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2008年8月27日 (水)

『20世紀少年』堤幸彦監督 インタビュー

“映像化不可能を映像化した男”

出席者:堤幸彦監督

『20世紀少年』堤幸彦監督 インタビュー

浦沢直樹原作の国民的コミックが遂に映画化。壮大なスケールのため3部作となる映画『20世紀少年』。既に伝説と化し、映像化不可能と言われていた「20世紀少年」の実写化を実現させたのは堤幸彦監督。60億円という巨額な製作費、あまりにも豪華なキャスト、そして、世界中に存在する原作のファン。絶対に失敗は許されない巨大プロジェクトに挑んだ堤幸彦監督にお話をお聞きしました。

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原作の魅力は?

■堤幸彦監督(以下、堤監督):「壮大なロングストーリーの中で、個人的な小さなことから世界が大きく変わっていく過程が、いろいろな人物の言葉で多角的に語られています。壮絶な物語です。一言では括れない、時代を背負った作品だと思います」


原作者の浦沢直樹さんの印象は?

■堤監督:「年は私よりも少し下ですが、ほぼ見聞きしてきたことは一緒だなと感じました」


映画化にあたり、浦沢さんとはどのようなやり取りがあったのでしょうか?

■堤監督:「“お任せします”と言われたのですが、脚本を担当して頂いたので、一緒に作っている感覚がありました。原作者自身が壮大な物語の中からエピソードを拾って作り上げた脚本なので、それに対して誠実であろうと思いました」


映画化にあたって注意された点は?

■堤監督:「原作ファンを裏切らないために、原作原理主義でいこうと思いました。完コピしたいと。絵コンテに原作のコマを貼り付けて、みんなで確認しながら、アングル、人物の配置も含めて原作通りに撮るようにしました。勿論、はしょっているエピソードもあるので、全てが原作通りとはいきませんが、一番目に付くキービジュアルは原作と同じ様にしようと思いながら作っていました」


1999年から原作の連載が始まりましたが、なんだかその後の世の中を予測しているような内容ですね

■堤監督:「そうですね。非現実的ではない未来の描き方をしていると思います。ネガティブで暗い未来を予想していますが、決してない話ではないです。元々、人間にはマイナスな集団性があると思います。海外では実際にそれが原因となって事件が起きています。日本だけが例外なわけはありません。近未来モノとしても良くできた物語だと思います」


未来だけでなく、昭和も描かれていますが、堤監督にとって昭和とは?

■堤監督:「体の95%ぐらい昭和で出来ていますからね(笑)良い時代でしたけど、そこから抜け出したいと思うような苦しい時代でもありました。映像で描かれるとノスタルジックで、手作りで、みんなひとつのことに熱狂していて、温かい良い時代だったように見受けられますけど、厳しい競争があって、切り捨てられていく人たちがいたのも事実です。明るく楽しいだけでなく、辛い、苦しい、汚い、臭い面もたくさんありました。そういういろんなものがない交ぜになった時代です」


T.REXの「20th Century boy」がタイトルの元になっているように、ロックがかなり重要な要素となっていますね

■堤監督:「この作品はあまりにも壮大で、自分に出来るのかな?と正直思ったのですが、2つ入り込めるポイントがあると思いました。1つは昭和。自分が見聞きしたことが描かれている。自分にはそれが判る。もう1つはロック。ロックはビジネスではなく、個人の強い思いの表現であり、心の状態なんだということを、浦沢先生は主人公のケンヂを通してしっかりと描いています。このロック・スピリットにはとても共鳴します。ロックが聴こえてくる漫画です。ロックを表面的に捉えているのではなく、内面的な思いの爆発として描いているので、この作品を是非やりたい、ここから逃げちゃいけないと思いました」


堤監督ご自身、ロックに対する熱い思いがあるようですね

■堤監督:「子供の頃からロックを聴いていました。ロック・ミュージシャンになれるとは思っていませんでしたが、近くにいたかった。ロックがかっこいいと感じた気持ちを忘れるような大人にはなりたくなったんです。それもあって良質なロック映画にしたいと思いました」


超豪華な出演者たちですが、主役クラスの役者さんたちを束ねるのは快感ですか?それともプレッシャーですか?

■堤監督:「みなさん主役級で、しかも世代が近い。そうなるとサークル活動のような、和気藹々とした楽しい現場に勝手になるんです。監督というよりは部長のようでした。プレッシャーは勿論ありましたけど、みんな楽しんでやっていましたし、自分も楽しかったです」


みなさん原作のキャラクターとそっくりでしたが、それぞれ役者さんとしての個性も引き出さなければなりません。その辺の匙加減はどうされたのでしょうか?

■堤監督:「みんなさんプロ中のプロですから、それぞれの個性は自然に滲み出てきます。だからどんなに原作原理主義と言っても、必ずオリジナルの『20世紀少年』になると思っていたので、そこに不安はありませんでした。メイク、衣装、セリフ回し、歩き方とかは、漫画のキャラクターに近づけるために、原作を研究してイメージを膨らませました」


今後の展開はどうなるのでしょうか?

■堤監督:「2章、3章ですか?それは楽しみですねぇ。私も楽しみです。ハハハハッ。8月15日から撮影再開です。2章の残りの20%と3章の全てです。これが凄いことになっていまして、ちょっと自分でも想像がつかないですね。とんでもないものを相手にしているという実感がヒシヒシと沸いてきています。第1章は完成しましたが、達成感はそれ程なく、これからもっと凄いことが待っているんだという緊張感で一杯ですね」


やはり大いなるチャレンジですか?

■堤監督:「一生に一度あるかないかの壮絶な作品だと思います。討ち死にしてしまうかもしれません(笑)」


今までの経験はかなり活かされていますか?

■堤監督:「そうですね。今までの仕事の仕方から大きく逸脱は出来ないですからね。ただ、自分なりのくだらない小ネタとかも撮ったんですけど、編集してみたら邪魔だったので、全部切ってしまったとかはありますね」


かなり多くの作品を撮られていますが、一体、いつ休んでいるのでしょうか?

■堤監督:「結構、休んでいますよ。カットとカットの合間とか(笑)」


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『20世紀少年』
配給:東宝
劇場:日劇2ほか全国東宝系にて
公開日:2008年8月30日(土)
公式HP:http://www.20thboys.com/

©1999浦沢直樹 スタジオナッツ/小学館 ©2008映画「20世紀少年」製作委員会

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コメント

エキストラにも参加したので、明日から公開の映画『20世紀少年 第一章』とっても楽しみにしています。堤監督はテレビドラマ『トリック』の頃からファンなので、今後も良い作品をたくさん撮って欲しい監督です。次回作は『時代劇』とか観たいですね。

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