『D-WARS ディー・ウォーズ』シム・ヒョンレ インタビュー

“シュワちゃんを口説き落とし、アジア映画界で初の快挙を成し遂げた男”

出席者:シム・ヒョンレ監督

『D-WARS ディー・ウォーズ』シム・ヒョンレ インタビュー

現代のLAに未知の生物が突然現れた。人類は地球滅亡を防ぐため壮絶なサバイバル・バトルを繰り広げる。
謎の巨大生物がLAを襲うというハリウッド映画のような『D-WARS ディー・ウォーズ』だが、実は韓国人映画監督シム・ヒョンレがハリウッドに乗り込み、大規模なLAロケを敢行して作り上げた韓国映画。母国・韓国で2007年最高の興行成績を記録しただけでなく、全米でも公開されヒットを記録している。
自らの手で“アメリカン・ドリーム”を実現させたシム・ヒョンレ監督にお話を伺いました。

_____________________________________

コメディアン出身ですが、映画監督を志した理由は?

■シム・ヒョンレ監督(以下、シム監督)「元々、子供の頃から映画が好きでしたし、自分の頭の中の想像力をいかんなく発揮出来るのは、映画監督だと思い志しました。ただで見られるテレビドラマと違って、映画はお客さんがお金を払って見ます。だからしっかりとした特別なものを作らないといけないと常に思っています」


前作『怪獣大決戦 ヤンガリー』(’99)に引き続き巨大生物ものですが、やはり怪獣やモンスターがお好きなのですか?

■シム監督「子供の頃から怪獣が好きでした。影響を受けたのは『鉄腕アトム』や『ゴジラ』といった日本のアニメや映画です。韓国にはこの手の作品がなくて、“どうしてないんだろう?”と思っていました」


本作の企画を思いついたきっかけは?

■シム監督「韓国にはイムギという巨大生物の伝説があります。小さい頃からこの昔話を聞かされていて、そこからインスピレーションを得ました」


脚本も担当されていますが、物語を考える際に気を付けた点は?

■シム監督「全世界の人たちに見てもらう作品にしようと思い、勧善懲悪の話にしました。そして、国籍や言語、思想に関わらず、どんな人が見ても楽しめる作品を目指しました」


正直、かなり物語が破綻していると感じたのですが?

■シム監督「全ての映画に言えることだと思うのですが、人によって感じ方は違います。面白いという人もいれば、面白くないと感じる人もいます。多くの人が面白いと思ってくれるだろうエピソードを優先して選んだつもりです」


シム監督はVFX技術に長けていますが。CGを多用した作品を作る際に気をつけるべき点は?

■シム監督「実写とCGをマッチさせることです。前作『怪獣大決戦 ヤンガリー』は夜のシーンが多かったのですが、あまり実写とCGの合成が上手くいきませんでした。『D-WARS ディー・ウォーズ』は、より合成が難しい昼間のシーンがメインだったので、前回の失敗を糧にして慎重に作業をしました。あと、俳優たちが、目に見えない巨大生物と実際に戦っているようにみせる作業も大変でした」


大規模な戦闘シーンをLA市街地でロケしていますが、どのようにして撮影許可を取ったのでしょうか?

■シム監督「まず私にとってアメリカで撮影することは初めての経験だったので、撮影許可を取るのがとても困難でした。ハリウッドの大手スタジオは、大規模なセットを作って、そこに戦車を持ち込んで撮影するそうなのですが、私は実際にLA市街地で撮りたかったんです。そこで、アーノルド・シュワルツェネッガー知事やLA市長、警察の方に懇願書を送って、撮影許可を得ることが出来ました」


LA市街地でのロケは、通りを封鎖して行ったのですか?

■シム監督「LAで一番混雑するメインストリートを4キロに渡って、1週間ほど撮影のために封鎖しました。日本で言えば銀座の大通りを封鎖するようなものですね」


撮影自体はやはり大変でしたか?

■シム監督「ライブタワーという高いビルのヘリポートで撮影をしたのですが、風が強くてかなり怖い思いをしながら撮りました」


韓国だけでなく、アメリカでもヒットを記録しましたが、ご感想は?

■シム監督「当初、この作品を作ると言った時、いろんなところから無謀だ、出来る訳がないという声が上りました。でも実際に作り上げました。しかもアラスカ、ハワイを含むアメリカ全土で公開された初めての韓国映画となりました。たまたまニューヨークタイムズの記者の人が見てくれて、賞賛の言葉を述べてくれて、それが韓国にも伝わりました」


母国である韓国よりもアメリカでの支持率が高いようですね

■シム監督「韓国の映画評論家は、生粋の映画人が作った映画でないと評価しようとしません。私はコメディアン出身なので、なかなか認めてくれないのです。でも幸い私のファンもいて、この作品を後押ししてくれました。お陰で、韓国で大ヒットを記録しました」


本作を監督して得たものは?

■シム監督「CG映画と言いますとハリウッドの専売特許でしたが、アジア人にもこれだけのものが作れるという証明になりました。それはアジアのプライドにもなったと思います」


次回作も巨大生物系ですか?

■シム監督「次回作は『ラスト・オブ・ゴッドファーザー』というマフィアもののコメディです。私の共演者は、なんとCGで甦らせたマーロン・ブランドなんです。私のコメディは、志村けんさんやMr.ビーンさんのスタイルと似ているので、なんとなくイメージして頂けるかと思います。怪獣も夢のシーンにちょっとだけ出てきますよ」


これから『D-WARS ディー・ウォーズ』を見る方々にメッセージをお願い致します

■シム監督「韓国では本作を見たあと、多くの人が不思議な夢を見て、恋人が出来たり、家族と仲が良くなったりと、幸福な出来事が身の周りに起きたそうです。日本でも見てくれた方に、幸運が訪れると思います」


<シム・ヒョンレ監督 プロフィール>
1958年生まれ。韓国TV界で最も人気の高いコメディアンとして活躍。84年から映画界に進出し、主演のほか、脚本、企画開発、プロデューサーとして100本近い作品に携わる。93年「Younggu Art(ヨングアート)」を設立し、独自でデザイン、ミニュチュア、モデリング、美術、VFX技術を蓄積。99年に『怪獣大決戦 ヤンガリー』を監督。続く『D-WARS ディー・ウォーズ』で、ハリウッドに単身で乗り込み全米公開に漕ぎつけるという偉業を成し遂げた。

_____________________________________

『D-WARS ディー・ウォーズ』
公開日:2008年11月29日
劇場:有楽町スバル座ほか全国にて
配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
公式HP:http://www.d-wars.jp/
(C)2007 Younggu Art Co.,Ltd.All Rights Reserved.


取材・文:伊藤P

コメント(0)