それでも恋するバルセロナ

ロマンチックで情熱的な街バルセロナを舞台に、1人の男と3人の女性を中心に描かれたひと夏の恋の物語です。この危険で破壊的で、でも実にロマンチックで不完全な愛のストーリーを覗いてみませんか?

『それでも恋するバルセロナ』
2009年6月27日 より 丸の内ピカデリーほか全国にて
配給:アスミック・エース エンタテインメント
製作国:アメリカ(2008)

ヴィッキー(レベッカ・ホール)は恋愛に対して安定を求める堅実派で、目下婚約中の大学院生。クリスティーナ(スカーレット・ヨハンソン)は感情の赴くままに突き進むロマンティストで情熱的、自分探しをする日々。マリア・マレーナ(ペネロペ・クルス)は天才肌の芸術家ゆえにあまりにも情熱的かつ激情型で、破壊的、破滅的な女性。全くタイプの違う3人の女性が一人の画家フアン・アントニオという男性をめぐって繰り広げる愛の表現は4者4様。それぞれに良さがあり、またそれぞれに欠落した何かを感じるはず。どの愛も美しく、またどの愛も不完全なものです。
この映画には、『成就されない愛のみが真にロマンチックな愛』という言葉が出てきますが、それはバルセロナという街そのものなのかもしれません。いまだ未完成でありながら、世界中から愛され、多くの人々を魅了する美しい建築物、サグラダファミリアのそびえ立つバルセロナ。完全でないことが、むしろパーフェクトな愛の形である、そんな不思議な矛盾の漂う映画でした。
この作品をひと言で表現するなら、まるで『パレットのような映画』。まさにそのテーマを示唆しているかのような映像を、早くもオープニングのファーストショットで見ることが出来ます。バルセロナ・プラット国際空港の表正面に描かれているジョアン・ミロの壁画です。赤、黄色、緑、黒の4色で塗られた幾何学模様のショットから、黒と黄色のツートンカラーのタクシーに乗り込むシーンにも監督の意図を感じます。これは登場人物を、のちに色で表現しているように受け取れるのです。
フアン・アントニオが劇中に初めて登場するシーンで、彼は真っ赤なシャツを着ており、マリア・エレーナの初登場シーンは真っ黒な洋服を身に纏っていました。クリスティーナが生き生きとバルセロナの街を闊歩するシーンでは黄色いシャツを羽織っている印象深いカットも用意されており、とすれば、緑はヴィッキーであると考えられるでしょう。ヴィッキーが緑であることを断定するシーンは特にないのですが・・・。
色で考えると面白いことに気付きます。マリアとフアンは互いに深い愛情をもちながらも、決してうまくいかない夫婦だったのは、マリアの黒が強すぎてしまうためかもしれません。黒は何を混ぜても黒でしかなく、全ての色を黒に変えてしまう恐ろしく影響力のある破壊的な色。でもパレットの上に黄色であるクリスティーナが飛び込んできたことで、赤と黒の2人の関係は少なからず化学変化を起こし、混ぜ合うことはなく、それぞれの色を尊重することが出来たのかもしれません。赤、黒、黄色の3人が円滑な共同生活を送っていたのは、なんとなく納得できるものを感じました。
バルセロナも色に例えるなら、情熱的で激しい太陽のような、触れると火傷してしまう、燃えるような赤!!そしてこの街に点在する数々のガウディの建築が見られるのもこの作品の見所です。今年の夏お薦めの一本です♪






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