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2008年10月14日 (火)

ブロークン

晴乃の総合評価:4.0(5点満点)

『ブロークン』

監督・脚本:ショーン・エリス
出演:レナ・ヘディ/メルヴィル・プポー/リチャード・ジェンキンス/ミシェル・ダンカン/アシエル・ニューマ

イギリス新進気鋭の若手監督ショーン・エリスの長編映画第2弾!! 「鏡」という神秘で謎めいたアイテムを要に描きだす、シンメトリーサスペンス。緊迫感と興奮はとにかく絶品です。劇中に登場する数々の斬新なキーワードにも大注目!!

ブロークン

(c)2008 LEFT TURN FILMS/THE BROKEN FILMS ALL RIGHTS RESERVED.


『ブロークン』
配給:リベロ
公開:2008年11月15日
劇場:テアトルタイムズスクエアほか全国にて
公式HP:http://www.broken-movie.jp/

【エンターテインメント View】)


この作品は素晴らしい!! 映像や全体を終始漂う気味の悪さ、鑑賞した直後は決して鏡を覗き込みたくなくなるほど、心理的な恐怖を与える完成度の高さ、極上のサスペンスにあっぱれなのです。

ストーリーはロンドンに暮らすX線技師のジーナが、恋人や弟カップルとともに、父親の誕生日を祝うことから始まります。そのさなか、部屋の鏡が突然激しく割れ落ちます。日本にも鏡にまつまる迷信がいくつかありますが、イギリスでは、「鏡が割れると7年間不幸が続く」という迷信があり、彼らはその迷信以上の悲劇を迎えることになるのです……。


そして、劇中のキーワードの一つ目が、早くも冒頭に。エドガー・アラン・ポーの短編「ウィリアム・ウィルソン」の結びを引用して、恐怖を駆り立てます。

お前は勝ったのだ
私は降参する
だかこれより先は
お前も死んだ
この世に対し天国に対し
希望に対し死んだのだ
私の中にお前は生きていた
私の死でお前がいかに
自分を殺したかを見ろ
お前自身のものである
この姿で見るがいい

エドガー・アラン・ポー「ウィリアム・ウィルソン」より


何のことやら訳が分からぬままグレーを基調にしたシーンと肌寒さを感じる雰囲気に飲まれていきます。

ところが、時折映画の中に赤い色が表れるのです。モノトーンの中に突如表れる赤、実はこれもストーリーの謎を説くキーワードなんです。この赤い色、ニコラス・ローグの「赤い影」からヒントを得たそうで、何か悪いことが起こる前に必ず表れる不吉なことの象徴だというのです。

主人公ジーナの愛車も赤いチェロキー。ジーナ自身とそっくりな人間が自分の愛車に乗っているところを目撃するシーンは、まさに恐ろしい出来事の幕開けでした。


そして、私が圧巻だったのが、ロンドン市内の俯瞰ショット。全部で5回出てくるこの映像は、次なる話の展開を意味します。5つの章に分けられているかのように、俯瞰ショットの後には、不可解なことや衝撃的な事象が起きるので要チェック!

1回目と2回目のショットは良く見ると、テムズ川の位置と、ロンドン金融街にそびえ立つ全面マジックミラーに覆われた「The Gherkin」の位置が真逆であることに気付きます。このシーンから、鏡の向こう側なのか、それともリアルなのか混乱するかも。


鏡は、自分をそっくり映し出すけれど、実際に鏡に映し出された自分は、無機質で血の通わない冷たいもの。その鏡の特徴や謎めいた存在を上手に料理し、ラストも納得の結末で、最後まで説得力のある緻密な構成になっていることで、作品を高尚なシンメトリーサスペンスに仕上げています。もう一度絶対見てみたい作品です。


【English Expression View】


One of every thousand
1000人に1人
心臓が右側にあるという珍しい症例が1000人に1人であるというシーンが冒頭で登場します。実はこれ、エンディングの布石。かなり重要なシーンだということをお忘れなく。


Yes, darling.
なんだい?

イギリス人は、赤の他人にも対してもよくdarlingを使います。これはアメリカではほとんどないでしょう。darlingは本来、「愛しい人、最愛の人、お気に入りの人」やその呼び掛けで使うことが多いことば。本作品では、店主が客に使ってます。

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