『ソウ5』デイヴィッド・ハックル監督 インタビュー

“より人間ドラマが強調された『ソウ5』”

出席者:デイヴィッド・ハックル監督

『ソウ5』デイヴィッド・ハックル監督 インタビュー

目を覆いたくなるような拷問シーンや、複雑で刺激的なプロットで人気のシリーズ『ソウ』。今や秋の好例となったシリーズ最新作『ソウ5』が公開される。
今回は、シリーズ2、3、4を手掛けたダーレン・リン・バウズマン監督に代わり、『ソウ2』以降、プロダクション・デザイナー(美術監督)としてシリーズに参加していたデイヴィッド・ハックルが監督を務めている。
ハックル監督ならではの新しい『ソウ』、そして、トラップを作り続けてきた職人ということで、トラップについてお話を伺いました。

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『ソウ2』からプロダクション・デザイナーとして参加していますが、今回、監督を引き受けた理由は?

■デイヴィッド・ハックル監督(以下、ハックル監督)「元々プロダクション・デザイナーの仕事をしていて、その後、CMディレクターの仕事をしていました。その頃から長編映画を撮りたいという思いがあって、何か足掛かりになればとプロダクション・デザイナーの仕事に戻りました。とにかく映画監督をやってみたかったんです」


では今回、長年の夢が実現したということですね?

■ハックル監督「名の知れたシリーズの最新作に監督として参加できて、本当に嬉しいです」


有名だからこそ、プレッシャーはありませんでしたか?

■ハックル監督「プレッシャーはありました。まず『ソウ』のファンの期待を裏切るわけにはいきませんし、プロデューサーにも満足して欲しかったです。そして、何よりも自分自身が納得出来る作品に仕上げたかったので、プレッシャーは自らかけていたと言えるかもしれません」


監督に決まるまでの経緯は?

■ハックル監督「まず『ソウ4』の時から監督の話があって、その前提として『ソウ3』のセカンド・ユニットの監督も務めました。しかしながら『ソウ4』の監督の確約がなされた数時間前に、妻がガンだと判明しました。結局、ダーレン・リン・バウズマン監督が前2作に引き続き『ソウ4』を監督し、私は『ソウ5』を監督するという前提で、プロダクション・デザイナーとして参加することになりました。お陰で家族と過ごす時間を得ることが出来ました」


その後、奥さんの容態は?

■ハックル監督「お陰様で完治しました。今、私がこうしてインタビューを受けている間も、銀座へショッピングに出掛けています(笑)」


それは良かったですね。やっと監督作として辿り着いた『ソウ5』ですが、あなたならではの要素が、作品にはどのように投影されていますか?

■ハックル監督「パーソナルな要素を盛り込んで、よりドラマ性のある作品にしようと思いました。感情的な部分で観客を引き込みたかったんです。見てくれた人から、ジグゾーとホフマン刑事が部屋で喋っているだけで怖いと言われたので、まずまずの手応えを感じています」


流石に5作目となるとマンネリという問題が出てきますが、そのためにどの様な対策を練りましたか?

■ハックル監督「今までの『ソウ』シリーズで駆使してきてアイディアやテクニックを踏襲しつつ、ファンが抱いていた多くの疑問に答えることです。そうすることで、元々エキサイティングだった『ソウ』シリーズが、より活性化されると思いました。それから、終わりというよりは、始まりであるという印象も与えられるよう心掛けました」


踏襲している部分とは?

■ハックル監督「複雑なプロット、物語が考え抜かれていること、そして、サプライズの要素を残しておくことです。あと他のシリーズものが犯すようなミスをしないことです。ジグゾーの双子の兄弟が現れるとか、全てが悪夢だったとか、そういった馬鹿げた展開にしてしまうと、全ての『ソウ』シリーズが台無しになってしまいます」


『ソウ5』では、今までの『ソウ』シリーズにあった決定的な要素がありませんが、それは意図的ですか?

■ハックル監督「その要素は『ソウ』シリーズだけでなく、多くの映画でも見受けられるものです。ダーレンは好んでやろうとしていたようですが、私は少しそのカラーを薄めたいと思いました。なぜなら、観客がテクニックばかりに目を向け、物語に集中出来なくなってしまう恐れがあるからです」


反面、『ソウ』シリーズを通して一貫している要素と言えば、強烈なトラップですが、今回の特色は?

■ハックル監督「他のシリーズとはちょっと違っています。その理由は映画を見て頂ければ判ると思います。特徴としては大掛かりになっていて壮大です。エドガー・アラン・ポーの『恐怖の振り子』や『スター・ウォーズ』の影響もあります。この手のトラップは最後まで見せないのですが、『ソウ5』ではもちろん最後まで見せます。何よりも観客の方々が、もしも自分だったら嫌だ、怖いと思うようなトラップにしないといけません」


以前、ダーレン・リン・バウズマン監督にインタビューした際、トラップを考えるのが楽しいと言っていましたが、ハックル監督もお好きですが?

■ハックル監督「もちろん!『ソウ』シリーズを作る上で一番楽しい作業です。“どうやって頭を切り落としたら怖いかな?”って、会議室で真剣に語り合っています。傍から見たらすごい会議ですよね。私の子供たちが学校で“お父さんの仕事はなに?”って聞かれたらしく、ちょっと複雑な気分ですね」


お子さんはどのように答えたのでしょう?

■ハックル監督「正直に答えて、奇異な目で見られてしまったようです」


お子さんにはお父さんのお仕事をきちんと説明しているんですね

■ハックル監督「そうですね。7歳の息子が『ソウ3』の時にトラップのスケッチを描いて持って来ました。結局、それがファイナル・トラップとして採用されました」


遺伝ですね。息子さんのデザイン以外にトラップのアイディアは、どこから引っ張ってくるのでしょうか?

■ハックル監督「昔はリサーチをしていたのですが、今はもうしていません。我々にとって、世にある拷問装置はもうマイルド過ぎて役に立ちませんからね(笑)。ビジュアルの参考として、ホラー映画や写真を見ることはあるのですが、むしろその流れとは逆の方に行こうという意識があります。過去とは全く違うものを作って、出来るだけユニークなトラップにしたいと思っています」


今回、きちんと回収されていないエピソードが出てきますが、『ソウ6』があると考えてよろしいのでしょうか?

■ハックル監督「『ソウ6』はもちろんあります。そのエピソードは意図的に落としています」


引き続き監督されるんですか?

■ハックル監督「いえ、やりません。全ての『ソウ』シリーズで編集を担当したケヴィン・グルタートが監督を務めることになっています。楽しみに待っていて下さい」


<デイヴィッド・ハックル監督 プロフィール>
1963年カナダ生まれ。アメリカとカナダでアート・ディレクター、プロダクション・ディレクター、CMディレクターとして活躍。プロダクション・デザイナーとして多くの映画やテレビに携わった後、05年に『ソウ2』に参加し、以降『ソウ3』、『ソウ4』ではプロダクション・デザイナーと第二班監督を担当した。『ソウ5』が初の監督作となる。プロダクション・デザイナーとしての最新作は、ジム・カヴィーゼル主演「Outlander」(08)とダーレン・リン・バウズマン監督作「Repo! The Genetic Opera!」(08)がある。

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『ソウ5』
公開日:2008年11月28日
劇場:TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国にて順次公開
配給会社:アスミック・エース エンタテインメント
公式サイト:http://saw5.asmik-ace.co.jp/

(C)2008 Lions Gate Films Inc. All Rights Reserved.


取材・文:伊藤P

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