『悪夢探偵2』 松田龍平&塚本晋也監督 インタビュー
“怖いけど泣けて優しい気分になれる作品”
出席者:松田龍平&塚本晋也監督

他人の夢の中に入る特殊能力を持つ悪夢探偵こと影沼京一の活躍を描いた塚本晋也監督の異色サスペンス『悪夢探偵』。07年に1月に公開されヒットを記録した話題作の続編が早くも登場!
前作のサイコサスペンスのような構造から一転、本作は京一が悪夢探偵となった秘密に迫りながら、女子学生の悪夢の謎の解決に乗り出す。怖さ、優しさ、悲しさ、あらゆる感情を見る者に喚起する『悪夢探偵2』。
京一をより人間に近づける名演をみせた松田龍平さんと、『悪夢探偵』の世界を作り出した塚本晋也監督にお話をお聞きしました。
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松田さんはあまり続編に出演したことがないと思いますが、続編への意気込みは?
■松田龍平(以下、松田)「1作目が凄くいい現場だったので、今回の撮影も楽しみにしていました。既に京一が体の中に染み込んでいたので、あえて1作目を見直したりはしませんでしたね。新しい台本で、塚本さんともう一度やるという新鮮な気持ちで臨みました」
『悪夢探偵2』はどのような構想の下、誕生したのでしょうか?
■塚本晋也監督(以下、塚本監督)「元々3部作の構想だったのですが、2本目はホラー色の強いもの、3本目は自分が子供の頃に見た悪夢に悪夢探偵が入って助けてくれるというイメージでした。今回、その2本目と3本目の核をくっ付けて1つの作品にしました」
そもそも『悪夢探偵』を考えついたきっかけは?
■塚本監督「自分が子供の頃、余りにも夜が怖かったので、悪夢探偵に助けてもらいたいというのが、最初に作ろうと思った動機です。随分前ですが、子供にとって一番怖い体験はなんだろうと考えた末、悪夢探偵はお母さんに殺されそうになったことがあるという厭世的な人物設定にしました。それから20年経って、自分の周りの環境も随分と変わってきたので、その間の経験が本作に滲み出ていると思います」
20年の間に結婚され、お子さんを儲けましたが、その影響があるということですか?
■塚本監督「そうですね。自分の母親は勿論、子供を育てている奥さんへの共感が出ていると思います。勿論、母親に首を絞められたことはありませんし、奥さんも子供にそんなことはしないです。逆にやられたことがないからこそ、思う存分自分の感情を込めて、極端な設定を描けるということに気が付きました」
『悪夢探偵』シリーズでの松田龍平さんの魅力は?
■塚本監督「普通の俳優さんだったら、夢に入るという摩訶不思議なことにリアリティを持たせることは出来ないのですが、松田さんはそれが出来てしまうような存在感と神秘性を1作目の時から持っていました。2作目ではより強いエネルギーを放出していたので、悪夢探偵を神秘的な存在からもっと深い存在に昇華させてくれました。1作目から更に凄い役者さんになったんだなと感じました」
松田さんは『悪夢探偵』シリーズの脚本を読んで、どのような印象を受けましたか?
■松田「塚本監督の脚本は独特なのですが、“?”ということはなく、自分の中で消化できます。ト書きを読んだだけでも、想像が色々と湧いてきました」
松田さんにとって京一はどのような存在でしょうか?
■松田「1作目はダークヒーロー的な面が強かったと思います。今回は人間に近づいたように思いました」
今回はかなり怖いですが、塚本監督には恐怖描写の根源となった体験とかあるのでしょうか?
■塚本監督「子供の頃の夢に出てきた幽霊が起点ですね。とにかく夜が怖かったんです。一旦、怖く無くなったのですが、また怖くなってしまって、夜中に鏡をジッと見たりするのも嫌だったりします。そんな感じで自分が怖いと思うものはなんだろうって、常に突き詰めてはいたのですが、明確にこの恐怖体験があったから、作品に取り入れたというのはないですね。とにかく恐怖を克服したかったのですが、映画を作り上げたからと言って、恐怖を克服することは出来なかったですね」
塚本監督は海外での評価も高いですが、本作でも海外を意識しましたか?
■塚本監督「どの映画も海外を意識して作ったことはないですし、海外を意識するということがどういうことかもよくわかりません。インディペンデントの良さは、好き放題、思う存分作ることが出来る点です。歪(いびつ)だけど可愛らしいユニークなモノを作れば、海外の人も喜んでくれる可能性が高いと思っています」
松田さんは海外を意識したことは?
■松田「海外を意識して自分の演技を変えることはないですね。ただ、国によって笑いのツボが違うように、世界にはいろんな人がいるので、それは面白いと思います。勿論、いろんな国の方々に見てもらえたら嬉しいです」
塚本監督は映像でコンセプトを見せる試みを常にされていますが、今回は?
■塚本監督「絵でコンセプトを明瞭に語るというのは、自分の一つの楽しみですね。悪夢探偵は夢と現実を行き来するので、夢と現実がはっきり判るようにした方が親切なのだろうと思いつつも、自分としては曖昧にしたい気持ちがありました。だから現実世界も色を脱色したような世界にしました。ただ、もう少し親切にしなくてはいけないかなと思いまして、夢の度合いが深まるほど、白黒の度合いを深くしました。過去の古い記憶は完全に白黒です」
読解力が足りないのか、やや難解に感じたのですが……
■塚本監督「テーマや筋の繋がりにあまり囚われていない部分があるので、難解は難解だと思います。自分自身でも映画ってこれで良いのか?って、疑問に思うこともあるのですが、そこに響いてくれて、この作品を良いって言ってくれる人がたくさんいます。破綻しているかもしれませんが、今の自分の気持ちに対して、正直になるとそっちの方向に行ってしまいます」
松田さんは出来上がった作品をご覧になっていかがでしたか?
■松田「客観的に見られなかったのですが、恐怖が連鎖していく感じが好きでした。京一の家にいようが、他の人の部屋にいようが、何処にいても恐怖を感じました」
最後にこれからご覧になる方にメッセージをお願い致します
■塚本監督「かなり怖い作品になっているので、好きな人同士で見に来ていただければ、飛び付いて思う存分抱き合えます(笑)。そして、最後まで見て頂ければ、今度は優しい気持ちで相手を抱きしめることが出来るのではと期待しています。何よりも松田龍平さんが素晴らしい演技を披露してくれました。ラストの京一は、僕自身、涙なくしては見られません」
■松田「是非、見て下さい」
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『悪夢探偵2』
配給:ムービーアイ エンタテインメント
公開:2008年12月20日
劇場:シネセゾン渋谷ほか全国にて順次公開
公式HP:http://www.akumu-tantei.com/
取材・文:伊藤P
写真:あすか









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