ジェシー・ジェームズの暗殺

『ジェシージェームズの暗殺』
嘘か誠か、「二枚目俳優はオスカーが取れない、取らさない」というハリウッドで囁かれる黒い噂。もしこの作品でジェシー・ジェームズを演じたブラッド・ピットが受賞できないとすれば、その「噂」も真実味を帯びてくるかも?!
とにかくスクリーンの中の彼の威圧感、緊張感、ピンと張り詰めたあの迫真の演技はタダゴトじゃないんです!
監督:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット/ケイシー・アフレック/サム・シェパード/サム・ロックウェル/メアリー=ルイーズ・パーカー/ジェレミー・レナー
『ジェシー・ジェームズの暗殺』
配給:ワーナー・ブラザース映画
公開:2008年1月12日
劇場:丸の内プラゼールほか全国にて
公式HP:http://wwws.warnerbros.co.jp/assassinationofjessejames/

本作でブラッド・ピットは、ベネチア国際映画祭最優秀男優賞を受賞しています。2008年2月の賞レースにも絡んでくるはず。
さて内容は、「アメリカで最も愛された無法者ジェシー・ジェームズと、そんな彼を背中から撃った卑怯者ロバート・フォードの物語」
ジェシー・ジェームズは、25件以上の強盗と17件もの殺人を犯した重罪人でありながら、強盗仲間の一人であるロバート・フォードに銃殺された悲劇的な死をもって、アメリカ史上伝説的な英雄になります。彼の死後、死を悼み彼の家を訪れる人間が後を絶たなかったことからも当時の人々にとって、彼の犯罪行為は異常なまでに美化され、誇張されたカリスマ的なイメージが出来上がっていたことが分かります。
一方、ジェシーとは対照的に英雄を殺した卑怯者としてバッシングされ、マスコミの餌食となったのがロバート・フォード。彼は小さい頃からジェシー・ジェームズの美化された新聞記事や小説を読んで育ち、彼を崇拝して育った一人であり、メディアの情報操作に踊らされて幻想のヒーローを追い続けた被害者と言えるのかもしれません。
ジェシーに憧れ、ジェシーを愛し、尊敬し、ついにはジェシーになりたいと思った男。自分が心から崇拝するジェシーを殺すことで、彼の全てを手に入れようとした男でした。
この思考回路と実に酷似しているのが、最近この「シネマグラス」でもご紹介した『チャプター27』。ジョン・レノンを殺害したチャップマンもまた、レノンの大ファンであり、レノンを殺すことで彼を永遠に自分のものにしようという心理が働いています。
また、小説を元に描かれた『太陽がいっぱい』やそのリメイクであるハリウッド版、『リプリー』もまた、主人公のリプリーがディッキーに憧れ、一方的な愛情を抱き、最終的にディッキーになるために彼を殺してしまうのです。
この3作品の殺人者に共通して言えることが一つ。彼らは、自分が愛して止まない対象から、拒絶、もしくは自分が思っているほど相手が自分を思っていないことを悟った時、「殺す」という行為に至っています。
本作『ジェシー・ジェームズの暗殺』の監督であるアンドリュー・ドミニクも次のように語っています。「自分と特別な結びつきを持っていると思っていた相手がそうではなかったと気づいたとき、崇拝は怒りに変わる」
この映画の要は、まさにこの人間の繊細かつ複雑な心理にこそ存在している気がします!! ブラッド・ピットの演技もさることながら、ロバート・フォードを演じたケイシー・アフレックの演技にも注目したいところ。
余談ですが、ケイシーは、ベン・アフレックの弟さん。お兄ちゃんの影に隠れていましたが、最近ベンの方が鳴かず飛ばずのようなので、ここで一発逆転といきたいところですね。

「裏切る」という意味の英語は沢山ありますが中でもネイティブならではの表現をご紹介します。
Robert stabbed Jesse in the back.
ロバートはジェシーを裏切った
「stab (人) in the back」
慣用句で、直訳すると、「背後から(人)をグサリと刺す」という意味。
映画の中で登場した注目のセリフはこちら↓
You are acting queer.
落ち着きがない
字幕では「落ち着きがない」と訳されていました。
何故このセリフに注目したのかというと、「queer」という言葉に反応したから。私が知っている意味の「queer」は、(形)「同性愛の」(名)「同性愛者」という意味。それ以外の意味で使っているのを耳にしたことがなかったので、とっても新鮮でした。
「queer」=妙な、奇妙な、風変わりな、疑わしい、怪しい
実は、「同性愛者」という意味で使うのは、スラングみたいですね。映画の影響で、スラングから習得している土屋でした(笑)






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