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2008年9月29日 (月)

人の生死をテーマに描く話題作『イキガミ』で、出演者たちが熱いメッセージ

日時:9月27日(土)
場所:TOHOシネマズ六本木
出席者:松田翔太、成海璃子、塚本高史、金井勇太、佐野和真、瀧本智行監督

人の生死をテーマに描く話題作『イキガミ』で、出演者たちが熱いメッセージ

「週刊ヤングサンデー」誌に連載され大反響を巻き起こしたコミックを、日本映画界を担う若き俳優たちの出演で映画化した『イキガミ』が公開初日を迎え、主演の松田翔太ら出演者と、瀧本智行監督が舞台挨拶を行った。国民の「生命の価値」を高めるために設けられた国家繁栄維持法により、1000分の1の確立で奪われる若者の命。人の生命という重大なテーマに取り組んだ本作は、出演者一同、そして瀧本監督にとって大きな体験となったようだ。

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人の生死をテーマに描く話題作『イキガミ』で、出演者たちが熱いメッセージ

■瀧本監督:「初日を迎えることができて、ホッとしていると同時に少々さびしくもあるような、複雑な心境です。この映画で僕がテーマにしたのは、役者の芝居をリアルに、生々しく撮るということでした。ここにいる5人の役者と、今日ここにはいない役者たちも、本当に見事に僕の思いに応えてくれました。「国家繁栄維持法」なんていう法律がこの国に出来るとは思いませんが、最近の無責任な政治家たちを見ていると若干の不安も禁じえません。新しい総理大臣は漫画がお好きだと公言されていますので、ぜひこの映画を見ていただいて、この国の舵取りを間違えないように節に願っております…まあ、いつお辞めになるかわかりませんけど…(笑)」


主演の松田さんは、選ばれた若者たちに死亡予告証「イキガミ」を届ける配達人・藤本を演じている。いわば、死の宣告人の役割を果たした実感は、フィクションといえど重く心にのしかかったそう。


■松田:「国家に対する不安とか、自分の思いがいつも不安定だったり、イキガミを渡される当事者のことを考えると胸が苦しくなる、という表現がすごく難しくて、プライベートでも藤本みたいな気分になってしまって、精神的につらい撮影になってしまいました。みなさん、きっと映画を見終わって、なんかこう、スッキリしないというか…泣いたりいい思いもしたんだけど、何か、最後に残る感じがしていると思います。その気持ちを家に持って帰って、友達や家族とディスカッションしてもらって、自分は何で生きてるんだろう、明日どうやって生きるんだろう、っていうことを少しでも考えていただけたら、僕たち映画を作った者として、嬉しい思いです」


大切な友人や家族にイキガミが届く、という役柄を演じたのは、塚本さんと鳴海さん。自分自身に死の宣告が届くのとは、違う意味で感じるところがあったよう。


■塚本:「僕は、撮影日数がすごく短くてあっという間に終わってしまったんですが、こんなに素晴らしい映画に仕上げていただいて嬉しく思います。僕も何度も泣きそうになってこらえて、これは泣き疲れるな、という印象があります。この映画を見てもらって、自分の本当の大切な人はあの人なんだ、と胸に思い描いて認識していただいて、もうちょっと大切にしてみようとか、明日からまた頑張って生きてみようと思ってくださったら嬉しいです」

■成海:「とにかくリアルに演じたいと思っていましたが、自分の感情に嘘なく演じることができたと思います。この作品を見て皆さんが何か感じて、今生きていることを自分なりに考えて下さったらいいなと思います。現場では、松田さんとお芝居のからみはほとんどありませんでしたが、色々な話をしてくれて、面白い話もしてくれて優しかったです。(イキガミが届く兄役の山田孝之さんは、最初に会って3日間くらいは何にも喋れなくて…地方のロケのときは色々話しましたが、命を削っている感じがして、いいなと思いました」


シリアスなテーマでリアルな演技を要求され、現場には重苦しい雰囲気も漂っていたと想像できるが、そんな空気も、松田さんのちょっとした気遣いで和んだよう。成海さんとはどんな言葉を交わしたのか?とたずねられると、


人の生死をテーマに描く話題作『イキガミ』で、出演者たちが熱いメッセージ■松田:「(成海さんに)取って置きのギャグを…(笑)でも、ここではちょっと…(披露できません)」


と、会場を笑わせる一幕も。さて、続いては自分自身にイキガミが届いてしまう運命に直面した2人の若者たち。スカウトされてデビューしたばかりのミュージシャンを演じた金井さんと、引きこもりの少年を演じた佐藤さんだが、ふたりとも、本作に対する思い入れは深い。


■金井:「最初に台本をもらったとき、本当にスラスラと読ませていただきました。ひとつだけ、これだけはやりにくいなというシーンがありまして…僕と塚本君が駅前でストリートミュージシャンとして歌っているときに、スカウトされるのがなぜ僕なんだ?!ということで…どう考えても塚本君だろうと思って、あそこだけが感情が入らなくって…この場を借りて監督に告白します(笑)。この話は、日常に深く関わった生と死を描いていて、色々な人に見てもらいたいと思います。歌の練習は、1ヵ月くらいやりましたが、歌唱指導の先生に、毎日腹筋を300回やるように言われ、最初の1日は300回やり遂げたんですが、2日目からは筋肉痛になっちゃって、15回くらいでした。1ヵ月全体で500回くらいやったと思います」

■佐野:「僕は、この作品を初めて見たときにすごく泣きました。自分の出演部分は泣けなかったんですけど…色々な人に見てもらいたいと思いました。友達や家族に、この映画が良かったと伝えてもらえたら幸せだな、と思います。役作りとしては、本当に家に引きこもって、夜も眠れなくなり、撮影自体、ちょっと辛かったのが印象にあります」


ここで、舞台挨拶にこられなかったふたりの出演者、山田孝之さんと風吹ジュンさんからのメッセージが読み上げられた。山田さんは、イキガミを受け取り、盲目の妹に角膜を差し出そうとする兄を演じている。また風吹さんは、佐藤さん演じる引きこもり少年を、自身の選挙に利用しようとする母親役だ。


■山田(メッセージ):「僕が『イキガミ』を見た人に一番伝えたいのは、当たり前とされていることが本当に正しいのかを自分なりに考える、ということです。『イキガミ』の世界には国家繁栄維持法がありますが、僕たちが生きるこの世界にもたくさんの法律があり、それを作ったのは一部の人間です。僕たちはその決められた枠の中で生きています。この「当たり前」が僕にはとても怖いです。色々なところにある当たり前について考えるきっかけになれば、嬉しく思います。それから、翔太君と塚本君と金井君がカッコイイのと、璃子ちゃんがカワイイのと、佐野君がアブナイところが見所です(会場笑)」


山田さんをとても尊敬しているという佐野さん、このメッセージを聞いて、「アブナイ…?僕もカッコイイに入れてもらいたかったですね」と苦笑い。


■風吹(メッセージ):「私にとって珍しいキャラクターを演じることができ、とてもやりがいがありました。監督の印象はハニカミやさんで優しい感じでしたが、ある時、6歳の息子を叱るシーンで子役がなついてしまって、監督から耳元で一言、「泣かせてください」といわれたのを覚えています」


風吹さんとはお互いに、「どうしましょう、どうしたらいいでしょうね」と言い合ううちに役作りが出来ていった、という瀧本監督。その柔らかな人柄が伝わるようだが、自分の一番大切な人のイキガミが届いたら、最後の24時間で何をしたいか、という質問が出ると、


■瀧本監督:「僕の場合はカミさんということになるんだろうと思いますが、日ごろ温泉に連れてけってうるさいので、温泉でも行くかと思いますけど…その時になって、別の人と一緒にいたいといわれちゃう可能性もありますから…(笑)その時は…そうっすねぇ…と言ってフェイドアウトする感じでしょうか」


と、なんとも切ないお答え!俳優たちも揃って、「本人の希望に合わせるしかない」と、この質問への答えは、誰にとってもちょっぴり切なくなってしまうよう。最後に松田さんから、この映画を見た人、またこれから見る多くの観客に、深いメッセージが。


人の生死をテーマに描く話題作『イキガミ』で、出演者たちが熱いメッセージ■松田:「藤本を演じながら考えたことがあります。藤本は、世間が決めたことや市場価値に真面目に取り組めば取り組むほど、本当にこれがいいことなのか自分でわかっていないのに、世間的にこれがいいとされているからそちらの方へ向かってしまい、自分の個性を失ったと思うんです。普段僕らも、そういうことって身近にあると思います。自分が考えたモラルや価値観を主張すればするほど飛びぬけてしまって、世間と離れてしまうわけです。どっちが正しいかはわからないけど、でも、藤本のように課長にまず提示してみようということはすごく大事で、それは藤本なりの「生きる」ということだったと思います。提示の仕方は色々あるけど、僕はこうやって映画を撮り続けることで伝えていけたらいいと思うし、ドラマで皆さんが楽しめることをして個性を発揮できたらいいと思います。きょうはみなさんに『イキガミ』を見てもらったので、ぜひひとりひとりが提示していくことを忘れないでほしいし、自分なりの生き方を決して恥じないでほしいです。社会が決める個人じゃなく、自分たちが提示していけば社会が変わっていくという、そのきっかけになればいいなと思っています」
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『イキガミ』
配給:東宝
公開:2008年9月27
劇場:TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて
公式HP:http://www.ikigami-movie.jp/

『イキガミ』予告編

©2008間瀬元朗/映画「イキガミ」製作委員会


あらすじ
国民の生命の価値を高めるため、1000人に1人の確立で選ばれた18歳から24歳の若者が命を奪われる、「国家繁栄維持法」。藤本は、死亡予告証「イキガミ」を選ばれた若者に配達する「名誉ある仕事」に就く国家公務員だが、自ら届けたイキガミを通じ、心の中にある葛藤が生まれていく。

人物紹介

松田翔太
1985年9月10日生まれ。2005年にドラマデビューし、「花より男子」「薔薇のない花屋」などで強い印象を残す。2007年、映画『長い散歩』で日本映画批評家対象新人賞を受賞。2008年にも『ワルボロ』で第62回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞するなど、その演技が注目を浴びている。

塚本高史
1982年10月27日生まれ。1997年にドラマ「職員室」でデビューし、2000年、映画
『バトル・ロワイアル』で注目される。以降、「木更津キャッツアイ」などの人気ドラマや『陰日向に咲く』『イエスタデイズ』などの映画作品に出演している。

成海璃子
1992年8月18日生まれ。2000年、ドラマ「TRICK」でデビューし、2005年「瑠璃の島」では主演を務め話題となる。映画初主演は2007年の『神童』で、主演第2作の『あしたの私のつくり方』とともに第31回山路ふみ子映画賞新人女優賞と第62回毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞を受賞した。

金井勇太
1985年4月24日生まれ。映画『ズッコケ三人組~怪盗X物語~』でデビューし、2000年の山田洋次監督作『十五才 学校IV』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞した。以後、『北の零年~YEAR ONE IN THE NORTH~』、『L change the World』などへ出演。

佐野和真
1989年4月28日生まれ。ドラマ「砂時計」「肩ごしの恋人」「フルスイング」などへ出演。映画では、2006年に『博士の愛した数式』、2007年に『赤い文化住宅の初子』に出演し、2008年には『東京少女』、『NEW TYPE ただ、愛のために』が公開。

瀧本智行監督
1966年10月23日京都生まれ。フリーの助監督として、降旗康男監督の『鉄道員』や高橋伴明監督の『光の雨』などに携わる。2004年『樹の海』で監督デビュー。2007年には監督第2作『犯人に告ぐ』が公開され、本作が監督第3作となる。

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