『パラノーマル・アクティビティ』オーレン・ペリ監督、スティーヴン・シュナイダー プロデューサー インタビュー

『パラノーマル・アクティビティ』オーレン・ペリ監督、スティーヴン・シュナイダー プロデューサー インタビュー

平凡な一軒家で幸せに暮らす若いカップル。しかし毎晩寝付いた後に家の様子がいつもと変わっていることに気づく。自分たちの家に起こっている“何か”を確認するため、彼らは生活の一部始終をビデオカメラで撮影することにする。真夜中、2人が眠りについた後、何が起きているのか。ビデオには衝撃の映像が映っていた……。

$15,000(約135万円)で制作され限定12館、しかもレイトショー公開でスタートし、公開5週目にして全米1位を獲得、翌週には遂に興行収入1億ドルを突破した超話題作『パラノーマル・アクティビティ』。口コミが口コミを呼び、週を重ねるごとに公開館数を増やして行った本作は、公開3週目には159館で公開、週末だけで790万ドルを記録し、北米において200館以下で上映された作品で歴代1位となる記録を作った。

今回は本作の監督であるオーレン・ペリ、そして製作総指揮のスティーヴン・シュナイダー プロデューサーにお話を伺いました。

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監督は元ソフトウェアデザイナーですが、なぜ映画監督をする事になったのでしょうか?

■オーレン・ペリ監督(以下、ペリ監督):「元々映画監督に興味があったんだ。でも本当になろうとは思っていなくて、空想程度だったんだよね。それを追求しようとは思わなかった。映画監督になるのは容易な事では無い。映画学校で学び、業界に入って、色んな下積みをしなければいけない。それでも映画監督になれる保障はないからね。
ただ『オープン・ウォーター』や『ブレア・ウィッチ・ブロジェクト』のようなネット的な映画だったら、裏道を通るように監督になる人もいるんだよね。そこで「もし良いアイディアが思い浮かんだら、映画を撮ってみてもいいかな?」と考え始めたんだ。
そして本作のアイディアが浮かび、映画監督にチャレンジしたんだ」


どの時点でヒットすると確信しましたか?

■ペリ監督:「劇場公開のチャンスさえ貰えれば「結構ヒットするかも?」とは考えていたんだ。ただ本当にヒットすると確信したのは、北米でミッドナイト公開された初日での出来事だね。その日こっそり劇場に行ったんだけど、人の列が劇場を取り巻いて、そして駐車場まで伸びていたんだ。それをみて、一緒に行った劇場マネージャーが「こんなに人が列をなすのは、『スター・ウォーズ』や『E.T.』以来だよ!」と言ったんだよ。そこで「『パラノーマル・アクティビティ』は大ヒットする!!」と確信したね(笑)」


この大ヒットを監督ご自身どのように受け止めてらっしゃいますか?

■ペリ監督:「努力した事が本当に報われたと思っているよ。これだけ沢山のお客さんに観てもらって、そしてこれだけ反応してくれた事は素直に嬉しい。特にアメリカで公開され時はお客さんの行動によって上映館が増え、本作を気にいってくれたからこそ、ここまで大きく広がったわけだし。ファンには本当に感謝しているよ」


大ヒットにともなって、一番の環境の変化はなんですか?

■ペリ監督:「一番大きいのはソフトウェアデザイナーの仕事をやめて、フルタイムの映画監督になったことかな。大きな変化だと思う!(笑)」


映画祭で上映されたエンディングと、今現在のエンディングでは内容が違うとお聞きしました。その意図は?

■ペリ監督:「映画祭で上映されたのがオリジナルエンディング。その後、ドリームワークスが本作のリメイク化権を買い、リメイクして劇場公開しようとしたんだ。(結果、リメイクはされずエンディグのみ差替え劇場公開される)
劇場公開するにあたり「エンディングを変えたほうがいいかも?」と意見が出てきたので、スティーヴン・スピルバーグからアイディアをもらい、北米・日本ではスピルバーグ版のエンディングで上映する事になったんだ。オリジナルエンディングが日本のDVDに特典として入るかは分からないけど、アメリカ版はオリジナルともスピルバーグ版とも違う“オルタナティブエンディング”が特典として入っているんだ」


観客が驚く映像を予告編に入れ込み、とてもインパクトのある予告編だったと思います。ペリ監督が今まで見た、あるいは人づてに聞いたなかで、本作を観たお客さんのリアクションで印象に残っているものがあったらお聞かせ下さい

■ペリ監督:「映画祭で上映する前に知人・関係者用の試写会を行ったんだけど、そのときにアフメト選手のようなガタいの良い男性と、金髪のとてもキュートな女性のカップルがやってきたんだ。いざ本編が始まると、男性が女性にしがみ付いて「Oh! Shit! Oh! Shit!」と怖がっていたのが凄く印象的だったね(笑)」


一番怖いと思った映画は?また監督ご自身は何が怖いですか?

■ペリ監督:「一番怖かった映画は『エクソシスト』だね。見た後しばらくは、幽霊物、悪魔物の映画が見れなかったよ。
あと僕の怖いものは“野菜”だね。ほとんどの野菜が怖いよ(笑)」


本作を楽しく拝見させていただきました。ただ1億ドルもの大ヒットを記録したのには、他作品とは違った上手い宣伝方法があったからでは無いかと感じました。ほぼ無名に近い本作をどのように宣伝され大ヒットさせたのでしょうか?

■スティーヴンP:「もちろん『パラノーマル・アクティビティ』の作品力は1億ドルに値すると僕は思っているよ。ただ、認知されないとどう頑張っても興行成績を上げる事は出来ない。本作は有名な監督の作品、ハリウッドスターが出演しているわけでもなく、つまりブランドがないんだ。製作費も135万円だし、プロダクションバリューを大きく見せる事が出来ず、数ある大作のように【観る前から安心して観客がお金を払える作品】ではないんだよね。“デートに行くなら遊園地”みたいな安全牌な作品では決してないから。
でも、そういった作品を「観たい!」と思わせるような宣伝方法がどうしても必要だった。なんせ普通のホラー映画とは違う、こんなにもエキサイティングなホラー映画を観る機会を、観客は失ってしまう可能性があるからね。

本作はインターネットでの“バイラルマーケティング”(口コミ)が主で、TVでのCMも、雑誌での広告露出も非常に少なかった。そこで「自分の街でも上映して!」とファンに投票してもらうシステムをネット上に作り、ファンの力で各地で公開させる宣伝方法をとったんだ。
北米での宣伝はかなり革新的なものだったと思う。ただ映画同様に宣伝コストはすごく少ないんだよ。
『パラノーマル・アクティビティ』は非常に低予算でエモーショナルな作品だから、それと同様にマーケティングもハイコンセプト&低コストで革新的な事をしたんだ。今回凄く効果的な宣伝が出来たと感じているよ。

本作を大ヒットに結びつけたのはファンの力が非常に大きい。本当に感謝しているよ」


ミカはとてもやさしい男性ですよね。ミカは監督ご自身を反映させてたりするのでしょうか?

■ペリ監督:「ミカは人によって見方が違って「ケイティが嫌がる事ばっかりして、なんて傲慢なんだ!最低!」と思う人もいれば、「根はすごく優しくて、ケイティを常に護ろうとしている。でも彼女は彼を否定して大声上げてばっかり。嫌な女!」と思う人もいたんだ(笑)。
僕は証拠がなければ信じないタイプで、その辺はミカに似ている部分かもね。
それにミカとケイティの関係は、映画的な恋愛関係ではなくて、リアルな人間関係を前面に出したかった。ガールフレンドを護ったり、お互いにからかい合いながら遊ぶ。実際僕もガールフレンドとはそんな感じなんだよ。変にラブラブな二人よりも、そっちの方が強い絆が出来ると思うしね」


本作はカップルが超常現象を解明しようとし、そしてそれによって悲劇が起きるというストーリーですよね。ホラー映画もそうですが、人間はなぜ恐怖に向かって行くのだと思いますか?

■ペリ監督:「人はなぜホラー映画を観るのだろう?と考えた時に、やはり恐怖というのは人間がそもそも持っている原始的な感情の一つなんじゃないかなと考えている。原始時代とかでは、洞窟で寝ている時に「猛獣が襲って来たらどうしよう!?」と考えるわけで、昔は毎日がサバイバルで常に恐怖と戦ってたんだと思う。

我々は今日生活している中で、「誰かに殺される!」という恐怖にはさらされず安全に生きている。そんな日常の中、映画館でホラー映画を観たり、遊園地でジェットコースターに乗るのは、多分その安全な環境下で原始的な恐怖を味わい、アドレナリンが出て興奮できるからだと無意識的に分かっているからなんだと思うんだ」


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『パラノーマル・アクティビティ』
配給:プレシディオ
公開:2010年1月30日
劇場:池袋シネマサンシャイン、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて
公式HP:http://www.paranormal-activity.jp/

© 2009 Oren Peli d.b.a. Solana Films.

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