パイレーツ・ロック

60年代のブリティッシュロックといえば、1979年生まれの私でさえも一度は耳にした事のある有名なビートの数々。ザ・キンクス、ローリング・ストーンズ、ザ・フー、そしてビートルズなど、ひと回り上の洋楽好きな方ならまさにど真ん中で、本作は青春時代を懐古する見逃せない作品になるでしょう。劇中で使用された名曲は合計54曲。中にはストーリーとリンクさせたり、キャラクターの心情を名曲で表現したりするものもあり、この年代のブリティッシュミュージックにさほどの思い入れが無い私でさえ思わずぐっときたほど。

2009年10月24日よりTOHOシネマズ六本木ヒルズ、みゆき座ほか全国にて公開
2009,イギリス、ドイツ,東宝東和
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まずこの作品の時代背景、1960年代のイギリスの社会情勢を振り返ってみると、この時代は戦前の困窮した状態から抜け出して、ある程度豊かで開放された社会で育ってきた若者たちが、自由思想を堂々と謳うようになったことが顕著な時代です。本作にも女性が“ピルを使用している”という場面が登場しますが、性に対しても開放的で、ファッションもミニスカートがトレンドでした。そういう若者たちの生態が体現されたのが、まさにロックンロール!! 溢れんばかりのエネルギーが自然と全身をシェイクさせ、そのビートが国中を震撼させたのでしょう。

注目すべきは音楽のみならず、意外にも人情味あふれるドラマティックなストーリーライン。ブリティッシュアイロニーとでも言うんでしょうか、皮肉好きでストレートな笑いを好まないのがイギリス人。そんなブリティッシュ流のユーモアを随所に織り交ぜながらも、泣かせどころをきちんと用意しているところがさすがは「ラブ・アクチュアリー」で監督としても才能を発揮したリチャード・カーティス。一人の主人公にスポットライトを当てて描くことはせず、群像劇のように展開しながらも、それぞれが血の通った生身の人間として生き生きと描かれ、彼らの心情を上手く引き出しています。その技はやはり本作でも健在でした。
そしてイギリス映画というと私がきまって注目してしまうのが天候。曇天の空の下、カラフルで奇抜な衣装を身にまとったキャラクターたちは、まさに自由の象徴。イギリス政府の堅苦しいお役人たちが晴れない重たい空だとするならば、海に浮かぶ真っ赤な「RADIO ROCK」の船は音楽を愛する若者たちの情熱そのものであり、新しい時代を切り開くパイオニアとして実にフレッシュな感覚を抱かせます。さすがイギリス映画。とにもかくにも、納得の作品です。






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