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2010年7月 9日 (金)

『恐怖』中村ゆり インタビュー

出席者:中村ゆり

『恐怖』中村ゆり インタビュー

『リング』『呪怨』を世に送り出してきた一瀬隆重プロデューサーが、2004年に立ち上げた“Jホラーシアター”。『感染』『予言』『輪廻』『叫』『怪談』に続き、いよいよその最終章を飾る作品『恐怖』が完成。メガホンを託されたのは、『リング』『女優霊』といったJホラー・ブームの原点たる重要作品の脚本を担当した高橋洋。人間の思考や行動を司る“脳”をテーマに、まったく新しい恐怖の領域に踏み込んだ野心作だ。
そして、高橋監督が描く究極の恐怖世界で、重要な役割を果たす姉妹の姉みゆきを演じたのは、中村ゆり。『パッチギ! LOVE&PEACE』や『ララピポ』といった作品で、肝のすわった演技を披露してきたが、本作でも“恐怖”のメイクを施しながらも、確かな演技力で見るものを恐怖の世界へと誘っている。そんな中村ゆりさんに本作についてお話を伺った。


Q:高橋洋監督が書いた本作の脚本を読んでのご感想は?

■中村ゆり(以下、中村):正直にいうと良く分かりませんでした。でも高橋洋さんは作家として秀でた才能がある方だと思っていたので、逆に分からないからこそ興味を持ちました。高橋さんは一体何を伝えたいんだろう?って。


Q:よく分からないながらも、なぜ、みゆき役に引かれたのでしょうか?

■中村:みゆきは物語が進むにつれ、どんどん変わっていくのですが、出だしは今の時代によくいる様な子だと思いました。あまり自己主張がなく、親がそうだったからという理由だけで、なんとなく医者の道に進んではみたものの、虚ろな日々を送っていて、遂には集団自殺を計ります。人は様々な思いを蓄積したうえで、自殺に至ると思っています。みゆきも親の愚行を含め、いろいろな考えが蓄積されて、自殺に踏み切ったのだと思います。そんなみゆきの心情に興味を持ちました。


Q:みゆきは自殺未遂の末、脳手術を施されてしまいますが、こういった普通の生活では体験できないようなシーンを演じるのは、やはり難しいものなのでしょうか?

■中村:自殺に至る心情の部分は、少しは理解できます。脳手術に関しては、撮影とはいえども、本当に頭の真横で電気ドリルを回されたので、普通に「怖い!」と思いました。これ以外の部分も含め、みゆき演じるに辺り、あまり難しいとは思いませんでした。


Q:そうですか?脳手術を施された後、ガラッと変貌してしまうみゆきを演じるのも難しくありませんでしたか?

■中村:そうですね。瞳孔が小さくなったり、酷い顔になったりはしますが、あまり中身の部分をがらりと変えたつもりはありませんでした。普通の人間が少しずつおかしくなっていく方が、この作品の中では怖さが増すように思いました。


Q:瞳孔が小さくなり、目つきが怪しい不気味な顔になったご自身の顔を見てどう思いましたか?

■中村:面白いと思いました(笑)。


Q:しかもポスターのビジュアルに使われていますが

■中村:結構、気に入っています(笑)。映画でいろいろやるのを楽しんじゃう方なんです。空を飛んだり、脳味噌をいじられたりすることは実際に有り得ないですからね。


Q:あまり共演シーンはありませんでしたが、妹を演じた藤井美菜さんとご一緒されてみていかがでしたか?

■中村:美菜ちゃんが演じたかおりは、この映画の中で一番まともな役柄です。とても重要な役柄だったので、高橋監督は一番美菜ちゃんに厳しかったんです。でも美菜ちゃんはちゃんと受け止めて対応していたので、凄いなと思いました。


Q:大先輩である片平なぎささんとの共演はいかがでしたか?

■中村:凄く考えてから現場に入られる方ですね。台本をちょっと覗いたらたくさん書き込みがしてありました。自分なりの考えを持って役に臨んだと思うのですが、ちゃんと高橋監督の意向に合わせていくので、さすがだなぁっと感じました。とても勉強になりました。


Q:高橋洋監督とのお仕事はいかがでしたか?

■中村:ホラーであっても、情緒を大切にされる方だと思いました。根本は人間の心情を見ています。だからなのか、役者の芝居に関してもわざとらしさをとても嫌いましたね。あまり口数が多い方ではないのですが、高橋監督が思い描く世界を私は受け取りやすかったです。感覚が合ったからかもしれません。


Q:テーマとかについて話し合われたりしなかったのでしょうか?

■中村:まったくなかったですね。あえて言わなかったのかもしれませんが、高橋監督も言葉では伝えられなかったようです。「汲み取ってくれるよね?」といったようなニュアンスがあったので、私も「説明できないけど、わかります」という感じでした。


Q:出来上がった作品をご覧になって、理解できましたか?

■中村:高橋監督は物凄い熟考を重ねて脚本を書いたはずです。いい加減なことは書きません。分かり易い映画が多いので、説明が少ない分、そこに挑戦という感じでした。正解かどうかは分かりませんが、人間が越えてはいけないところを越えてしまったことによって、誰かしらが代償を払わされているんだなって思いました。普通の生活の中でも、科学が進化していくにつれて、自然が破壊されるという代償を払っています。そういう深いところを想定しながら、高橋監督は本作を作ったのではないでしょうか?今までのホラー映画の恐怖は“怨念”でしたが、『恐怖』の怖さは“代償”だと思いました。


Q:最後にこれからご覧になる方に一言お願いいたします

■中村:今までのジャパニーズ・ホラーとは一味違った作品です。現実なのか非現実なのか分からない世界の中で翻弄されていく家族の姿を描いています。少し難しいところはあるのですが、見れば見るほど深いテーマを見出せる作品になっていると思います。是非ご覧下さい。

<中村ゆり プロフィール>
1982年大阪府出身。芸能活動を始めると同時に演技・芝居に興味を持ち、活動の場を役者に移す。グー・スヨン監督作『偶然にも最悪な少年』(03)や瀬々敬久監督作『JUDE/ユダ』(04)など、個性的な監督の作品に出演。2007年に井筒和幸監督作『パッチギ!LOVE&PEACE』でヒロインのキョンジャ役を射止め注目を浴び、第3回おおさかシネマフェスティバル新人賞、2007年度全国映連賞女優賞を受賞。その後も『ララピポ』(08)、『呪怨 黒い少女』(09)、『パレード』(10)などに出演し、順調にキャリアを重ねている。2008年10月にはロバート・アラン・アッカーマン演出の舞台「1945」で初の主演を務めたほか、その後、松浦徹監督の「恋と革命」、ジョン・ケアードの「綿繍」といった舞台に出演している。10月16日に映画「桜田門外ノ変」の公開が控えている。

衣装:ワンピース(Banner Barrett)\35,700

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『恐怖』
2010年7月10日 より テアトル新宿ほか全国にて順次公開
配給:東京テアトル
公式HP:http://www.kyofu-movie.jp/

©2009「恐怖」製作委員会

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