『007/慰めの報酬』マーク・フォースター監督 インタビュー
“ボンドの痛みが映画全体の背骨”
出席者:マーク・フォースター監督

ダニエル・クレイグがジェームズ・ボンドに新な息吹を吹き込み、大変革を遂げた『007/カジノ・ロワイヤル』。世界中で大ヒットした新シリーズの続編『007/慰めの報酬』がいよいよ公開。マーティン・キャンベル監督の後を受け、人気シリーズの監督に抜擢されたのは、マーク・フォースター。ハル・ベリーにオスカーをもたらした『チョコレート』(’01)やジョニー・デップ主演の『ネバーランド』(’04)で、人間ドラマの名手としての地位を確立した若き名匠が「007」に挑み、より人間味溢れるボンド映画を作り上げた!
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人気シリーズ「007」を監督されたご気分は?
■マーク・フォスター監督(以下、フォスター監督):「とにかく幸せですね。前作の『007/カジノ・ロワイヤル』がシリーズで最も成功を収めていたので、とてもプレッシャーを感じていました。幸い『007/慰めの報酬』も世界中で大ヒットを記録しているので、ホッとしています」
前作から引き継ぐ際に気を付けた点は?
■フォスター監督「:「自分自身のビジュアル・スタイルを貫き、築き上げることが大切だと思いました。続編なので物語としての整合性は保ちましたが、スタイル的には全部自分の色を出したつもりです」
人間ドマラがより強調されています。監督の得意分野ですが、かなり意識されましたか?
■フォスター監督「:「プロットで進んでいくというよりは、キャラクターで物語を展開していく映画にしたいと思ったので、ボンドのキャラクターに焦点を当てました。彼はとても傷ついていて、痛みを感じている。その感情が映画全体の背骨になっていると思います」
人間ドラマが得意な反面、アクション映画は初ですが、不安はありませんでしたか?
■フォスター監督「:「不安よりはプレッシャーが大きくて、常に緊張していました。世界中のメディアから顕微鏡で覗かれているような気分でした。でも基本的には他の映画でやっていたこととあまり変わりありませんでした。プリプロダクション(撮影前の準備)をしっかりやって、実行する。プロセスは一緒です」
新シリーズの立役者であるダニエル・クレイグの魅力は?
■フォスター監督「:「素晴らしい役者であると共に、セクシーでミステリアスでもある。ダニエルのミステリアスな部分はロマンスだけでなく、危険も引き寄せてしまう。大変興味深い人物です」
現場では意見交換をしたのでしょうか?
■フォスター監督「:「ダニエルは脚本やキャラクター作りにも協力してくれました。私たちは2人ともインディペンデント映画出身なので、感性が似ていると感じました」
もう一方の主人公であるボンドガール、カミーユを演じたオルガ・キュリレンコはいかがでしたか?
■フォスター監督「:「オルガと一緒に仕事が出来て本当に良かったです。素晴らしい経験でした。スタントを自分自身でこなすだけでなく、心理描写でもカミーユの真実をうまく引き出していたと思います。また、ダニエルとの相性もピッタリだったので、映像的にも彼女で良かったと思います」
新しくなったボンドの魅力は?
■フォスター監督「:「以前のボンドは、スーパーヒーローでしたが、ダニエル・クレイグが、より人間的なボンド像を作り上げてくれたと思います。アンチヒーローな部分もあり、立体的な人間としてのリアリティをボンドに注入したのです。観客もボンドに近付き易くなり、共感できるようになったと思います。完璧ではない欠点のあるボンドは、今の世の中の現状と一致する部分もあり、そこにハイライトを当てて行きたいと思いました」
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『007/慰めの報酬』
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公開:2009年1月24日
劇場情報:丸の内ルーブルほか全国にて
公式HP:http://www.sonypictures.jp/movies/quantumofsolace/
©2008 Danjaq, LLC, United Artists Corporation, Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
■プロフィール
マーク・フォースター
1969年、ドイツに生まれ、スイスで育つ。90年映画を学ぶために渡米。95年『Loungers』で長編映画デビュー。2作目『Everything Put Together』(’00)がサンダンス映画祭で上映され、その後インディペンデントスピリット賞を受賞。続いて『チョコレート』(’01)を監督。作品のクオリティはもちろんのこと、ハル・ベリーにアカデミー主演女優賞をもたらしたことで、一躍脚光を浴びる。04年にはジョニー・デップ主演の『ネバーランド』を発表し、アカデミー賞など数多くの映画賞にノミネートされ、人間ドラマの名手といての地位を確立。その他の監督作はユアン・マクレガー、ナオミ・ワッツ共演のスリラー『ステイ』(’05)、ウィル・フェレル主演『主人公は僕だった』(’06)、ベストセラー小説の映画化『君のためなら千回でも』がある。
取材・文:伊藤P




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