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2008年9月30日 (火)

『初恋の想い出』フォ・ジェンチィ監督 インタビュー

“現代からは想像できない抑圧された恋人同士の愛情表現に、若い観客は驚いたと思います”

出席者:フォ・ジェンチィ監督

『初恋の想い出』フォ・ジェンチィ監督 インタビュー

素朴な親子愛を描き、日本でもスマッシュヒットとなった『山の郵便配達』(99)で知られるフォ・ジェンチィ監督。その後も、香川照之を主演に迎えた『故郷の香り』(03)で東京国際映画祭グランプリと最優秀男優賞に輝くなど、中国国内のみならず国際的に高い評価を受けている監督だ。そんな彼が舞台を都会に移し、人気スターを主演に迎えて、“ある因縁”に翻弄される一組の若いカップルのほろ苦いラヴ・ストーリーを作り上げた。

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監督の作品では珍しく、ヴィッキー・チャオとルー・イーというスターを起用しましたが。

■フォ・ジェンチィ監督:「それにはふたつ理由があります。彼らはスターだけど、演技に長けた役者さんであること。それと、中国の市場を考えるとスターを起用して刺激を与えないといけなかったからです」


どういうきっかけで起用したのですか?

■フォ・ジェンチィ監督:「この映画の準備をしているときにちょうど映画業界のパーティーがあって、その会場でふたりがデュエットで歌っている雰囲気がとても良かったんです。そのときの一瞬の閃きで「この二人だ」と。彼らも出演を快諾してくれました」


若い二人の俳優が80年代の恋人同士の雰囲気を出すために、苦労しましたか?

■フォ・ジェンチィ監督:「役者自身がその時代をリアルに体験していなくても、服装や髪形をこちらが準備して、演じる側がその時代の人間の心理さえ表現できれば、時代の雰囲気は出てくるものなんです。80年代は私が青春時代を過ごした頃なので、私の経験を踏まえて再現することはそんなに難しくなかったですね」


では、今振り返って80年代はどんな時代だったと言えますか?

■フォ・ジェンチィ監督:「中国は過渡期でした。抑圧された時代が終わり、これから経済的にも発展していくぞという新しい時代への希求もあり、混沌とした時代だったと言えます。過去のものも引きずっているけど、新しいものを取り入れようとするエネルギーにあふれていました」


本作の元ネタは新聞に掲載されたノンフィクションだそうですね。

■フォ・ジェンチィ監督:「「北京新聞」の恋愛や結婚の話を紹介するコラムに掲載されたものです。執筆者は有名なコラムニストで、その記事は(モデルになった)本人たちに取材して書いたということです。彼らも、(映画の中に出てくる)「ロミオとジュリエット」の話があったからこそ自分たちを勇気づけられたそうです」


映画を見た中国の若者はどのように捉えたのでしょうか?

■フォ・ジェンチィ監督:「親の都合で結婚できないという状況は、今の中国の若い人たちには考えられないもので、ほんの20数年前はこんなだったのかと驚いたと思います。最後は、ハッピーエンドとも切ないラストともとれる終わり方なのですが、中国の人たちは結構単純に受け取った人が多かったようです」


これまではキャリアの浅い俳優を起用することが多かったですが、キャリア豊富な役者と仕事する場合との違いはどんなところにあるのでしょうか?

■フォ・ジェンチィ監督:「新人だと経験が浅いゆえに白紙状態ですから、やりやすいところはあるんです。逆にキャリアのある役者だと自分のやり方を確立している人もいて、一旦それをこなごなに砕いてから新たなものを引き出さないといけないので、その大変さはありますね」


監督の映画で、一度主役を演じた俳優を再度起用することはしないのですね。

■フォ・ジェンチィ監督:「常に初めての役者と仕事するほうが新鮮です(笑)。最初に主役として使うときに、最大限その人の魅力を引き出そうとしますから、二度目はないんですよ。一度目でいいところを全部引き出してしまいますから(笑)」

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プロフィール
フォ・ジェンチィ監督
フォ・ジェンチィ監督
1958年、北京生まれ。北京電影学院美術学部を卒業後、北京映画制作所にて数々の作品の美術を担当する。95年に『贏家』で監督デビュー。3作目の『山の郵便配達』は、中国金鶏賞にて作品賞と主演男優賞を受賞、日本でもロングラン大ヒットを記録した。香川照之が主演した最新作『故郷の香り』は、東京国際映画祭グランプリと優秀主演男優賞を受賞している。ほかに『藍色愛情』(00)『ションヤンの酒家』(02)など。


『初恋の想い出』
配給:ブロードメディア・スタジオ
公開:2008年10月4日
劇場:渋谷シアターTSUTAYAほか全国にて順次公開
公式HP:http://www.hatsukoimovie.jp/

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