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2009年3月24日 (火)

『ナットのスペースアドベンチャー3D』ベン・スタッセン監督 インタビュー

“本物の3D映画を楽しんで欲しい”

出席者:ベン・スタッセン監督

『ナットのスペースアドベンチャー3D』ベン・スタッセン監督 インタビュー

1969年、アポロ11号が宇宙に飛び立ち、人類が月面に第一歩をしるした。でもその時、宇宙に行ったのは、宇宙飛行士だけではなかった?アポロ11号にこっそりと乗り込んだハエの子供ナットとその仲間たちの大冒険を描いた『ナットのスペースアドベンチャー3D』

全編3D専用として作られた初のCGアニメーションとなる本作を手掛けたベン・スタッセン監督にお話を伺いました。

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『ナットのスペースアドベンチャー 3D』を考えついた経緯は?

■ベン・スタッセン監督(以下、BS):「長い間3Dの短編作品を手掛けてきましたが、そろそろ長編をという話になり、脚本を探し始めました。その中に本作の脚本がありました。想定予算内に収まって、長編3D映画に相応しい脚本だと感じ制作に取り掛かりました」


特に脚本のどの部分に惹かれたのでしょうか?

■BS:「アポロ11号の計画が無事成功したという事実は、皆さん知っているわけですから、ドラマチックではなくなる危険性がありました。でも、アポロ11号の物語自体が素晴らしい冒険物語ですし、それを3Dで描けば面白くなると思いました」


主人公たちはなぜハエなのでしょうか?

■BS:「脚本の段階で既にハエだったのですが、私は良い選択だと思いました。ハエだったらアポロ11号の機内にこっそりと忍び込める可能性があるかもしれないからです」


ハエは益虫でもありますが、害虫としてのイメージが強いです。そのハエをビジュアル化する際に気をつけた点は?

■BS:「『アンツ』、『バグズ・ライフ』などアニメーションの世界では、今までも昆虫を擬人化してきました。これらの作品同様にキャラクターをキュートに描くことです」


ナット役として堀北真希さんが参加した日本語吹替え版はご覧になりましたか?

■BS:「はい、見ました。堀北さんの演技は素晴らしかったです。私は日本語が分かりませんが、分からないからこそ、注意深く聞きました。堀北さんに限らず、日本語吹替え版のキャストの方々の間の取り方やリズムは、とても良かったと思います」


ナットと堀北真希さんがあまりに似ていて驚いたのですが、まさか堀北さんがモデルではないですよね?

■BS:「違いますよ(笑)。ナットもキュートですが、堀北さんの方が可愛いですよ」


3D映画の魅力は?

■BS:「3D映画は映画史において、トーキーの発明に続く2番目の革命でした。3D映画は効果というよりも体感です。スクリーンに映し出された場所に、まるで自分が運ばれていくかのような感覚を得ることが出来ます。これが2Dとの大きな違いです。3Dと2Dでは演出方法、カメラポジション、演技の仕方が全く違うのです」


本作に2Dと3Dの演出の違いを端的に表すシーンはありますか?

■BS:「ナットたちがバレエを踊るように浮遊しているシーンがあります。このシーンはワンカットで2分57秒もあるのですが、観客にも浮遊感を共有してもらうためにインサートしました。2Dでしたら絶対に入れないようなシーンです。これこそ3Dならではの楽しさだと思います」


そもそもなぜ立体的に見えるのでしょうか?

■BS:「人間の視覚は3Dです。これはステレオ・オプシスという現象で、脳が3Dに見えるように情報を処理しています。例えば、右目の前に指をかざしてみます。右目で見ると目の前に指があるように見えますが、左目で見ると極めて右側に指があります。指をどんどん遠ざけていくと、左右の目が見ている視覚的情報が同じになり、脳が遠近感を調整します。3D映画はこのステレオ・オプシスを利用し、立体的に見せているのです」


どのようにしてステレオ・オプシス現象を活かしているのでしょうか?

■BS:「二台のカメラが人間の左右の目の役割を果たしています。右目用、左目用として撮影したそれぞれ違った映像をスクリーンに映し出すのですが、そのまま見ると二重に見えるので、メガネの登場となります。左右の偏向方向が違うメガネをかけることによって、右目は右目だけ、左目は左目だけの映像が見えるようになります。その視覚情報が脳に伝達され、異なる2つの映像を立体的に見せているのです」


今後、益々3D映画は活性化されていくのでしょうか?

■BS:「活性化されると思います。全米では『モンスターVSエイリアン』、『アイス・エイジ3』など多くの3D映画が公開される予定です。しかしながら、これらの作品は3Dのためだけに製作された映画ではありません。2Dと3Dの両方で興行が出来るよう、2Dで撮った映画を3Dに変換しているので、2.5D映画と言えます」


2.5D映画が従来の3D映画に及ぼす影響は?

■BS:「今、全米で公開されている『ジョナス・ブラザーズ/ザ・コンサート3D』は、大々的に公開されたのにも関わらず、予想を遥かに下回る成績となっています。昨年公開されてヒットした『ハンナ・モンタナ/ザ・コンサート3D』の成績には遠く及びません。恐らく観客たちが飽きてしまったのだと思います。そもそも2.5D映画は2D映画として十分楽しめます。わざわざ3Dにする必要がないクォリティーを持っています。3D映画には3D映画なりの特性があるので、本物の3D映画を観客の皆さんに提供するべきだと私は思っています」


それでは最後に、これから本作をご覧になる方々にアピールポイントをお願い致します

■BS:「幅広い年齢層に受け入れられる作品だと思っています。小さいお子さんたちは、宇宙への冒険に心を躍らせ、大人たちは、アポロ11号の月面着陸の瞬間を改めて思い出すでしょう。この作品は最初から3Dの上映を念頭において作られた初のCGアニメーションです。今までの映画とは違った体感をしていただけます。そして、映画の新しい言語となる3D映画を気に入っていただければ嬉しいです」


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『ナットのスペースアドベンチャー3D』
配給:ティジョイ、さらい
公開:2009年3月28日
劇場:新宿バルト9ほか全国にて
公式HP:http://www.nat3d.jp/

©nWave Pictures

<ベン・スタッセン監督 プロフィール>
ベルギー出身。南カリフォルニア大学映画テレビ学科を卒業し、初めて製作した“My Uncle’s Legacy”(‘90)でゴールデングローブ賞外国語映画賞にノミネート。その後、nWave Picturesを設立し、数多くの3D映画を手掛け高い評価を受けている。

取材・文:伊藤P

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