたいさん」と彼女をイメージして書いていました。モーリー、レイ、リサはオーディションで選びました。レイ役のアレックスはとても真面目な男の子で、レイにはピッタリだと思いました。リサ役のタチアナは、私の要望に対してのレスが早く、なんでもすぐ吸収してくれるんです。天才肌で気持ちの良い、いいハートの持ち主でしたので選びました。モーリー役を見つけるのが一番難航しました。変な役なので、変な俳優さんを探していたのですが、中々いないんですよ。ディレクターに「トロントで紹介できる役者はもういないよ」と言われてしまい、役者じゃなくてもいいから連れてきて!と頼んだら、デイヴィッドを連れてきてくれたんです。そしたら結構変な子で、モーリー役だなと思って(笑)」


ディビッドさんは今の監督の話を受けて、どうですか?

■デイヴィッド:「監督にそう言ってもらえるのは、非常に光栄です(笑)。モーリーは共感できる部分が多い。だから演じるというか、自然にモーリーとして生きたって方が近いかも」

■荻上監督:「デイヴィッドは、あのオーディションが映画のオーディションって知ってた?」

■デイヴィッド:「正直、知らなかった(笑)。完成していない脚本を渡され、詳しい内容を聞かされていなかったから。監督が日本人なのも知らなかったんだ」

■荻上監督:「それしか情報が無い中で、なんでオーディションに来ようと思ったの!?」

■デイヴィッド:「本当は演技はお休みしようとしていたんです。絵を書きたかったから。でも、どうしてもこのオーディションに来て!といわれ、一度断ったんだけど、そのとき渡された本作の脚本をとても気に入って。特にモーリーは最高だと思いました」

■荻上監督:「そうだったんだ。ありがとう(笑)」


(絆を再確認した二人)


もたいまさこさんは荻上監督作品には欠かせない存在となっていますが、監督にとってもたいさんとは?

■荻上監督:「もたいさんはパンクスピリッツを持っていて、そして正義感がものすごく強いんです。それは彼女にしかない特別な魅力です。実際にあった話なんですけど、もたいさんが英語が全然しゃべれないのにNYに行って、ウェイターさんに「灰皿をいただけるかしら?」と日本語でお願いしたらしんですね。そしたら、ごく普通に灰皿を持ってきてくれたみたいで(笑)言葉は通じなくとも相手を納得させてしまうほどの、すごいパワーを持っているんです。


劇中でもばーちゃんは英語をしゃべれませんが、相手が何を要求しているかをきちんと分かっています。それを演じられるのは、もたいさん自身が持っている特別なパワーがあるからこそなんだと思います。

■デイヴィッド:「そうですね。もたいさんとは言葉が通じなくとも、何故か通じ合える(笑)。モーリーがばーちゃんにお願い事をするシーンは、僕のお気に入りです。
色々と説明しすぎる脚本が多いけど、本作はそういう事を極力省いる。そこも僕が本作に惹かれた要因の一つです」


【デイヴィッド・レンドンへの質問】
もたいさん、アレックスさん、タチアナさんと共演されていかがでしたか?

■デイヴィッド:「2回目のオーディションでは3人で演じたんだけど、控え室でお互いの相性は抜群!と感じ取れました。ほんとに兄弟みたいな感覚でした。タチアナとは撮影の合間に、ふざけたり、一緒に遊んだり。
もたいさんは、初めて会った瞬間から、ばーちゃんになりきっていたようでした。だから素のもたいさんとコミュニケーションとれたのは、撮影が終盤に差し掛かってからでした。普段の彼女と一緒の時間を過ごすのは最高だけど、ばーちゃんという役は威圧感があって怖かったです(笑)」


ディヴットさんのおばあさまと、もたいさん演じるばーちゃんは違いますか?

■デイヴィッド:「世界が全然違います。母方のばーちゃんも厳しい人だったけども、もたいさんが演じたばーちゃんとは違う(笑)」


最後に、荻上監督は今後どのような作品を撮りたいですか?デイヴィッドさんはどんな役を演じてみたいですか?

■荻上監督:「今回、海外で、そして英語で撮影しましたが、自分のカラーを1本通せたと思っています。今度は行ったことの無い土地で、聞いた事も無い言語で撮影した際に、自分のカラーが通せるかチャレンジしてみたいです。アフリカとかいいかもしれません!(笑)」

■デイヴィッド:「自分自身が恐怖感を感じるような役柄にチャレンジしてみたいです。具体的なイメージはないけど、自分の違う一面を出してくれるような役。連続殺人犯とかいいかも」


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『トイレット』
2010年8月28日より 新宿ピカデリー、銀座テアトルシネマ、シネクイントほか全国にて
配給:ショウゲート、スールキートス
公式HP:http://www.toilet-movie.com/

©2010“トイレット”フィルムパートナーズ

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