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2009年12月18日 (金)

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』坂本浩一監督 インタビュー

『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』坂本浩一監督 インタビュー

ウルトラマンが初めて地球に姿を見せてから43年。本作はその歴史の集大成と、新時代の幕開けを感じさせる壮大なスケールの作品だ。ウルトラの歴史初の光の国出身の悪玉ウルトラマンであるウルトラマンベリアルと、ウルトラセブンの息子であるウルトラマンゼロの登場を筆頭に、特撮カットを実写とCGのデジタル合成で表現するなど、従来のウルトラシリーズが持つイメージを一新する作品に仕上がっている。子供たちに大人気のカードゲーム「大怪獣バトル」から派生したテレビシリーズ「ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル」を物語のベースに、ウルトラ戦士のスピーディーなアクションや100体を超える怪獣軍団による大暴れなど、ウルトラファンなら大人から子供まで楽しめる大迫力の作品だ。

今回は本作の監督でもあり、TV「パワーレンジャー」シリーズで全米をはじめ、世界中の子供たちを熱狂させた実力派監督・坂本浩一さんにお話を伺いました。

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本作の監督をされた経緯をお聞かせ下さい

■坂本浩一監督(以下、坂本監督):「15~6年間くらい前から仲良くさせていただいてる、本作のプロデューサーでもある円谷プロの岡部さんから「新体制の円谷でウルトラマンの映画を作りたい」とお話を聞き、本作の監督のオファーをいただきました。
僕の中でもウルトラマンというコンテンツをアクション映画の観点から捉えて、娯楽映画として描きたいと思っていて、そこで僕と岡部さんの意見が一致しまして、岡部さんからも「ウルトラマンをワイヤーで飛ばしたり、今までに見たことの無いウルトラマンを見たい」と意見をいただきました。
僕自身もウルトラマンの大ファンなので、思い描いてた事が実現できる!と、即答で返事をしました(笑)」


本作は国民的ヒーローであるウルトラマンの“お祭り映画”的な作品ですが、監督をやられての率直なご感想をお聞かせ下さい

■坂本監督:「正直プレッシャーは大きかったですね(笑)。歴史に残るヒーローですし、期待しているファンも多いですから。
それに今回ウルトラマンの本拠である“光の国”を描き、それに歴代のウルトラマンを多数登場させているので、周りからの期待値は必然的に高くなりますよね。
ただ僕自身が子供の頃からウルトラマンの大ファンなので、僕にしてみれば夢が叶ったようなもので、プレッシャーもありましたが嬉しい面の方が大きかったですね。
ほんと楽しみながら監督をさせて頂きました」


ある意味ウルトラマンのセオリーを打ち破る作品だったと思います。その辺もプレッシャーのひとつでしたか?

■坂本監督:「その辺は監督のオファーをいただいた時点で、プロデューサーの岡部さんが既にデザイナーの方や、合成の方とコンセプト上で「光の国はこんな場所」とか「怪獣墓場はこんな場所」とか、今後のウルトラ作品の中で登場させてもいいように設定を作っておいてくれたんです。そういう大事な設定や、全編をグリーンバックで撮影するというのも岡部さんの意向で決まっていました。
なので既にデザインとして描かれた光の国などを、僕の演出で描かせていただいた形になります」


グリーンバックの話がでましたが、今回全編をグリーンバックで撮影し、背景を全てCGで描かれていますが、それで良かった点はどのような事でしょうか?

■坂本監督:「やはり光の国や巨大な建造物の質感や存在感は、実写で描く事は無理ですよね。それをCGにする事で空想の世界を1から全て作れるという面で、すごく世界観を伝えるのに良かったと思います。
ハリウッド大作のように何百億と予算があるわけでは無いですし、限られた予算と日数で撮影する場合は凄く有効だと実感しました」


本作を観て一番衝撃的だったのが、ウルトラマンのアクションシーンでした。カンフー映画のように闘い、すごくスピーディー。今まで観た事のないウルトラマンのアクションでした!
そこには坂本監督の演出が大きく活かされているのでは無いでしょうか?

■坂本監督:「そうですね。現行のウルトラマンって、“実はハイスピードだけどゆっくり動いている様に見える”って感じのが殆どですよね。それは巨大感を表すにはそれがベストだと思います。
ただ本作に関しては光の国が舞台なので、ウルトラマンのサイズが普通のサイズなんですよ。彼等は超人であって、普通の人には出来ない光線を撃ったり、空を自由に飛んだりするわけで。その中でも選ばれた戦士たちが闘ったらこうなるんじゃないか?と。
そういう戦士が実際に闘うと、ああいったアクションになるというのをお客さんに一番見せたかったんです」


アクションシーンはお手本にしたものなどあるのでしょうか?

■坂本監督:「お手本は特に無いのですが、僕の中でウルトラマンがカッコ良く見える方法を常に頭において、こうしたらどうだ?ここを見せたらいいんじゃないか?と常に考えていました。
今まで特撮ヒーロー物をいくつか監督していますが、そこから得た経験とか、僕が観てカッコイイと思ったものを昇華させ、その中でウルトラマンにとって最良のアクションシーンは?と考えた結果が本作のアクションシーンに反映されていると思います」


アクションシーンがカッコイイのもそうなのですが、すごく分かりやすいカメラアングルで撮影されてましたよね。どこからパンチが放たれて、どこに当たったとか。

■坂本監督:「僕が子供だった頃にジャッキー・チェンが神のような存在だったのですが、彼のアクションはお客さんが見て素直に反応できる分かりやすいアクションになっているんですね。でも最近のアクションシーンだとカメラが寄り過ぎたり、カット割りが細か過ぎたりして、何をどうしているのか分からない物が多いんです。
そういうアクションだと子供がそれを真似しないんですよ。僕が子供の頃は、ウルトラマンにしろ、仮面ライダーにしろ、ジャッキーにしろ、子供でも分かりやすいアクションで真似するわけです。ジャッキーの構えとかですね。
最近の目まぐるしいアクションシーンもありなんでしょうけど、ウルトラマンは違うと思ったんです。
本作は子供のための映画なので、子供が素直に「ウルトラマンはカッコイイ!真似したい!」と思ってくれるような作品にしています。監督した作品はどれも“子供が見てカッコイイと思える作品にする”というのが根底にあります。
子供たちがあのアクションシーンを真似したり、ウルトラマンのグッズで遊んだりするのをみたら、僕はすごく和みますね。ああぁ、良い仕事したんだな~って(笑)」


アメリカで「パワーレンジャー」の監督として活躍されてることが影響しているのかもしれませんが、やはり良い意味で邦画っぽくない雰囲気を感じました。

■坂本監督:「邦画とハリウッド映画ってやっぱり雰囲気が違うんですよ。例えば同じロケーションで撮っても違いますからね。それは何なんだろう?と考えた結果、演出方法だと思ったんです。例えば照明だったり、カメラアングルだったり、使うレンズのサイズだったり、感性が違うとそれに伴って演出も変わるんです。日本人とアメリカ人って元々の感性が違いますから。
僕はハリウッドの演出が好きで、渡米して20年以上それを勉強しています。なので僕の演出も少しずつですが、向こうの演出方法に近づいているんです。
それは岡部さんも承知してて「今回は邦画の概念にこだわらない、ハリウッド映画のようにやってみたい」と言われたので、僕も照明部や撮影部に話をして、レンズのサイズにしろ、照明の当て方にしろ色々お願いしました。
邦画って照明を当てるなら、全てに行き届くように当てる事が多いんですよ。それだと影が出来ないんですね。ハッキリ見せるには良い方法かもしれませんが。ハリウッドだと当てる所は当てて、それ以外は全く見えないくらい暗くして、明暗をハッキリさせるんです。
そう言う所から“邦画っぽくない”と思われたのかもしれませんね」


ウルトラマンゼロの設定も今までにない、ちょっとダークな感じですよね

■坂本監督:「やはりインパクトのある存在として登場させたかったので。今までのウルトラマンって優等生が多いんですよね。どのウルトラマンも地球に送られてきたエリート戦士という設定なので、みんな良い子なんですよ。
でも今回はちょっとやんちゃな不良で、乱暴な言葉も使います。小泉元首相が演じたウルトラマンキングにも言葉使い悪いですしね(笑)。今までに無い設定で、まだ成長しきっていないウルトラマンなので、今後続編などがあったら彼の成長過程も描けるんじゃないかな?と思いながら、キャラクター作りをしていきましたね」


ある意味人間臭いキャラクターですよね

■坂本監督:「そうですね。お客さんが見て感情移入できたほうが、キャラクターも広がっていくと思いますので」


ウルトラマンベリアル(悪のウルトラマン)もこれまた見たことの無いウルトラマンですよね。見た目もちょっと変わっていますよね。何をモチーフされたのでしょうか?

■坂本監督:「ベリアルのデザインは岡部さんと、キャラクターデザインを担当された後藤さんとで、既にデザインの方は出来上がっていました。ウルトラマンの見た目を持ちながら、残忍なサメをモチーフにしたデザインになっています。
それに対するキャラクターの芝居や動きに関しては僕のほうで作っていきました。中に入っているスタントマンには、常に少し前かがみで腕の長さを目立たせて移動するとか、そんなふうに動きを作っていきました。
そこに宮迫さんが本当に上手い具合に声をあてて下さって、全く違和感の無いキャラクターが完成できました。宮迫さんには本当に感謝しています」


先ほどお話にもでましたが、ウルトラマンキングの声優として小泉元首相も参加され、お仕事をご一緒された感想をお聞かせ下さい

■坂本監督:「多分、人生の中で一番緊張した瞬間だったと思います(笑)。海外で仕事をしていると、日本の政治界の方にあう機会なんて殆どないじゃないですか。特に小泉さんはカリスマ性があったというか、歴代の首相のなかでも印象が強かった方なので、まさか一緒にお仕事するなんて思ってもみませんでした。
オファーをしてるって話を聞いたときに「まさか無理だろう」と思っていたら、OKが出て「え!?ほんとに??」って(笑)。
実際にお会いした時は、やっぱりオーラが違う!と思いました」


今回、歴代のウルトラヒーローを演じられた黒部さん、森次さん、五十嵐さん、つるのさんが登場し、結構アクションシーンをやられていますよね。そこはどのような演技指導をされたのでしょうか?

■坂本監督:「僕の中で“ウルトラマンに変身する方達は、普通の人より強い!”というのがあったので、変身する前のアクションシーンも見たいと思っていたんですね。今までそういうシーンが殆ど無かったんですよ。
今回黒部さんにしろ、森次さんにしろ「これは新しい!面白い!」すごく乗り気で協力してくださいました。
五十嵐さん、つるのさん、レイ役の南さんは、元から身体能力が高くて。南さんは撮影が始まる前からスタントチームと一緒に練習しましたし、五十嵐さん、つるのさんに関しては現場来たときにアクションシーンがあるのを話して、「えええ!これ僕がやるんですか!?」と言われたのですが、その場で指導して撮影しました(笑)。
キャストの皆さんのアクションシーンは観ていただければ分かると思うのですが、本当にアクションスターの様に映っていると思います。それはご本人たちの努力ですね。
今回は全キャストにアクションをやっていただきました!」


今回ゼロとベリアルの外に、劇場版初登場のウルトラマンがいるとお聞きしました。どのウルトラマンでしょうか?

■坂本監督:「今までウルトラマンの設定上、光の国出身のウルトラマンや、世界観が違う別次元でのウルトラマンなど、シリーズによって色々と設定が違うんですね。
今回はそういう設定上問題ないウルトラマンは全て出演させる事が可能になったんです。
特に光の国の一般市民は初めて登場してきますし、それ以外にも劇場版初登場のウルトラヒーローもいて、そういう所はファン心をくすぐると思いますよ」


坂本監督が一番好きなウルトラマンは?

■坂本監督:「僕はウルトラマンレオですね。今回ゼロの師匠役をやったレオですが、レオの師匠はウルトラセブンだったんですよ。シリーズとしては珍しく格闘アクションがメインで、僕も子供の頃レオの動きを真似しました。
それもあって今回どうしてもレオを登場させたかったんですね(笑)。ゼロがセブンの息子なので、昔のカンフー映画にある“師匠の子供を鍛える”って流れをくんで、レオを登場させていただきました!」


では、最後に。今後どのような作品を撮ってみたいですか?

■坂本監督:「僕はフリーの監督・プロデューサーをやっているのですが、円谷さんからまた違う形でウルトラマンのお話があったら是非参加したいです。
あと、僕個人として、今邦画の中で娯楽アクション映画で人を呼べる作品が少ないと思っています。恋愛物だったり、TVドラマの映画版だったり、それも作品として面白いのですが、やっぱりアクション映画を作ってきた人間としては、お客さんが「このアクション映画面白そう!」と思って観に来てくれる、期待を裏切らないアクション映画を日本で作りたいと思っています。
もちろん本作はウルトラマンというのを外しても、単純にアクション映画として楽しめるつくりになっていると思います。これを機に「アクション映画を作りたい!」という方がいれば、ほんと飛んでいきます(笑)


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『大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説』
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:2009年12月12日
劇場:全国にて
公式HP:http://ultra-legend.com/

©2009 「大怪獣バトル ウルトラ銀河伝説」 製作委員会

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