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2006年11月20日 (月)

マリー・アントワネット

晴乃の総合評価:4.5(5点満点)

『マリー・アントワネット』

かつて、こんなにも斬新な映像で、モダンな史劇があったでしょうか?! 史劇とは、“モダン”や“斬新”という言葉から最も対極にある、という固定観念を打ち崩す、“目からウロコ”のこの作品。女性監督ならではの感性で映し出された美味しそうなお菓子の数々、靴、ドレス、家具、髪型、小物にいたるまで、どれ1つとっても乙女心をくすぐる、ポップでキュートなヴィジュアルはまさに必見☆

監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト/ジェイソン・シュワルツ/ジュディ・デイヴィス


『マリー・アントワネット』
配給:東宝東和、東北新社
公開:2007年1月20日
劇場情報:日劇3ほか全国にて
公式HP:http://www.ma-movie.jp/

【エンターテインメント View】)

まずは視覚聴覚で楽しめるこの作品。3つの視点で捉えてみました。

(1)色
マリー・アントワネットのテーマカラーは、淡いブルー?! オーストリアから嫁ぐ日の早朝、白い霧がかかった淡いブルーの森を背景に、馬車はフランスとの国境へと向かいます。彼女が身にまとっていたのは、質素な白いドレス。しかし国境の検問所で、持ち物や愛犬を奪われ、オーストリアから着けてきたものを身包み剥がされ、淡いブルーのドレスを着せられます。その建物までもがブルーの屋根やカーテンで覆われています。

贅を尽くしたヴェルサイユ宮殿で彼女を待っていたベッドや宝石箱も、淡いブルーであることに気づくはず。新しい生活に期待で胸を膨らませていた真っ白な少女の心は、フランスによって染められたことを意図しています。そして、ビビットな色合いではなく、淡いブルーなのは、マリーの不安と、未来への暗雲を示唆していたのかもしれません。考えすぎかしら?

(2)映像
お菓子と靴を交互に、短いカットでスピーディーに映し出すシーンは、まるでスタイリッシュな現代劇を観ている感覚☆ ガーリッシュな刺繍をあしらった靴の数々は、最先端のファッション雑誌を飾りそうな代物ばかり。そして、チョコレートや色とりどりのマカロンで、不思議とファンタスティックな気分にさせられます。女性なら誰しもこの映像に、魅了され、ワクワクしてしまうはず! 彼女が側近の遊び仲間と共に、買い物を繰り広げるシーンは、『キューティー・ブロンド』のエルを思わせます。

(3)音楽
この映画は音楽なしには語れない!それくらい効果的に使われているのが、ポップ・ミュージックなんです。史劇に現代音楽を使うなんて発想自体が斬新かつ大胆!でも、映像と色彩に加えて、この70年代から80年代に流行した「ポスト・パンク・ニューロマンティック」というジャンルのポップ・ミュージックが、演出の最大のキーとなっています。

ソフィア・コッポラは、これまでの監督作品である『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』の中でも、絶妙なミュージックセレクションをし、抜群の音楽感性を持つ映画監督として、一目置かれてきたようですが、今回は、まさに才気煥発!!!


【サイコロジカルView】

この作品に描かれたマリー・アントワネットは、彼女の枕詞のような、「パンがなければ、お菓子を食べればいい」といった、傍若無人で贅沢三昧の廃退的なフランス王妃ではないんです。

監督であるソフィア・コッポラが、「教科書に出てくるマリー・アントワネットを撮る意味はない」と語っているように、歴史的には知られざるマリー・アントワネットの心の内を映し出しています。14歳という若さで母国オーストリアのために政略結婚をさせられた少女の視点に立ち、彼女の心理的(サイコロジカル)な面を映画の要にしています。

よそ者を迎えるフランス王族の冷たい視線を浴びながら、たった一人で、知らない国、会った事もない人に嫁ぐ辛さ。見方であって欲しいと願う夫さえも、彼女に関心を示さない孤独。子供が出来ないと母国も自分自身も保障されない重圧感。常に監視され、自由のない籠の鳥。

独創的な演出だけに頼ることなく、マリーの心理を映し出すテクニックは最高。もっとも彼女の心理が分かる部分、それは、髪型。小さく束ねられていたへアースタイルは、徐々に大きく、そして高く膨らんでいきます。マリーの行き場のない心の内を表わしているように見えました。


【English Expression View】

結婚初日からマリー・アントワネットに浴びせられたプレッシャー。それは、お世継ぎ!

You will have many healthy heirs.
そなたは沢山の健康な世継ぎを生むのだ!
an heir は男の子の後継者。 女の子はan heiress

I’m pleased (that ) you take seriously.
真剣に受け取って頂いて嬉しく存じます。
英語には敬語がない!というのは間違っています。目上の人、あるいはかしこまった時に使う表現というのは結構あるものです。

I’m extremely concerned in your situation.
私は非常に貴方の状況に関わっているのです。
be concerned in ~~に関係がある。
マリー・アントワネットのママが彼女に送った手紙の一文に使われていた言葉。とにかく子供を産まないと、オーストリア国が安泰でないことを幾度となく伝えていました。

ちなみに、be concerned about ~ だと、意味が大分違います。~を心配する。
もし、I’m extremely concerned about your situation. なら、マリーの重圧感も多少は減ったかな……?!

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マリー・アントワネットを参照しているブログ:

» マリー・アントワネット (2006年) (シネマテーク)
【コメント】★★★★★★★☆☆☆ スタイリッシュでポップな映画である。 マリー・アントワネットの衣装が頻繁に替わるので、この当時の衣装が好きな人にはたまらない映画だろうと思う。 とはいえ、これは表面的な部分に過ぎない。 十四歳でフランス王家に嫁ぎ、二十四時間衆目の目にさらされる環視のなかで生きる孤...... [続きを読む]

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