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2008年7月22日 (火)

『雲南の花嫁』チアン・チアルイ監督 インタビュー

“中国人と中国の少数民族に対する理解を、より深くして頂ければと思います”

出席者:チアン・チアルイ監督

『雲南の花嫁』チアン・チアルイ監督 インタビュー

中国雲南省に暮らすイ族には、今なお、夫婦は結婚後3年間同居をしてはいけない“帰家”というしきたりが残っている。『雲南の花嫁』は、そのイ族のしきたりから抜け出そうとするヒロイン・フォンメイと、奔放なフォンメイに翻弄される夫・アーロンの姿を、雲南の美しい景色を舞台にみずみずしく描いている。
本作を含め、『雲南の少女 ルオマの初恋』(’02)、『芳香之旅』(’05・未)と「雲南三部作」を手掛け、雲南を知り尽くした男、チアン・チアルイ監督にお話をお聞きしました。

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チアン・チアルイ監督は、この“帰家”という風習に対して、どのような考えをお持ちでしょうか?

■チアン・チアルイ監督(以下、チアン監督):「本作のヒロイン・フォンメイは、厳格なイ族の風習に果敢に挑んでいきます。私はこの物語を通して、現代のイ族の若者たちが直面している古い習慣に対して、抗議の意を示しています」


雲南地方でも公開されたのでしょうか?

■チアン:「2005年に雲南省で公開されて、熱烈な歓迎を受けました。昆明、紅河といった撮影が行われたロケ地でも上映されまして、毎回、満席でした。また、劇中歌も流行しました」


昔からのしきたりを破るという作品の内容に対して、イ族の反応は?

■チアン:「特に反論はありませんでした。実はイ族も近代化が進んでいて、“帰家”という風習が段々となくなってきているのです。特に高速道路など都会に出やすい地域に住むイ族には、様々な文化が入ってきているので、古い固有の文化はなくなってきています」


イ族の若い女性はどのような暮らしをしているのでしょうか?

■チアン:「イ族の未婚の女性はとても自由です。しかも、娘を持つ親は、娘になるべくたくさんの男性と恋愛するように勧めるんです。恋愛相手が多ければ多いほど、立派な娘として認められ、その逆だと情けない娘となります。しかし、一旦結婚すると、“帰家”のような厳格な規則が待ち構えているのです」


脚本作りの工程は?

■チアン:「龍舞隊の女性や俳優の人たちと話し合って、脚本を練っていきました。彼らの経験談を聞いて、面白いエピソードがあれば、そのまま脚本に取り入れていきました。最終的な脚本には、ひとりひとりの面白いアイディアが盛り込まれています。つまり皆で作った脚本です」


撮影中のエピソードは?

■チアン:「不思議なエピソードがあります。本作に出てくる古典芸能“龍舞”は、元々雨乞いの儀式なのですが、“龍舞”のシーンを撮影し始めるとすぐに雨が降り出しました。一旦、撮影を止めて、雨が上がってから撮影を再開すると、また雨が降り始めました。まさに雨乞いでした」


ヒロイン・フォンメイのキャラクターはどうのように造形されたのでしょうか?

■チアン:『雲南の少女 ルオマの初恋』の撮影中、美術担当の男性スタッフがあやまってイ族の住む森に迷い込んで今いました。そして、彼は若くてかっこよかったので、イ族の女性たちに見初められて、捕まってしまったのです。中でも1人の女性がどうしても、彼と結婚したいと言い出して大変でした。なんとか彼を連れ出したのですが、それぐらいイ族の女性は、大胆で、自分の気持ちをストレートに伝えるのです。フォンメイのキャラクターはまずこのエピソードからきています。あと、イ族の龍部隊の女性たちはみんな身体が丈夫でがっしりしています。歌も踊りも上手い。イ族の女性の様々な要素がフォンメイを造形しています」


チャン・チンチューの魅力は?

■チアン:「努力家ですね。いつも現場に一時間ぐらい早く来て、“龍頭”を担ぐ練習をしていました。あの龍頭は30キロもあるんですよ。男性が持ち上げるのも大変なのに、彼女は細い身体で持ち上げ、龍を躍らせていました。彼女の手はマメが潰れて、血まみれでした。あと、撮影中に龍舞隊の女性キャストたちが、トラックの荷台から振り落とされるというトラブルがありました。チャン・チンチューは膝に怪我をしてしまったのですが、それにも関わらず最後まで撮影をこなしました」


夫役にイン・シャオティエンを起用した理由は?

■チアン:「シャオティエンは、私が思い描いていたアーロンのイメージに近かったからです。彼にはどこか少年のような佇まいがあります。アーロンは両親の言うことを良く聞く保守的な人間です。それはつまり、大人になりきれていないということなんです。あと、彼はテレビドラマで人気者だったので、興行的な面からみても良いと思いました」


チアン監督は四川省の出身ですが、今回の大地震について一言お願い致します。

■チアン:「未曾有の大災害です。私は20代の時に四川を離れましたが、四川は“天府の国”と呼ばれる豊かな土地でした。静かで戦争の影響もあまり受けていません。そんな穏やかなところが、あのような事態になるなんて信じられません。テレビで地震の報道を見る度に、つらくて涙が出てきます」


これからも少数民族を題材にした作品を撮るのでしょうか?

■チアン:「次回作は、ロケが終わったばかりの『紅河』という作品です。河口という町のヤオ族の青年とベトナム人少女のラブストーリーです。これからも少数民族を題材にした映画を撮っていきたいですね」


メッセージをお願い致します

■チアン:「日本での公開、本当に光栄です。この作品を通して、中国人と中国の少数民族に対する理解を、より深くして頂ければと思います。日本と中国との友情関係が、永遠に続くことを心から願っています」

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プロフィール
チアン・チアルイ監督
チアン・チアルイ監督
1958年中国四川省生まれ。大学で映画を学び卒業後、テレビドラマの演出家となる。2002年、『雲南の少女 ルオマの初恋』で映画監督デビュー。世界の映画祭で高い評価を得る。再び雲南を題材にした本作『雲南の花嫁』(’05)が第2作目となる。続いて撮った『芳香之旅』(’05)と併せて「雲南三部作」と呼ばれている。次回作は『紅河』。


『雲南の花嫁』
配給会社: ショウゲート
公開日: 2008年7月26日 (土)
劇場情報: K’s cinemaほか全国にて
公式HP:http://www.yunnan-bride.jp/

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