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2009年12月11日 (金)

『アフロサムライ:レザレクション』木崎文智監督 インタビュー

『アフロサムライ:レザレクション』木崎文智監督 インタビュー

アーティスト岡崎能士が生み出したアフロヘアの孤高の剣客・アフロサムライ。サミュエル・L・ジャクソンがその奇抜なキャラクターに惚れ込み、プロデュースを買って出たのみならず、アフロサムライのヴォイス・アクターとして主演を務めたジャパニメーションが、全米を興奮と熱狂の渦に叩き込んだ衝撃から2年。遂に待望の続編が登場した。よりパワーアップしたアクション、ストーリーに加え、「チャーリーズ・エンジェル」シリーズのルーシー・リュー、「スター・ウォーズ」シリーズのマーク・ハミルら豪華キャストが実現。アフロへの復讐を誓い、執拗に付け狙う美貌の暗殺者・シヲと、シヲにつき従う死刑執行人・ビン役で、アフロサムライをどこまでも追い詰める。

今回は本作の監督である木崎文智さんにお話を伺いました。

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エミー賞長編アニメーション番組部門へのノミネート、美術監督 池田氏の個人部門審査員賞の受賞おめでとうございます。率直なご感想をお聞かせ下さい

■木崎文智(以下、木崎監督):「かなり驚いたのが正直な感想ですね。その時に池田さんの受賞も聞いて素直に「こりゃ凄い!」と思いました(笑)。

アメリカのTVってレイティングが厳しくて、しかも本作はバイオレンス描写が多いので、正直言うとノミネート候補に上がっていると聞いたときは「ウソ?それは無いよ」と思ってました。それがノミネートされてしまい、皆「意外にいけるんじゃぁない!?」と(笑)。池田さんの受賞もスタッフ一同喜びましたし、これを機に、日本のアニメーションアートの素晴らしさに注目が集まればと思いましたね。

今年の7~8月にノミネート候補に選ばれたのですが、日本では劇場公開もDVDの発売も何も目処が立っていなくて。8月半ばくらいに受賞の事を聞き、それが大きな決め手となって今回劇場公開される事になったわけですからね。GONZO(アニメ制作会社)自体のテンション高くなりましたよ(笑)本当にラッキーな作品ですね。」


レイティングが厳しいアメリカで、本作のようなバイオレンス作品がノミネートされた要因はどこにあると思いますか?

■木崎監督:「まず原作岡崎さんのアイデア、黒人の主人公だったのが大きいと思うんです。あとアフロサムライ自体が“アニメーションアート”と言われてて、ひとつの芸術として認知されているのも要因です。常にクオリティの高いものを目指して作っていますので、そこが評価されたんだと思います。

作品賞となってくると演出、脚本等、様々な要素が入ってくるので、そこまでは到達できませんでした。「アメリカ人には難解なストーリーだった」という意見も聞きましたし、まぁ、僕は逆にシンプル過ぎたかな?と思ったんですが(笑)」


アフロにしろ、新キャラクターのシヲにしろ、前作よりも本作はキャラクターの心理描写を多く描かれていると思ったのですが

■木崎監督:「今回も前作同様“復讐の輪廻”というのがテーマでして、それに巻き込まれているアフロの葛藤とか、そういうドラマ的な部分は前作よりも深みを出していると思います。家族愛であったり、師弟愛だったりです」


監督にとって復讐とはどういったものでしょうか

■木崎監督:「西部劇や時代劇を観ると昔からアメリカや日本でもあだ討ちはあって現代の戦争もいまだに、報復による報復の争いが絶え間なく続いている。今で言ったらイラク戦争かな。ああいうのって連鎖して、永遠に終わらない。宗教間での紛争なり、世界中で色々と繰り広げられている根が深い問題だと感じています。世代も超えての、一度足を踏み入れたら戻れない世界。アフロも同じような境遇で世界観を描いています。

本作はアフロが覚悟を決める話なんですよね。全てを受け入れて、ラストはある意味達観してるのかもしれません」


前作はTV放映されたアニメ版“総集編”で、今回は長編映画として公開されるわけですが、長編を描かれるうえで苦労された事はどんな所でしょうか?

■木崎監督:「決定的に違うのは構成というか、TVシリーズの場合は1話の間に起承転結の流れがあるんですが、今回90分の作品なので徐々に盛り上がっている描写とか、緩急の付け方としては長尺を意識したものにしてあります」


脚本も結構練られたのでは?

■木崎監督:「そうですね。脚本が一番難航しました。前作の『アフロサムライ』が終わってすぐにアメリカから続編のオファーが来ました。中々こちらが出した案がアメリカで了承を得れなくて…。前作で一応物語りは完結しているわけで、その後は何も考えていなかったんですよ。なのでゼロから作り上げていきました。

原作者の岡崎さん、脚本のむとうさん、あと僕で、ストーリーの流れを作っていきました。ただこのストーリーの流れになるまで、アメリカサイドの要望を取り入れてつつシナリオを作りましたね。

本作は北米のお客さんに向けての作品なので、日本人の僕らのアイディアを優先させるのはどうかな?というのはありました。妥協した部分も若干あります。基本的なストーリーラインは岡崎さんのアイデアをベースに日本チームが作り上げた物ですが、アメリカサイドとの折り合いを付けるのが一番難しかったですね」


そんなアフロサムライですが、パート3があるとお聞きしたのですが!

■木崎監督:「あるといいですね~。ただ、僕はわかりません(笑)。でも実写化の話を聞いた事はありますね。サミュエルは年取りすぎてアフロは無理でしょうね(笑)。アフロの父だったらいけるんじゃないかな」


世界中のアニメの中で、日本アニメはどのような位置づけなのでしょうか?

■木崎監督:「ジャパニメーションはすごく人気あります。やっぱりアニメファンが支えていますね。それは日本でも同じですが、まず人数が多い。

以前ドイツでアニメイベントに招待されたのですが、ベートーベンホールにドイツ各地からものすごい人数のコスプレイヤーが来るんですよ!ライン川のほとりでセーラームーンとかナルトとかコスプレした人達がポーズきめて写真を撮られている。異様な光景でしたね。

現地で通訳を担当してくれた方に「こんなすごい光景を一般の人達はどう見てるの?」と尋ねたら「頭がおかしい人達という風にしか見ていない」というんです。だからやっぱりアニメが本当に大好きな人達が来てるんですよね。
日本の文化が世界中に広がるのは嬉しいけど、見るところから見ればすごく変な集団に見られるというのはどこの国でも変わらないんだなと思いました」


世界ではアニメはまだマイノリティな感じなのですか?

■木崎監督:「アメリカでもアニメイベントを行うと、ものすごい人数のファン達が来てくれるので、そこそこの市民権は勝ち取っていると思います。アトム、ドラゴンボールなど日本で万人に受けるものは世界でも受けています。マニアックなものは日本同様海外でも見ない人は全く見ないし、好きな人が見るものというジャンルで、まだマストではないという印象を感じますね」


本作は日本伝統文化とアメリカのHIPHOP文化の融合が面白い作品ですよね。他に何かと何かを融合させたらカッコいいのではと思う物はありますか?

■木崎監督:「そうですねー「アフロサムライ」はヒップホップとの融合でしたが、これを逆に完全な和の曲、三味線とかでやってみたら個人的には面白いんじゃないかと思います。

ヒップホップはもちろんカッコいいのですが、やっぱりどこか伝わらない気がするんですよね。祭りのシーンとかバトルシーンとかをもっと盛り上げてほしいんだけど、何かちょっと違うんですよね。

元々ヒップホップを当て込む前は吉田兄弟の三味線の音を入れていたんです。でRZA(音楽担当)に「こんなイメージで作ってくれ」と渡したら、ああ言った感じの曲になって帰ってきたと(笑)。結果的には凄くカッコよくて良かったと思っているし、この作品の売りにもなっているのですが、そういったイメージのギャップにもどかしさはありますよ」


前作に続いてサミュエル・L・ジャクソンが声を務め、今回はルーシー・リューとマーク・ハミルも参加されたということで、一緒にお仕事をされた感想をお聞かせ下さい

■木崎監督:「実はルーシー・リューには会っていません(笑)。元々シヲは違う方に決まっていたのですが、交代して彼女になったんです。でも声の感じもシヲによく合っていたし、感情的なシーンとかも役に入り込んで演じてくれたので良かったですね。

サミュエルはニンジャニンジャの喋りを聞けば分かる通り、かなりノリノリでやってくれましたね。相変わらず芝居がキレてるし飛ばしすぎじゃないの!?と(笑)。

マークの出演は渡米する直前、成田に移動する車の中で聞いたんですよ。ビックリしたしテンション上がりましたね。「マーク・ハミルって『STAR WARS』の!?ジェダイの騎士だよ!」とか言って盛り上がってました(笑)。
彼の収録は立ち会えることが出来たのですが、感動しましたね。収録後は撮影会とサイン会になっていました」


『STAR WARS』お好きなんですね

■木崎監督:「そりゃあそうでしょう!小学生の頃にエピソードVIを家族で映画館に観に行きましたね。で、「俺、もう一回観て帰るから!」と言って二回観て帰りましたね(笑)。だから今回マーク・ハミルに決定した事はかなり感動しました」


では最後に、この作品の見所を教えてください

■木崎監督:「ここまで個性的な作品はアニメーションでは中々お目にかかれないと思います。日本だとありえないような企画やへんてこな部分もありますが、日本人が観てもそれなりに楽しめるエンターテイメント作品になっているので、ぜひ観てほしいと思います。

そして、こういった面白いジャンルもあるんだということを知ってもらいたい。そして日本でもどんどん作られていってほしいですね!」

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『アフロサムライ:レザレクション』
配給:トルネード・フィルム
公開:2009年12月12日
劇場:シネマライズほか全国にて
公式HP:http://afrosamurai2.jp/

©2009岡崎 能士・GONZO

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