『ブラインドネス』フェルナンド・メイレレス監督 インタビュー
“そもそも人間は盲目だ”フェルナンド・メイレレス監督
出席者:フェルナンド・メイレレス監督

謎の伝染病によって視界を奪われた人々。失明患者たちは強制隔離され収容所に軟禁される。見えない不安と恐怖から、やがて秩序が崩壊。混乱の中、人々は次第に人間の“本性”を露わにし始める。そして、その中に1人、“見える”人間が紛れ込んでいた・・・
ウィルス感染を題材にしているが、救世主や特効薬、そして、ゾンビも登場しない。極限状態におかれた人間の性(サガ)を描いた『ブラインドネス』。
一歩間違えれば良くある作品になりうる題材を一級の心理パニック・サスペンス映画に仕上げたのは、『シティ・オブ・ゴッド』で世界を震撼させたフェルナンド・メイレレス監督。見る者に衝撃を与える作品を作り続けるメイレレス監督にお話を伺いました。
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突然、目が見えなくなるという症状は、現代社会における未知の疫病の暗喩なのでしょうか?
■フェルナンド・メイレレス監督(以下、メイレレス監督)「確かに現代社会を表していると言えるかもしれませんが、そもそも人間は盲目なのだと思います。自分のこと、家族のことを理解していないし、他人については尚更です。自分自身や周りのことが見えていない人類の無知さを描いています」
本作では人間の良い面と悪い面の両方が描かれていますが、登場人物たちが人類代表ということでしょうか?
■メイレレス監督「『ブラインドネス』に登場する人々は、善悪というよりは、本能的に行動しています。人間は文明化を成し遂げ、自分たちは洗練された生き物であると思い込んでいますが、一皮剥けてしまえば動物的な素の面が露見して、食欲や性欲といった欲望に支配されてしまいます。例えば、マーク・ラファロが演じた医者は良い人として登場し、リーダーシップを執ろうとしますが、同時に妻を裏切ります」
メイレレス監督の作品は、暴力や権力によって生まれる強者と弱者の対比を描いていますね。
■メイレレス監督「なるほど・・・その様に考えたことはなかったのですが、確かに『シティ・オブ・ゴッド』、『ナイロビの蜂』もそうですね」
では、いつもどのような視点で映画制作に取り掛かっているのでしょうか?
■メイレレス監督「『シティ・オブ・ゴッド』は、社会的に排除された人々の物語、『ナイロビの蜂』は、世界が本当の意味で受け入れていない、つまり排除されたアフリカという国の物語です。『ブライドネス』も目が見えない人たちを排除します。私の作品はこのエクスクルージョン(疎外)が、いつもテーマになっています」
疎外ということは、やはり強者と弱者の支配関係が発生しますね
■メイレレス監督「そうですね。『ブラインドネス』では、誰も目が見えないという状況下、何をしても良いのだと捉えて、力を使って他者をコントロールしようとする人が登場します」
これから見るお客さんに鑑賞のポイントをお願い致します
■メイレレス監督「所謂ウィルスもの、誰かが地球を救うために特効薬を探すといった作品ではありません。キャラクターと一緒にあの状況下を体験して、自分だったらレイプに及ぶだろうか?食べ物を人から奪うだろうか?誰も見ていないからといって、自分の想像に及ばない行為に到るだろうか?という風に、自分だったらどうするか考えながら見て欲しいです」
<フェルナンド・メイレレス監督 プロフィール>
1955年ブラジル、サンパウロ出身。大学卒業後テレビ向けの番組を多く手掛けた後、自身のスタジオO2フィルメスを設立し、CMやプロモーション・ビデオの監督業に進出。97年に『O Menino Maluquinho』(『Wacky Wacky Boy』)で、映画監督デビュー(共同監督)。02年にリオ・デ・ジャネイロのギャング団の抗争を描いた『シティ・オブ・ゴッド』で世界的な注目を浴びる。本作のヒットを受け、「シティ・オブ・ゴッド」はテレビシリーズ化され、全てのエピソードの製作に携わり、数本では監督も務めている。続く『ナイロビの蜂』ではアフリカの悲惨な実像に目を向け、主人公の妻を演じたレイチェル・ワイズにアカデミー賞助演女優賞をもたらしている。
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『ブラインドネス』
公開日:2008年11月22日
劇場:丸の内ピカデリー2ほか全国にて
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
公式HP:http://blindness.gyao.jp/
(C) 2008 Rhombus Media/O2 Filmes/Bee Vine Pictures
取材・文:伊藤P









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